ゲッタウェイ
『ゲッタウェイ』(The Getaway)は、1972年のアメリカの強盗映画。原作はジム・トンプスンが1958年に著した同名の小説[4]。日本公開は1973年。スティーブ・マックイーン主演のアクション映画である。
ゲッタウェイ | |
---|---|
The Getaway | |
監督 | サム・ペキンパー |
脚本 | ウォルター・ヒル |
原作 | ジム・トンプスン |
製作 |
デイヴィッド・フォスター ミッチェル・ブロウアー |
出演者 |
スティーブ・マックイーン アリ・マッグロー |
音楽 | クインシー・ジョーンズ |
撮影 | ルシアン・バラード |
編集 | ロバート・L・ウォルフ |
配給 |
National General Pictures[1] 東和[2] |
公開 |
1972年12月13日 1973年3月16日 |
上映時間 | 122分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | $3,350,000 |
興行収入 | $26,987,155 |
配給収入 | 7億2000万円[3] |
物語
編集刑務所に服役中のドク・マッコイ(スティーブ・マックイーン)は、申請していた仮釈放が認められず、やむなく政治力のある大物ベイノン(ベン・ジョンソン)の手を借りて裏工作で釈放された。見返りとして、ドクに銀行強盗を命じるベイノン。
妻で犯罪の相棒でもあるキャロル(アリ・マッグロー)や、ベイノンが雇ったルディ(アル・レッティエリ)らと銀行を襲い、50万ドルを強奪するドク。金の独り占めを目論むルディが一味の皆殺しを図ったが、返り討ちにしたドクは、キャロルと共にベイノンの待つ別荘に向かった。
ベイノンが銀行強盗を計画した理由は、銀行の理事である弟が使い込んだ25万ドルを盗まれた金に紛らせて、罪を隠ぺいするためだった。更にドクの口を封じようと、事前にキャロルを抱き込んでいるベイノン。だが、キャロルはドクではなくベイノンを撃ち殺し、ドクと共に金を持って逃走した。
メキシコに逃れる為に、国境の町エルパソに向かうドクたち。一命を取り留めたルディと、手下を従えたベイノンの弟も、それぞれがドクを追い、車でエルパソに向け出発した。列車を利用しようと駅に向かうドクとキャロル。だが、置き引きの男に金の入ったバッグを盗まれ、取り返している間にエルパソ行きの直通列車を逃してしまった。
短距離を列車移動し、車を買ってエルパソを目指そうとするドクたち。しかし、置き引きの騒ぎで大金と顔を見られたドクは銀行強盗と特定され、顔写真がテレビや新聞で報道されて、市民たちの注目を浴びる身となっていた。
目撃者たちに通報されながらも、エルパソにある「犯罪者たちの常宿」に辿り着くドクとキャロル。だが、ルディやベイノンの弟たちも宿に到着した。銃撃戦でルディらを倒し、町の修理屋のトラックで逃走するドクとキャロル。気のいい修理屋の親父の協力で国境を超えたドクたちは、大金でオンボロ・トラックを譲り受け、メキシコの大地へと走り去った。
キャスト
編集役名 | 俳優 | 日本語吹替 | ||
---|---|---|---|---|
フジテレビ版 | テレビ朝日旧版 | テレビ朝日新版 (追加録音部分) | ||
カーター・ドク・マッコイ | スティーブ・マックイーン | 宮部昭夫 | 内海賢二 | 磯部勉 |
キャロル・エインズリー・マッコイ | アリ・マッグロー | 鈴木弘子 | 佐々木優子 | |
ジャック・ベイノン | ベン・ジョンソン | 森山周一郎 | 石田太郎 | 坂口芳貞 |
フラン・クリントン | サリー・ストラザース | 一谷伸江 | 小宮和枝 | 一城みゆ希 |
ルディ・バトラー | アル・レッティエリ | 小林清志 | 麦人 | |
カウボーイ | スリム・ピケンズ | 金井大 | 雨森雅司 | 辻村真人 (中村浩太郎) |
置き引き屋 | リチャード・ブライト | 仲木隆司 | 田中正彦 | |
ハロルド・クリントン | ジャック・ダドスン | 嶋俊介 | [5] | 糸博 |
フランク・ジャクスン | ボー・ホプキンス | 井口成人 | 田中秀幸 | 小野健一 |
ラフリン | ダブ・テイラー | 藤本譲 | 槐柳二 | 緒方賢一 |
アカウント | ジョン・ブライソン | 大宮悌二 | 渡部猛 | 島香裕 |
カリー | ロイ・ジェンソン | 木原正二郎 | 平林尚三 | 幹本雄之 |
ヘイホー | トム・ラニヨン | 牛山茂 | ||
金物店店主 | A・L・キャンプ | 宮内幸平 | 槐柳二 | 緒方賢一 |
電器店店主 | ボブ・ヴィール | 鎗田順吉 | 郷里大輔 | 藤城裕士 |
スポーツ用品店店主 | ブルース・ビソネット | 上田敏也 | 石田太郎 | 藤本譲 |
その他 | 仲村秀生 大木民夫 平林尚三 阪脩 山田俊司 飯塚昭三 作間功 |
屋良有作 川浪葉子 塚田恵美子 広瀬正志 沢木郁也 岡和男 牧章子 山口健 伊井篤史 |
