コウテイオソレサソリ
コウテイオソレサソリ(皇帝恐蠍、学名 Pandinus imperator)は、クモガタ綱サソリ目サソリ科オソレサソリ属に属するサソリである。別名 ダイオウサソリ、コウテイサソリ、テイオウサソリ、オオコガネサソリ、エンペラースコーピオン[1]。
コウテイオソレサソリ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
コウテイオソレサソリ
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
保全状況評価 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ワシントン条約附属書II | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Pandinus imperator | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Buthus imperator C. L. Koch, 1841 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
コウテイオソレサソリ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Emperor Scorpion |
概説
編集体色は全身黒色だが、地域によって鋏に赤みが入ることがある。また、体長や出産数についても地域差がある。例えばコートジボワールでの調査によると森林に生息する、「森林型」は前胸部と前腹部の合計長さ(体長の測り方が現在と異なる)が 70~80mm、出産数が30~40 匹。それに対し、サバンナに生息する「サバンナ型」は 50~60mm、10~20 匹となっている。比較的近い距離でも降水量などの要因により体長や出産数までも異なる[2]。
特徴
編集標準的な体長は 120~150mm 程度で 170mm を超える大型の個体も稀に存在する。最大記録は220mm。タイプ標本に関しては長い間失われていたと考えられていたが 2015 年ドイツのシュツットガルト州立自然史博物館にて発見された。しかし採取場所は分かっていない。この標本は推定体長約 170mm と大型であった。 日本では世界最大のサソリと言われることが多いが疑わしく、スワンメルダムオオカワリハカリサソリの 292mm が最大とされている。但し本種も220mm に達する個体も存在し、完全な誤情報かは断定できない。
体色は全身黒色だが、地域によって鋏に赤みが入ることがあり、鋏は粒状の質感を持っている。櫛状板はメスよりオスの方がより長い。後腹部は長く、体の上で後方に曲がっている。尾節の先には先端には鋭く曲がった毒針がある。
妊娠すると、メスの体は膨張し、体節をつなぐ白っぽい膜が露出する。本種は紫外線の下で緑青を発色する。性格は大人しく、ほとんど無害な毒性で知られ、成体では身を守るために毒針を滅多に使わないが、幼体の時には毒針を使うことがしばしばある。鋏で獲物を押しつぶし、バラバラにする。外骨格は非常に硬く、金属光沢のある緑黒色をしている。本種はよく似たカワリハカリサソリ属と混同されるが、最も有名なサソリの一種である。
生態
編集脱皮間隔は以下の通り。
1-2齢 | 生後2週間前後 |
2-3齢 | 生後3~4ヶ月 |
3-4齢 | 生後5ヶ月前後 |
4-5齢 | 生後8~10ヶ月 |
5-6齢 | 生後1年1~2ヶ月 |
6-7齢 | 生後1年4~6ヶ月 |
7-8齢 | 生後2年まで |
分布
編集アフリカ中部から西部(ベナン、ブルキナファソ、チャド、コンゴ民主共和国、コートジボワール、ガーナ、ギニア、ギニアビサウ、リベリア、マリ、ナイジェリア、シエラレオネ、トーゴ)
扱い
編集性格が大人しく、共食いもほとんどせず、飼育が容易ということでペットとしての人気が非常に高い。それ故に乱獲が問題となり、ワシントン条約で保護されている(附属書 II 類)。
生殖
編集両性生殖である。
毒性
編集毒性については個人差があるが刺されても腫れる程度という表現が多く使われる。但しアナフィラキシーショックによる重症化もあり得るので侮りは厳禁。本種の毒の成分として、学名に由来するパンディノトキシンやインペラトキシンが挙げられる。
類似の種など
編集ドクサイナガメオソレサソリ Pandinopsis dictator
- 別名ソウトウサソリ、オオダイオウサソリ、ディクテイタースコーピオン。
- こちらも近年ペットとして流通しているがワシントン条約付属書II類。
ガンビアオソレサソリ Pandinus gambiensis
- コウテイオソレサソリの亜種とされていた種類で現在は独立種とされている。
- ペットとしての流通はほとんどないがワシントン条約付属書II類。
脚注
編集- ^ “日本蠍研究所”. japanscorpionlabo.webnode.jp (2021年8月4日). 2023年2月17日閲覧。
- ^ “Variation in energy spent on reproduction between forest and savanna populations of Pandinus imperator (Koch) (Scorpiones, Scorpionidae) in the Ivory Coast - ScienceBase-Catalog”. www.sciencebase.gov. 2023年2月17日閲覧。
- ^ Preston-Mafham, Rod (1993). The encyclopedia of land invertebrate behaviour. Internet Archive. Cambridge, MA. : MIT Press. ISBN 978-0-262-16137-4
参考文献
編集- C. L. Koch, 1841 Die Arachniden. C.H. Zeh, Nürnberg. vol. 8.
- W.R.Lourenço,J.L.C.Thompson, 1999 Variation in energy spent on reproduction between forest and savanna populations of Pandinus imperator (Koch) (Scorpiones, Scorpionidae) in the Ivory Coast.Bull.Br.arachnol.Soc.(1999)11(4).