ウガリット神話
ウガリット神話(ウガリットしんわ)は、シリアの地中海岸にあった古代都市ウガリットに保存されていた粘土板文書に記されていた神話である。
内容は、同じセム系神話として旧約聖書などとも共通する物が多い。
特に重要視されているのは、英雄神バアルの戦いと死、そして再生を描いたものである。
主な神々
編集- アーシラト - イルの配偶神。すべての神々の母であり「海の貴婦人アーシラト」と称される。
- アシュタルト - 戦いと狩猟の女神。バアルの忠実な同盟者。
- アナト - 戦いの女神で、バアルの妹で「乙女(処女)」や「少女」と称される。
- アシュタル - 金星に由来する神。
- アルツァヤ - 大地(地下世界)の女神。バアルの娘の一人。
- イル - ウガリットの最高神。すべての神々の生みの親であり「創造者」と称される。
- グパンとウガル - バアルに仕える二人組の伝令の神。
- カディシュ・アムラル - 「アーシラトの漁師」と呼ばれる神。
- ガシャル - 「強い」という意味の名を持つ神。
- コシャル・ハシス - 技術・工芸・呪術の神。
- コシャロット - 結婚、出産などの祝いの席に現れる女神たち。
- シャプシュ - 太陽の女神。神々の調停者としての役割を持つ。
- タラヤ - 雨(霧雨)の女神。バアルの娘の一人。
- ダガン - 穀物の神。「ダガンの息子」というバアルのエピセットに名前が現れる。
- ニッカル - 女神。ヤリフの配偶神。
- バアル - ウガリットの主神。嵐、慈雨、雷を司る天候神。
- ピドリヤ - バアルの娘の一人。
- ホロン - 冥界の神。呪術テキストに名前が現れる。
- モート - 死と冥界の神。バアル神話ではバアルの不倶戴天の敵として現れる。
- ヤム=ナハル - 海と川の神。バアル神話ではバアルの敵の一人として現れる。
- ラシャプ - 戦いと関連づけられる神。
- シャヘル - 曙の神。
- シャレム - 黄昏の神。
- ヤリフ - 月の神。ニッカルの配偶神。
参考文献
編集- 『ウガリトの神話 バアルの物語』谷川政美訳、新風舎、1998年9月。ISBN 978-4-7974-0327-5。