グランドホテル (ミュージカル)
グランドホテル(原題:Grand Hotel)は、ヴィッキー・バウムの小説・戯曲 "Menschen im Hotel " を原作としたミュージカル作品。脚本はルーサー・デイヴィス、作詞・作曲はロバート・ライト(英語版)とジョージ・フォレスト(英語版)、追加作詞・作曲をモーリー・イェストンが担当。
1989年にトミー・チューンの演出・振付によってブロードウェイにて初演され、同年のトニー賞では12部門にノミネート、演出賞、振付賞ほか5部門で最優賞を獲得[1]。
日本語版初演は1993年。(ただし、1991年にインターナショナルツアーカンパニーが来日公演をしている。)
作品成立の背景
編集- Menschen im Hotel
- 1929年、ヴィッキー・バウムが小説"Menschen im Hotel "(邦題『グランドホテル』) を発表。同年、ベルリンでの舞台のために作者自らの手で戯曲化。1930年ニューヨークで翻訳版が上演される。1932年MGMがオールスターキャストにより映画化。第5回アカデミー賞最優秀作品賞受賞。グランドホテル形式という言葉が一般的になる。
- At the Grand
- 1958年、ルーサー・デイヴィス、ロバート・ライト、ジョージ・フォレストによるミュージカル版が発表される。ロサンゼルス・サンフランシスコとトライアウトの旅に出るが、設定を1928年ベルリンから同時代のローマに、バレリーナをオペラ歌手に等の変更があまり受け入れられず、主役の病気降板もあり、ブロードウエイ公演はキャンセルされてしまった。
- Grand Hotel
- 30年後、デイヴィス、ライト、フォレストは時代設定を1928年ベルリンに戻し、新しいショーとして提供することとした。演出・振付のトミー・チューンは2時間ノンストップの作品とすることとし、追加の作詞・作曲をモーリー・イェストンが担当。ボストンでのトライアウトののち、ブロードウエイで興行。
主な登場人物
編集- オットー・クリンゲライン
- 重い病を患っている会計士。
- フェリックス・フォン・ガイゲルン男爵
- 多額の借金を抱えている男爵。
- エリザベータ・グルシンツカヤ
- ロシア人のバレリーナ。引退興行のためにベルリンにやってきた。
- ヘルマン・プライジング
- アメリカ人実業家。織物工場の娘婿で社長。
- フリーダ・フラムシェン
- タイピスト。ハリウッドスターを夢見ている。
- ラファエラ
- グルシンツカヤの付き人。
- エリック
- ホテルのフロント係。
- オッテルンシュラーグ
- 義足の医師。
日本での上演
編集- 1991年(来日公演)
- テレビ朝日が招聘。新橋演舞場、南座、名鉄ホールにて上演。演出はトミー・チューンが担当。
- ブロードウェイのインターナショナルツアーカンパニーが来日した。男爵はブロードウェイのオリジナルキャストであるブレント・バレットが演じている。
- 1993年(初演)
- 宝塚歌劇団月組公演として上演。主人公をオットーにしている。
- 詳細は「グランドホテル (宝塚歌劇)」を参照。
- 2006年
- 東京国際フォーラムホールCにて上演。演出はグレン・ウォルフォードが担当[2]。
- 主演はグルシンツカヤの前田美波里で、オットーの小堺一機は準主役として配された。
- 発表当初は、プライシング役に岡田真澄がキャスティングされていたが、体調不良により降板[3]。
- 2016年
- 赤坂ACTシアターと梅田芸術劇場メインホールにて上演。演出はトム・サザーランドが担当。
- GREENチームとREDチームに分けて上演[1]。主演はオットー役の中川晃教(GREENチーム)と成河(REDチーム)[4]。
- 2016年2月1日、GREENチームのラファエラ役だった春野寿美礼が降板となり、樹里咲穂にキャスト変更が発表された[5]。
- 今作では同じ脚本、同じ音楽でありながら、演出がGREENチームとREDチームで異なるようにつけられた[6]。
- 2017年
- 宝塚歌劇団月組公演として上演。珠城りょうのトップお披露目公演。演出は岡田敬二、生田大和が担当[7]。
- 併演は『カルーセル輪舞曲(ロンド)』(作・演出は稲葉太地)[7]
