カラ競馬場
カラ競馬場(カラけいばじょう、Curragh Racecourse)は、アイルランドのキルデア県にある競馬場。アイルランド競馬の発祥地であり、同国で施行されるG1レース13のうち11が開催される。
スタンド (2008年7月) | |
施設情報 | |
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所在地 | アイルランド, キルデア県 R56 RR67[1] |
座標 | 北緯53度09分55秒 東経06度50分43秒 / 北緯53.16528度 東経6.84528度座標: 北緯53度09分55秒 東経06度50分43秒 / 北緯53.16528度 東経6.84528度 |
開場 | 1868年[注釈 1][2] |
管理・運用者 | ターフクラブ[2] |
コース | |
周回 | 右回り[2] |
馬場 | 芝[2] |
概要
編集カラ競馬場はキルデア州に位置し[3]、アイルランドの首都ダブリンから南西におよそ40kmの距離にある[3]。調教場などの関連施設を含めたターフクラブの管理地は330万平方メートルにもおよぶ[3]。
レースは例年3月から10月にかけて合計19日開催され、アイルランドで施行されるG1レース13のうち11が開催される[3][注釈 2]。また、アイルランドの5大クラシック競走[注釈 3]はすべてカラで施行されることもあり、アイルランド競馬を象徴する存在として知られている[3]。
歴史
編集カラ競馬場の歴史は古く、アイルランド競馬発祥の地と評されるなど、長らくアイルランド競馬の中心地であり続けた[3]。
アイルランドではキリスト教伝来以前から王侯貴族のみならず一般庶民の間でも結婚式や葬式などの集会ごとの余興として競馬が行われていた。特に現在のカラ競馬場がある地域で行われていたものは当時「リフィのカラ」(リフィ湖畔のカラ平野)や「カラ・オブ・レーシズ」として知られていた。そのような背景からゲール語の「Currech」(カラクス)は競馬場を指す一般名詞であった[5]。また、カラ周辺では3世紀には戦車を用いたレースが行われていたという[2]。現代競馬に近い形の競馬は遅くとも17世紀後半には行われており[6]、当時この地域の総督だったクラレンドン伯はカラ競馬場について、「競馬が行われる共有の草地はニューマーケットよりはるかに立派である」と述べている[7]。
カラにおいて記録が残っている最古の競馬開催は1741年のことで、英国で競馬成績書(レーシング・カレンダー)を出版していたジョン・チェニーの手によるものであった[8]。また、1950年頃のカラには既に常設の厩舎や、現在で言うところのスタンドのような建物が建てられていたという[9]。1787年にはカラで初めてのハンデ競走が施行された[10]。1868年には議会によってカラ一帯の地域が共有放牧地として認められ[2]、競走および調教にカラを使用する権利が保護された[11]。これによって正式に現在に続くカラ競馬場が誕生した[2]。1866年には第1回アイリッシュダービー[注釈 4]が開催された[2]。
2017年から2019年にかけて大きな工事が行われ、新たなスタンドやレストラン、競馬博物館などが建てられた[11]。
コース形態
編集カラ競馬場のコースは平地用の芝コースのみである。形状は馬蹄型で右回り[3]。なお、アイルランドで平地用のコースしかない競馬場はカラとレイタウン競馬場のみであり、ほとんどの競馬場は平地コースと障害コースが併設されている[12]。
向正面は「プレートコース」「ダービーコース」「内回りコース」の3つから成り、プレートコースを使うことで最大3200メートルまで施行できる。また、スタンド側には最大1400メートルの「直線コース」と、直線コースの1300メートル付近から分岐する「1600メートルコース」がある[注釈 5][2]。直線の入り口は平坦だが最後の2ハロンは緩やかながらも上り坂が続くため、急坂で知られるエプソム競馬場ほどではないにしろ、どのコースでも高いスタミナが要求される[11][13][2]。
重賞競走
編集先述の通りカラ競馬場ではアイルランドで施行されるG1レース13のうち11が開催されている。また、同国のクラシック競走はすべてカラで施行されている[2]。下記リストの出典はホースレーシングアイルランドによる[14]。太字はクラシック競走。
- G1
- G2
- G3
脚注
編集注釈
編集- ^ 1868年は競馬場として議会から正式な承認を受けた年であり、競馬開催は1741年には既に行われていた[2]。
- ^ アイリッシュチャンピオンステークスおよびメイトロンステークスのみレパーズタウン競馬場で行われる[4]
- ^ アイリッシュ2000ギニー、アイリッシュ1000ギニー、アイリッシュダービー、アイリッシュオークス、アイリッシュセントレジャーの5つ。
- ^ なお、カラ競馬場におけるダービーと名の付く競走は1817年にオ・ダービーが、1848年にカラダービーが創設されているが、いずれも短期間で廃止されている。
- ^ 1600メートルコースではアイリッシュ2000ギニーおよびアイリッシュ1000ギニーが施行される。
出典
編集- ^ “Contact Us|The Curragh Racecourse”. curragh.ie. 2023年3月11日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l “カラ競馬場|アイルランド|コース解説|オリジナル|JRA-VAN Ver.World”. world.jra-van.jp. 2023年3月11日閲覧。
- ^ a b c d e f g h “アイルランドの競馬場 - 公益財団法人 ジャパン・スタッドブック・インターナショナル (JAIRS)”. jairs.jp. 2023年3月11日閲覧。
- ^ 海外競馬編集部 2006, p. 52.
- ^ ジョン・ウェルカム 1988, pp. 7–8.
- ^ 本村凌二 2016, p. 62.
- ^ ジョン・ウェルカム 1988, p. 12.
- ^ ジョン・ウェルカム 1988, pp. 12–13.
- ^ ジョン・ウェルカム 1988, p. 21.
- ^ ジョン・ウェルカム 1988, p. 27.
- ^ a b c “Curragh Racecourse - Guide & Fixtures March 2023”. britishracecourses.org. 2023年3月14日閲覧。
- ^ 渡辺敬一郎 2002, pp. 47–48.
- ^ 石川ワタル 2002, p. 85.
- ^ “Irish Pattern Races, Listed Races and Premier Handicaps 2023” (英語). hri.ie. 2023年3月11日閲覧。
参考文献
編集- 合田直弘; 秋山響,石川ワタル,斎藤修,須田鷹雄,大岡賢一郎,堀正,TIS 著、海外競馬編集部 編『海外競馬完全読本 2006-2007』東邦出版、2006年。ISBN 978-4809405242。
- 本村凌二『競馬の世界史 - サラブレッド誕生から21世紀の凱旋門賞まで』中央公論新社、2016年。ISBN 978-4121023919。
- 渡辺敬一郎; サラブレッドインフォメーションシステム『海外競馬に行こう!―新ヨーロッパ競馬場ガイド』東邦出版、2002年。ISBN 978-4809402852。
- 石川ワタル; 奥野庸介,石川ワタル,合田直弘,サラブレッドインフォメーションシステム『海外競馬完全読本 世界の競馬の仕組みが詳しく分かる』東邦出版、2002年。ISBN 978-4809402616。
関連項目
編集外部リンク
編集- The Curragh Racecourse - 公式サイト
- カラ競馬場 - JRA-VAN
- カラ競馬場の紹介 - JAIRS