辻親八 喜田あゆ美 定岡小百合 塚田正昭 小島敏彦 伊井篤史 大橋世津 矢野陽子 田中敦子 追加録音部分 山田浩貴 後藤光祐 竹本和正 下山田綾華 大平香奈 松本健太 | |
日本語版制作スタッフ | ||||
演出 | 小林守夫 | 春日正伸 | 福永莞爾 (尾崎順子) | |
翻訳 | 佐藤一公(字幕翻訳) | 飯嶋永昭 | 進藤光太 | たかしまちせこ |
選曲 | 赤塚不二夫 | |||
効果 | PAG | 南部満治 | ||
調整 | 平野富夫 | 山田太平 | 長井利親 | |
プロデューサー | 岡原裕泰 | 中島孝三 | 圓井一夫 | |
制作 | 東北新社 | 日米通信社 | ニュージャパンフィルム (ブロードメディアスタジオ) | |
解説 | 高島忠夫 | 淀川長治 | ||
初回放送 | 1978年4月28日 『ゴールデン洋画劇場』 21:00-23:24 |
1982年10月17日 『日曜洋画劇場』 21:00-22:54 |
1994年3月6日 『日曜洋画劇場』 21:02-22:54 ※DVD・BD収録 | |
正味 | 約116分 | 約93分 | (吹替補完版ノーカット放送) |
製作
編集本作は当初ピーター・ボグダノビッチ監督、シビル・シェパード主演で進められていた。町山智浩によれば、ボグダノビッチ以前にサミュエル・フラーが監督をする予定であったという[9]。脚本も当初は原作者ジム・トンプスン自身が執筆していたが、マックィーンが脚本の結末を気に入らなかったことからウォルター・ヒルに交代させている[10]。アル・レッティエリが演じたルディ役は、当初はジャック・パランスが予定されていたが、ギャラの問題などで実現しなかった[11]。
劇伴はペキンパー作品の常連ジェリー・フィールディングが担当する予定が、マックィーンの主張でクインシー・ジョーンズのジャズ音楽に差し替えられた[12]。ジョーンズはオリジナルの音楽でゴールデングローブ賞にノミネート[13]された。
日本で公開されたときは、スペイン版とアメリカ版(アメリカでは州法の規定により違う)でエンディングが若干異なるところがあると言われてきたが、それはトビー門口によるデマだという[14]。
人気や後の作品に与えた影響など
編集この作品に対してペキンパー本人は不満を持っていたとされるが、ペキンパー作品最大のヒット作である。
夫婦を演じたマックイーンとマッグローは、この作品の共演をきっかけに結婚した(のち78年離婚[15])。
1994年にアレック・ボールドウィン、キム・ベイシンガー主演(当時夫妻、後に離婚)でリメイクされた(ゲッタウェイ (1994年の映画) を参照)。
脚注
編集- ^ “Gettauei (1972) - Company credits -”. IMDb. 2018年5月25日閲覧。
- ^ “映画 ゲッタウェイ”. allcinema. 2018年5月25日閲覧。
- ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』(キネマ旬報社、2012年)312頁
- ^ “「ゲッタウェイ」 ジム・トンプソン[角川文庫(海外)]”. KADOKAWA. Janually 21, 2022閲覧。
- ^ 出演シーンが全てカットされている。
- ^ ゲッタウェイ 吹替の力
- ^ @hi_taratara (2014年9月20日). "9月20日、WOWOWの土曜吹替劇場は「ゲッタウェイ」。地上波放送時のカットシーンの吹替を追加収録。宮部昭夫版と内海賢二版と磯部勉版があり、故人に代役でアテるよりご本人がに演じられる磯部勉版を選ぶ。しかし後日、衝撃の事実が。宮部昭夫版と内海賢二版は、音源が保管されていないのだ…。". X(旧Twitter)より2023年7月28日閲覧。
- ^ “ゲッタウェイ 日本語吹替音声追加収録版 ブルーレイ”. 2023年7月28日閲覧。
- ^ 『映画秘宝』2015年11月号 町山連載「男の子映画道場」
- ^ [1]
- ^ 『午前十時の映画祭7プログラム』キネマ旬報社、2016年(ISBN 9784873768311)24Pの『ゲッタウェイ』のあらすじと解説
- ^ The Getaway: The Unused Score (1972)
- ^ “The 30th Annual Golden Globe Awards (1972)”. Hollywood Foreign Press Association. November 24, 2010時点のオリジナルよりアーカイブ。June 24, 2023閲覧。
- ^ 映画秘宝 2015年11月号 町山連載「男の子映画道場」での本作の評論より
- ^ Rachel Sexton (2009年). “Steve McQueen - Career Retrospective”. moviefreak.com. 2009年5月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年9月1日閲覧。