コンベア540(Convair 540もしくはCV-540)は、双発ターボプロップ旅客機アメリカ合衆国の航空機メーカー、ジェネラル・ダイナミクスコンベア部門のベストセラー双発レシプロ旅客機コンベア340/440のエンジンを、イギリスネイピア・アンド・サン (Napier & Son) 社製のイーランド NE1.1 (Eland) 軸流式ターボプロップエンジンに換装した機体である。

連邦航空局のCV-540

概要

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最初のコンベア540は、就航済のコンベア340をネイピア社が自社製のイーランド・ターボプロップエンジンに換装したもので、1955年2月9日に初飛行し、都合5機がアメリカのアレゲニー航空 (Allegheny Commuter Airlines) で試験運用された。しかし、エンジンの信頼性が低く不評で、追加発注を得られなかったばかりか、改修済の5機も元のレシプロエンジン(P&W R-2800 ダブルワスプ)に戻された。

一方、コンベアと同じジェネラル・ダイナミクスのグループ企業で、当時コンベア440をライセンス生産中だったカナディア社は、カナダ空軍の発注によりコンベア540を生産した。こちらは初めからイーランド・ターボプロップエンジンを搭載して新造されたものであり、10機が生産された。この軍用版はカナディア CL-66(Canadair CL-66)の形式名を与えられたが、やはりエンジントラブルが多発し、これらもまた後にアリソン・エンジン社 (Allison Engine Company) の T56ターボプロップエンジンに換装された。民間版はカナディア・コンベア540(Canadair Convair (CV-)540)の名称で、デモ機も用意されていたが、同じ理由で1機も売れなかった。

上記の通り、コンベア540には同一エンジン・同一名称下に、その開発過程と胴体長の異なる2機種が併存しているが、何れの製造、改修にもコンベアは直接関与していない。

当時イングリッシュ・エレクトリック (English Electric) 傘下だったネイピア社の航空エンジン部門は、1961年ロールス・ロイス社に買収されたが、同社はイーランドの基本設計に欠陥があるとして改良を放棄し、生産中止を決断したため、ヘリコプターのウエストランド ウエストミンスター (Westland Westminster) と、その他の少数の試作機を除いて、コンベア540が唯一のイーランド搭載機になり、それらの全機がイーランドを廃棄して別のエンジンに積み替えるという、惨憺たる結果に終わった。

コンベア240/340/440系を同様にターボプロップ化した機体には、他にコンベア580コンベア600コンベア640がある。

性能要目(CL-66)

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  • 全幅- 32.12 m
  • 全長- 24.84 m
  • 高さ- 8.49 m
  • 機体重量- 14666 kg
  • 最大離陸重量- 24130 kg
  • 最高巡航速度- 518 km/h
  • 最大速度- 570 km/h
  • 航続距離- 3660 km
  • 最大運用高度- 7620 m