アーンドラ・プラデーシュ州
アーンドラ・プラデーシュ州(アーンドラ・プラデーシュしゅう、テルグ語: ఆంధ్ర ప్రదేశ్、ヒンディー語: आन्ध्र प्रदेश)は、インドの南東部にある州の一つ。
アーンドラ・プラデーシュ州 ఆంధ్ర ప్రదేశ్ Andhra Pradesh | |
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(インド国内の位置) | |
基礎情報 | |
国 | インド |
行政区 | アーンドラ・プラデーシュ州 |
州都 | ハイデラバード(Hyderabad)~2024年まで |
面積 | 160,205 km2 |
人口 | (2011年) |
- 合計 | 49,386,799 人 |
- 人口密度 | 308人/km2 |
時間帯 | インド標準時(IST)UTC 5:30 |
公用語 | テルグ語、ウルドゥー語 |
創立 | 1956年11月1日 |
州知事 | S・アブドゥル・ナジール (S. Abdul Nazeer) |
州首相 | ナラ・チャンドラバブ・ナイドゥ(Nara Chandrababu Naidu) |
立法機関(議席数) | 二院制(295 90) |
略称(ISO) | IN-AP |
州公式ウェブサイト | www.aponline.gov.in |
2014年6月に、従来の州都であったハイデラバードを含むテランガーナ地域が分割され、テランガーナ州が新設された[1]。移行措置として、テランガーナ州の州都となったハイデラバードに2024年までは引き続きアーンドラ・プラデーシュ州庁舎を据え置き、以降は州内のアマラーヴァティーへ州都を移転することが予定されている。
歴史
編集アーンドラ・プラデーシュ州の歴史は古く、紀元前2000年頃のヒンドゥー教神話であるマイトレーヤ・ブラーフマナ(Metteyya Brahmana)やプラーナス、および『ラーマーヤナ』、『マハーバーラタ』などのインド叙事詩の中に、その名を見出すことができる。
1000年、カーカティーヤ朝が成立。1336年にヴィジャヤナガル王国が、1347年にバフマニー朝がそれぞれ独立した。
1518年、デカン・スルターン朝のひとつゴールコンダ王国が独立。1724年、ニザーム王国が独立。
地理
編集気候
編集乾期は温度が上昇し、貧困層を中心に多くの熱中症による死者が発生する。2015年5月には、過去20年来最悪の熱波に襲われ、テランガーナ州と合わせて1,800人以上の死者を出している[2]。
隣接州
編集地方行政区分
編集アーンドラ・プラデーシュ州は、13の県(ジッラール జిల్లాలు)に区分されている。
ラーヤラシーマ
編集- カルヌール県 (కర్నూలు ; Kurnool)
- アナンタプル県 (అనంతపురం ; Anantapur)
- カダパ県 (కడప ; Cuddapah / YSR district)
- チットゥール県 (చిత్తూరు ; Chittoor)
沿岸アーンドラ
編集- トゥールプ・ゴーダーヴァリ県 (తూర్పు గోదావరి ; East Godavari)
- グントゥール県 (గుంటూరు ; Guntur)
- クリシュナ県 (కృష్ణ ; Krishna)
- ネッルール県 (శ్రీ పొట్టి శ్రీరాములు నెల్లూరు జిల్లా ; Sri Potti Sri Ramulu Nellore)
- プラカーシャム県 (ప్రకాశం ; Prakasam)
- シュリーカークラム県 (శ్రీకాకుళం ; Srikakulam)
- ヴィシャーカパトナム県 (విశాఖపట్నం ; Visakhapatnam)
- ヴィジャヤナガラム県 (విజయనగరం ; Vizianagaram)
- パシュチマ・ゴーダーヴァリ県 (పశ్చిమ గోదావరి ; West Godavari)
主要都市
編集- ハイデラバード
- ヴィシャーカパトナム (最大の都市)
- アマラーヴァティー (将来の州都)
- ヴィジャヤワーダ
- グントゥール
政治
編集アーンドラ・プラデーシュ州の州議会では、二院制が採用されている。上院は58議席(任期6年)で、下院は175議席(任期5年)である。州内閣は下院に対して連帯責任を負い、下院の信任を得て州政府を形成する。
1956年の州成立以来、一貫してインド国民会議が下院の過半数の議席を占めており、州首相も独占してきていた。しかし、1983年の州議会選挙でテルグ・デサム党(TDP)が過半数の議席を獲得し、党首であるN・T・ラーマ・ラオがはじめて非国民会議派の州首相に就任した。それ以後、国民会議派とTDPが交互で州政権を担うこととなった(1983年から1989年までTDP政権、1989年から1994年まで国民会議派政権、1994年から2004年までTDP政権)。2004年の州議会選挙では10年ぶりに国民会議派が政権を奪還し、Y・S・ラジャセカラ・レッディが州首相に就いた。強力なリーダーシップのもと、2009年の州議会選挙でも勝利し2期目の政権を樹立したが、同年のヘリコプター墜落事故により急死した。国民会議派の州支部内では内紛が起き、息子のY・S・ジャガン・モハン・レッディを中心とするグループは国民会議派から離脱して、YSR会議派を結成した[3]。
2014年の州議会選挙では、TDPが政権を奪還してナラ・チャンドラバブ・ナイドゥが州首相に就いた。2019年の州議会選挙では、YSR会議派がはじめて州議会の過半数を獲得して、Y・S・ジャガン・モハン・レッディが州首相に就いた[4]。2024年の州議会選挙で再度、TDPが政権を奪還し、ナラ・チャンドラバブ・ナイドゥが州首相に返り咲いた[5]。
州議会
編集2024年5月13日に行われた州議会下院の選挙結果は以下の通りとなる[6][7]。
州首相
編集氏名 | 在任期間 | 党派 | |
