かかあ天下
かかあ天下(嬶天下)(かかあでんか)とは、妻の権威・権力・威厳が夫を上回っている家庭を指す。
古くから絹産業が盛んな上州(群馬県)では、女性が養蚕・製糸・織物で家計を支え大活躍した。夫ちは「俺のかかあは天下一!」と呼び、これが上州名物になり、現代では活躍する女性像の代名詞ともなっている。[要出典]
「からっ風」と並んで、上州名物と言われる。かつて上州と呼ばれた地域(群馬県)は養蚕業が盛んであり、妻の経済力が夫より高い家庭が多かったことによる。2015年(平成27年)4月24日、文化庁は日本遺産の最初の18件の一つとして「かかあ天下 ―ぐんまの絹物語―」を選んだと発表した[1][2]。
概要
編集本来は「夫が出かけている間の家を(からっ風などから)守る強い妻」や「うちのかかあは(働き者で)天下一」の意味であるが[3]、「夫を尻に敷く強い妻」という意味で使われることがほとんどで、亭主関白の対義語として用いられることがある。
上州のかかあ天下
編集かかあ天下が上州(群馬県)の名物とされる理由として、上州の女性は養蚕・製糸・織物といった絹産業の担い手であり、男性よりも高い経済力があったことがあげられる。雷や空っ風といった上州の厳しい気象環境や、気性の荒い上州人気質(県民性#県民性とされる具体的な例)に対する印象から、活発で働き者の上州女性を表す言葉として用いられる。
古代説話に見られるかかあ天下
編集考古学では、上毛野君形名(かみつけのきみ かたな)の妻が、かかあ天下との関連で引きあいに出される[4]。東北蝦夷に追い詰められ、弱腰になっている形名に対し、酒を飲ませ、叱咤激励すると共に自分達は弓を持ち、弦を鳴らすことで、相手に大軍が来たと錯覚させる機知を行い、手助けをした。古墳時代における抜歯の風習からも、女性が家長と成りえたのは、5世紀までと考えられており[5]、女性の立場が強いのはその名残とも考えられる。
脚注
編集- ^ “かかあ天下 -ぐんまの絹物語”. かかあ天下ぐんまの絹物語協議会・群馬県 地域創生部. 2020年8月6日閲覧。
- ^ “平成27年度「日本遺産(Japan Heritage)」の認定について”. 群馬県. 2020年8月6日閲覧。
- ^ “ぐんまの自慢(じまん) かかあ天下”. 群馬県. 2020年8月6日閲覧。
- ^ 茜史朗 『古代東国の王者 上毛野氏の研究』 あさを社 1985年 など
- ^ 田中良之 『古墳時代親族構造の研究』 柏書房 1995年 p.250