クリフォード・ストール

アメリカのシステムアドミニストレータ (1950-)

クリフォード・ストール(Clifford Paul "Cliff" Stoll、1950年6月4日 - )は、天文学者、教師、システムアドミニストレータ。著作『カッコウはコンピュータに卵を産む』(1989年)で知られる。

Clifford Stoll
生誕 Clifford Paul Stoll
(1950-06-04) 1950年6月4日(74歳)
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国バッファロー (ニューヨーク州)
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
出身校 ニューヨーク州立大学バッファロー校 (BS)
アリゾナ大学 (PhD)
博士論文 Polarimetry of Jupiter at large phase angles (1980)
博士課程
指導教員
Martin Tomasko
プロジェクト:人物伝
テンプレートを表示

略歴

編集

1960年代から70年代にかけて、クリフは故郷バッファローの地元ラジオ局WBFO英語版で副主任技術者をしていた[1]

1973年、ニューヨーク州立大学で学士を取得。1980年、アリゾナ大学惑星科学を学び、Ph.D.を取得[2]

1986年、クリフはローレンス・バークレー国立研究所にシステムアドミニストレータとして雇用された。雇用中、ローレンス・バークレー国立研究所のサーバ経由で米軍各所のサーバに侵入していたクラッカーを発見し、状況を監視、最終的にはCIAと共同で捜査を進め、ハニーポットを設置して検挙に追い込んだ。そのクラッカーはKGBに雇われていたマークス・ヘス英語版というドイツ人だったことが判明している。クリフの調査結果が裁判で有効とされたことから、これが最初のデジタル・フォレンジックの実例とされることもある[3]

1988年、この事件が『狡猾なハッカーの追跡』として雑誌Communications of the ACM英語版に掲載された[4]。1989年、クリフは事件の一連を『カッコウはコンピュータに卵を産む』として発表した。この本は1990年にWGBH-TVの番組『Nova英語版』にて『KGBとコンピュータ、そして私』のタイトルで放送された。

1995年、クリフは『インターネットはからっぽの洞窟英語版』を発表し[5]ニューズウィークで紹介された[6]。クリフはこの著作の中で、電子商取引と新聞電子版が失敗に終わるだろうと予言したが、2010年にブログBoing Boing英語版に「私の予言は多くが間違っていた」と告白している[7]

 
ストールの作ったクラインの壺

その後クリフは自作したクラインの壺を販売する会社Acme Klein Bottlesを設立した[8]

2006年にはエルサリートにてテヒヤ・デイ・スクールの8年生の物理学教師として働いている旨が紹介されている[9]。2015年にはティーンエイジャー相手のホームスクールで物理を教えていると紹介されている[10]。また、MSNBCの番組『The Site英語版』にレギュラー出演していた。

著書

編集
  • Clifford Stoll (1989). The Cuckoo's Egg英語版. New York: Doubleday. ISBN 0-370-31433-6[[The Cuckoo's Egg|The Cuckoo's Egg]]([[:en:The Cuckoo's Egg|英語版]])&rft.aulast=Clifford Stoll&rft.au=Clifford Stoll&rft.date=1989&rft.place=New York&rft.pub=Doubleday&rft.isbn=0-370-31433-6&rfr_id=info:sid/ja.wikipedia.org:クリフォード・ストール">  日本語版『カッコウはコンピュータに卵を産む』
  • Clifford Stoll (1995). Silicon Snake Oil英語版 — Second thoughts on the information highway. ISBN 0-330-34442-0[[Silicon Snake Oil|Silicon Snake Oil]]([[:en:Silicon Snake Oil|英語版]]) — Second thoughts on the information highway&rft.aulast=Clifford Stoll&rft.au=Clifford Stoll&rft.date=1995&rft.isbn=0-330-34442-0&rfr_id=info:sid/ja.wikipedia.org:クリフォード・ストール">  日本語版『インターネットはからっぽの洞窟』
  • Clifford Stoll (2000). High-Tech Heretic: Reflections of a Computer Contrarian. 日本語版『コンピュータが子供たちをダメにする』

脚注

編集
  1. ^ WBFO Alumni
  2. ^ AUUG Conference Proceedings. AUUG, Inc.. (1993-09) 
  3. ^ Simson L. Garfinkel (August 2010). “Digital forensics research: The next 10 years”. Digital Investigation 7: S64-S73. doi:10.1016/j.diin.2010.05.009. ISSN 1742-2876. 
  4. ^ Clifford Stoll (May 1988). Stalking the wily Hacker. 31. Association for Computing Machinery. 
  5. ^ Clifford Stoll (1995). Silicon Snake Oil. McMillan. ISBN 0-330-34442-0 
  6. ^ Clifford Stoll: The Internet? Bah! Newsweek, February 27, 1995
  7. ^ “LET'S TALK ABOUT THE 1995 NEWSWEEK PIECE THAT SAYS THE INTERNET WILL FAIL”. Newsweek. (2010年2月3日). http://www.newsweek.com/lets-talk-about-1995-newsweek-piece-says-internet-will-fail-210278 2016年5月5日閲覧。 
  8. ^ Peterson, Ivars (February 14, 2001). “Immersed in Klein Bottles”. Science News. http://www.sciencenews.org/view/generic/id/1328/description/Immersed_in_Klein_Bottles December 1, 2013閲覧。. 
  9. ^ Clifford Stoll: Clifford Stoll on Everything – 18 minutes with an Agile mind. TED conference February 2006
  10. ^ Slashdot.org

外部リンク

編集