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ニーラム・サンジーヴァ・レッディ | 1956年11月1日 - 1960年1月11日 | インド国民会議 | |
ダモダラム・サンジヴァーヤ | 1960年1月11日 - 1962年3月12日 | ||
ニーラム・サンジーヴァ・レッディ | 1962年3月12日 - 1964年2月21日 | ||
コシュ・ブラフマーナンダ・レッディ | 1964年2月21日 - 1971年9月30日 | ||
ナラシンハ・ラーオ | 1971年9月30日 - 1973年1月10日 | ||
ジャラガム・ベンガラ・ラオ | 1973年12月10日 - 1978年3月6日 | ||
マリ・チェナ・レディ | 1978年3月6日 - 1980年10月11日 | ||
タングトゥーリ・アンジャイア | 1980年10月11日 - 1982年2月24日 | ||
Bhavanam Venkatarami Reddy | 1982年2月24日 - 1982年9月20日 | ||
コトラ・ヴィジャヤ・バーシュカラ・レッディ | 1982年9月20日 - 1983年1月9日 | ||
N・T・ラーマ・ラオ | 1983年1月9日 - 1984年8月16日 | テルグ・デサム党 | |
N・バーシュカラ・ラオ | 1984年8月16日 - 1984年9月16日 | ||
N・T・ラーマ・ラオ | 1984年9月16日 - 1989年12月3日 | ||
マリ・チェナ・レディ | 1989年12月3日 - 1990年12月17日 | インド国民会議 | |
N. Janardhana Reddy | 1990年12月17日 - 1992年10月9日 | ||
コトラ・ヴィジャヤ・バーシュカラ・レッディ | 1992年10月9日 - 1994年12月12日 | ||
N・T・ラーマ・ラオ | 1994年12月12日 - 1995年9月1日 | テルグ・デサム党 | |
ナラ・チャンドラバブ・ナイドゥ | 1995年9月1日 - 2004年5月14日 | ||
Y・S・ラジャセカラ・レッディ | 2004年5月14日 - 2009年9月2日 | インド国民会議 | |
コニジェティ・ロサイア | 2009年9月3日 - 2010年11月25日 | ||
キラン・クマール・レッディ | 2010年11月25日 - 2014年3月1日 | ||
ナラ・チャンドラバブ・ナイドゥ | 2014年6月8日 - 2019年5月30日 | テルグ・デサム党 | |
Y・S・ジャガン・モハン・レッディ | 2019年5月30日 - 2024年6月12日 | YSR会議派 | |
ナラ・チャンドラバブ・ナイドゥ | 2024年6月12日 - (現職) | テルグ・デサム党 |
経済
編集農業
編集アーンドラ・プラデーシュ州は、農業が盛んな地域である。米、煙草、綿花、唐辛子、サトウキビが主に栽培されている。最近では植物油生産用にヒマワリやピーナッツが好まれる。しかしながら、灌漑設備をもたない零細農家、小作農家人口も多いため、州をまたいだ灌漑計画が多数ある。
生物工学・製薬
編集近年では、生物工学産業の育成に力を入れている。また、製薬の中心地でもあり、インド10大企業の半数がこの州にある。
IT産業
編集近年では、情報技術産業の育成にも力を入れている。このためソフトウェアの販売総額は、2004年度が37%、2005年度が62%の成長率で、2006年度にはインドのIT輸出総額の14%、年間45億ドルに達した。州都のハイデラバードはインド内第五の規模の都市である。インドにおける情報技術産業の成長、いわゆる「ブルーチップ革命 Blue Chip Revolution」の波に乗り、ハイデラバードでも情報技術産業が育成され、市内に展開する関連企業の数はインド全土で一、二を争うほどになり、「サイデラーバードゥ」(Cyber Hyderabad) と呼ばれることもある。この他、ヴィシャーカパトナムやヴィジャヤワーダにおいても情報技術産業の育成が図られている。
鉱業
編集鉱物資源はインド第2を誇り、石灰岩は300億トンを産出する。
インド・ウラン公社によって2011年にTummalapalle鉱山(カダパ)が開発された。
石油・エネルギー産業
編集クリシュナ・ゴーダーヴァリ堆積盆には膨大な天然ガスと石油があり、沖合で開発中である。石炭も豊富にある。水力発電はインド第一位で、全体の11%を賄う。
脚注
編集出典
編集- ^ a b “インドに29番目の州が誕生「テランガナ州」” (日本語). AFP. (2014年6月2日) 2014年6月2日閲覧。
- ^ インドの熱波、死者1800人に 過去20年で最悪 AFP通信(2015年5月29日)2017年1月10日閲覧
- ^ 三輪博樹(2014年)「南部における選挙」2024年1月14日閲覧
- ^ “2024年アンドラ・プラデシュ州議会議員選挙の行方(インド)”. JETRO. (2023年11月1日) 2024年1月14日閲覧。
- ^ “アンドラ・プラデシュ州で政権交代、州議会議員選挙でTDP勝利”. JETRO (2024年6月11日). 2024年6月19日閲覧。
- ^ Bureau, The Hindu (2024年6月4日). “AP election results 2024 highlights: Chandrababu Naidu celebrates after TDP registers sweeping victory in Andhra Pradesh Assembly elections” (英語). The Hindu. ISSN 0971-751X 2024年6月17日閲覧。
- ^ “Andhra Pradesh Election Results 2024: AP Assembly Election 2024” (英語). The Times of India. 2024年6月17日閲覧。