エーレンフェストの定理(エーレンフェストのていり、英: Ehrenfest's theorem[1])は、量子力学における重要な定理のひとつで、大まかにいえば『シュレーディンガー方程式の期待値を取ることで古典力学における運動方程式(に大変よく似たもの)が得られる』ことを主張している。この定理はオランダの物理学者ポール・エーレンフェストにより提唱され、量子力学と古典力学の対応を論じるときによく用いられる。
ポテンシャル U {\displaystyle U} の影響下にある質量 m {\displaystyle m} の粒子Aの状態が、波動関数 ψ ( r ) {\displaystyle \psi (\mathbf {r} )} であらわされているものとする。この状態にある粒子A(およびそれと同じ状態にある複数の粒子)の位置 r = ( x , y , z ) {\displaystyle {\textbf {r}}=(x,y,z)} を測定した場合に得られる『観測値の期待値』をそれぞれ ⟨ x ⟩ {\displaystyle \langle x\rangle } 、 ⟨ y ⟩ {\displaystyle \langle y\rangle } 、 ⟨ z ⟩ {\displaystyle \langle z\rangle } とする。このとき、
が成立する。なお、ここでは波動関数は規格化されているものとする。また、ここで、期待値を導き出す操作 ⟨ ⟩ {\displaystyle \langle \ \rangle } は、通常量子力学で行われている方法どおりで
とする。他も同様である。
まず、期待値の定義より
を得る。ここでシュレーディンガー方程式より
部分積分と、積分範囲が空間全体にわたること、及び波動関数は無限遠では0となるという仮定を用いると
これらを用いると
再度シュレーディンガー方程式を用いて
また部分積分を使うと、
加えて
を用いると、
を得る。この右辺の積分は、期待値の導出法から ∇ U {\displaystyle \nabla U} の期待値であるから、
となる。
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