- フェリックス・フォン・ガイゲルン男爵が主役、エリザベータ・グルシンツカヤがヒロインとなる。
- 詳細は「グランドホテル (宝塚歌劇)」を参照。
キャスト(日本での公演)
編集青背景が主演、ピンク背景がヒロインを示す。
1991年 来日公演 |
1993年 月組 |
2006年 | 2016年 | 2017年 月組 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
GREEN | RED | |||||
オットー・クリンゲライン | マーク・ベイカー | 涼風真世 | 小堺一機 | 中川晃教 | 成河 | 美弥るりか |
フェリックス・フォン・ガイゲルン男爵 | ブレント・バレット | 久世星佳 | 岡幸二郎 大澄賢也 |
宮原浩暢 (LE VELVETS) |
伊礼彼方 | 珠城りょう |
エリザベータ・グルシンツカヤ | デビー・デ・クードロー | 羽根知里 | 前田美波里 | 安寿ミラ | 草刈民代 | 愛希れいか |
ヘルマン・プライジング | 箙かおる (専科) |
田中健 | 戸井勝海 | 吉原光夫 | 華形ひかる
(専科) | |
フリーダ・フラムシェン | デリー・ライヴリー | 麻乃佳世 | 紫吹淳 | 昆夏美 | 真野恵里菜 | 早乙女わかば 海乃美月[# 1] |
ラファエラ | 天海祐希 | 諏訪マリー | 樹里咲穂[5] | 土居裕子 | 暁千星 朝美絢[# 1][# 2] | |
エリック | 汐風幸 | パク・トンハ | 藤岡正明 | 朝美絢 暁千星[# 1] | ||
オッテルンシュラーグ | ジャック・エドルマン | 汝鳥伶 | 藤木孝 | 光枝明彦 | 佐山陽規 | 夏美よう
(専科) |
受賞歴
編集ブロードウェイ(初演)
編集年 | 賞 | カテゴリー | 対象 | 結果 |
---|---|---|---|---|
1990 | トニー賞 | ミュージカル作品賞 | ノミネート | |
ミュージカル脚本賞 | ルーサー・ディヴィス | ノミネート | ||
オリジナル楽曲賞 | ロバート・ライト ジョージ・フォレスト モーリー・イェストン |
ノミネート | ||
ミュージカル主演男優賞 | デイビッド・キャロル | ノミネート | ||
ミュージカル主演女優賞 | リリアン・モンテベッチ | ノミネート | ||
ミュージカル助演男優賞 | マイケル・ジェッター | 受賞 | ||
ミュージカル助演女優賞 | ジェーン・クラコウスキー | ノミネート | ||
ミュージカル演出賞 | トミー・チューン | 受賞 | ||
振付賞 | 受賞 | |||
ミュージカル装置デザイン賞 | トニー・ウォルトン | ノミネート | ||
ミュージカル衣装デザイン賞 | サント・ロカルノ | 受賞 | ||
ミュージカル照明デザイン賞 | ジュールズ・フィッシャー | 受賞 | ||
Drama Desk Award | 優秀ミュージカル賞 | ノミネート | ||
ミュージカル部門 優秀主演男優賞 | デイビッド・キャロル | ノミネート | ||
ミュージカル部門 優秀助演男優賞 | マイケル・ジェッター | 受賞 | ||
ミュージカル部門 優秀助演女優賞 | ジェーン・クラコウスキー | ノミネート | ||
ミュージカル部門 優秀演出家賞 | トミー・チューン | 受賞 | ||
優秀振付家賞 | 受賞 | |||
優秀オーケストラ賞 | ペーター・マッツ | ノミネート | ||
優秀作詞賞 | ロバート・ライト ジョージ・フォレスト モーリー・イェストン |
ノミネート | ||
優秀作曲賞 | ノミネート | |||
優秀装置デザイン賞 | トニー・ウォルトン | ノミネート | ||
優秀衣装デザイン賞 | サント・ロカルノ | 受賞 | ||
優秀照明デザイン賞 | ジュールズ・フィッシャー | 受賞 |
ロンドン公演(初演)
編集年 | 賞 | カテゴリ | 対象 | 結果 |
---|---|---|---|---|
1993 | ローレンス・オリヴィエ賞 | 最優秀新作ミュージカル賞 | ノミネート | |
最優秀振付家賞 | トミー・チューン | ノミネート |
ロンドン公演(再演)
