サーロ
サーロ(ウクライナ語: сало / salo)は、ウクライナ料理で供される、豚の脂身の塩漬けである。「白豚脂」と意訳される。食用油脂のラードと異なり、未精製で食される。ボルシチとヴァレーヌィクと並んで、ウクライナの代表的な伝統料理である。
語義
編集サーロとは体内脂肪のことである。
サーロという単語はスラブ[要説明]のSADLOに由来している。その語幹「SAD」はSADIT`SYA(座る、つく)のと同じで、つまり、SADLOというのは「肉に付いているもの」という意味になる。時代が流れ、Dが抜けてSALOになった。スロバキア語では今でもSADLOという。
栄養価
編集歴史
編集脂肪源として古来[いつ?]より重視された。農家や、戦争に出かけるウクライナ・コサックはいつもサーロを保存食として持参していたという。
18世紀初めのヘーチマン国家における忠心隊の1日分の糧食にはサーロの割合が30.8 %を占めており、ウクライナの食文化におけるサーロの重要度を物語っている。それに対し、同時代のポーランド兵士の1日分の糧食には、サーロは0.6%、肉は0.005%だけであり、ロシア兵士の場合はサーロがなく、1日分の糧食の13.21%が肉で占められた[1]。ウクライナ人のサーロへのこだわりは、東欧諸国においてしばしば笑いのネタにされており、ウクライナ人を「サーロ食い」と呼ぶこともある。
ウクライナ人の食生活では、以前[いつ?]はサーロはパンとならぶ主食の1つであったが、生活様式の変化と、現代の人々の間に広まった低カロリー志向から、前菜的な役割のみ担うようになった。
東欧のサーロ
編集なお、東欧の伝統医学におけるサーロは、捻挫や切り傷の際に痛み止め薬として有効と考えられていた。
現在、サーロはウクライナ料理の他に東欧諸国の料理にも用いられている。
サーロは、生、塩漬け、スモーク、茹でて、煮込んで、焼いて、食べる。そのまま食べる場合は、スライスして、黒パン、ウォッカ、塩、生ニンニク、生タマネギ、生ネギ、胡椒、辛子などと共に食される。
脚注
編集- ^ Олексій Сокирко. Лицарі другого сорту. Наймане військо Лівобережної Гетьманщини 1669 – 1726 рр. (オレクシイ・ソクィルコ『第二級の騎士たち。1669年–1726年の左岸ウクライナにおける傭兵』), Київ: Темпора, 2006.-c.196-197 )
参考文献
編集- Українські страви. К., 1961.
- Абельмас Н.В. Українська кухня: Улюблені страви на святковому столі. K., 2007.
- Best of Ukrainian Cuisine (Hippocrene International Cookbook Series). 1998.