編集年 | 賞 | カテゴリ | 対象 | 結果 |
---|---|---|---|---|
2005 | ローレンス・オリヴィエ賞 | 最優秀リバイバルミュージカル賞 | 受賞 |
ロンドン公演(トム・サザーランド版)
編集年 | 賞 | カテゴリ | 対象 | 結果 |
---|---|---|---|---|
2016 | オフ・ウエストエンド・シアター・アワード | 最優秀ミュージカル作品賞 | 受賞 | |
最優秀振付賞 | リー・プラウド | 受賞 |
楽曲
編集- The Grand Parade (Yeston) / Some Have, Some Have Not (Wright/Forrest) / As It Should Be (Wright/Forrest)
- At the Grand Hotel (Yeston) / Table With a View (Wright/Forrest)
- Maybe My Baby Loves Me (Wright/Forrest)
- Fire and Ice (Wright/Forrest)
- Twenty Two Years (Yeston)/Villa On a Hill (Wright/Forrest)
- I Want To Go To Hollywood (Yeston)
- Everybody's Doing It (Yeston)
- The Crooked Path (Wright/Forrest) / Some Have, Some Have not / As It Should Be
- Who Couldn't Dance With You? (Wright/Forrest)
- Merger Is On
- Love Can't Happen (Yeston)
- What You Need (Wright/Forrest)
- Bonjour Amour (Yeston)
- H-A-P-P-Y (Wright/Forrest) / We'll Take A Glass Together (Wright/Forrest)
- I Waltz Alone (Wright/Forrest)
- H-A-P-P-Y
- Roses at the Station (Yeston)
- Bolero (What You Need)
- How Can I Tell Her? (Wright/Forrest)
- As It Should Be / At The Grand Hotel / The Grand Parade / Some Have, Some Have Not
- The Grand Waltz (Wright/Forrest)
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ a b “中川晃教&成河らが出演 ミュージカル『グランドホテル』が16年春に上演”. シアターガイド (2015年11月16日). 2015年11月17日閲覧。
- ^ “ミュージカル『グランドホテル』製作発表”. シアターガイド (2006年9月6日). 2015年11月17日閲覧。
- ^ “「グランドホテル」岡田真澄が降板”. シアターリーグ (2005年9月30日). 2015年11月17日閲覧。
- ^ “成河、4月にミュージカル「グランドホテル」主演”. 報知スポーツ (2015年11月14日). 2015年11月17日閲覧。
- ^ a b “春野寿美礼、出演予定のミュージカルを降板…代役は樹里咲穂”. スポーツ報知 (2016年2月1日). 2016年2月1日閲覧。
- ^ “中川晃教が「グランドホテル」公開稽古で動揺「そんな結末の違いが」”. ステージナタリー (2016年3月9日). 2016年3月9日閲覧。
- ^ a b “宝塚月組次期トップ・珠城りょうの大劇場お披露目は「グランドホテル」”. スポーツ報知. (2016年4月25日) 2016年4月26日閲覧。
関連項目
編集外部リンク
編集- ミュージカル『グランドホテル』公式サイト(2016年公演)
- 『GRAND HOTEL』(英語サイト) - Internet Broadway Database