かえるくん、東京を救う

かえるくん、東京を救う』(かえるくん、とうきょうをすくう)は、村上春樹短編小説

かえるくん、東京を救う
作者 村上春樹
日本の旗 日本
言語 日本語
ジャンル 短編小説
シリーズ 地震のあとで
発表形態 雑誌掲載
初出情報
初出新潮』1999年12月号
刊本情報
収録神の子どもたちはみな踊る
出版元 新潮社
出版年月日 2000年2月25日
シリーズ情報
前作 タイランド
次作 蜂蜜パイ
ウィキポータル 文学 ポータル 書物
テンプレートを表示

概要

編集

村上は『新潮』1999年8月号から12月号まで、「地震のあとで」と題する連作の短編小説を続けて掲載した。本作品は12月号に発表されたその5作目。

タイトル Super-Frog Saves Tokyo
翻訳 ジェイ・ルービン
初出 GQ』2002年6月号
収録書籍 after the quake』(クノップフ社、2002年8月)

柴田元幸東京大学文学部で行った翻訳演習の授業に、本短編の英訳版が用いられた。このときの授業内容はほぼそのまま柴田の『翻訳教室』(新書館、2006年2月)に収録された。NHKラジオ第2の語学番組「英語で読む村上春樹」(2013年4月放送開始)の教材にも使われている[1]

各国語の翻訳の詳細は「神の子どもたちはみな踊る#翻訳」を参照のこと。

2017年、フランス人作家によるコミカライズ作品として、「かえるくん、東京を救う (HARUKI MURAKAMI 9 STORIES)」がある。ラジオ深夜便ではラジオドラマ化されている。

あらすじ

編集

片桐がアパートの部屋に戻ると、巨大な蛙が待っていた。蛙は「ぼくのことはかえるくんと呼んでください」と言い、片桐に早くドアを閉めて中に入るよう促した。

片桐は蛙が返済金の交渉のために遣わされた「クミの関係者」と思う。かえるくんは片桐が「東京安全信用金庫新宿支店融資管理課の係長補佐」をしていることを知っていて、これは借金の返済とは関係のない話だと答える。

「ぼくがここにやってきたのは、東京を壊滅から救うためです」

壊滅とはかえるくんによれば地震だという。地震は3日後の2月18日の朝8時半頃に東京を襲い、それに伴う死者はおおよそ15万人とのことだった。震源地は東京安全信用金庫新宿支店の真下。片桐はかえるくんと共に地下に降り、みみずくんと闘い、地震を阻止する。それがかえるくんの言わんとするところだった。

2月17日の夕方に片桐は狙撃された。そして目が覚めたとき、片桐は病院のベッドに横たわっていた。

その日の夜中、かえるくんが病室に現れる。かえるくんはスチールの椅子に腰をおろし、壁にもたれてかかっていた。

「闇の中でみみずくんと闘いながらドストエフスキー[2]の『白夜』のことをふと思いだしました」とかえるくんは言った。

舞台化

編集

映像化

編集

2022年に村上の「かえるくん、東京を救う」、「バースデイ・ガール」、「かいつぶり」、「ねじまき鳥と火曜日の女たち」、「UFOが釧路に降りる」、「めくらやなぎと眠る女」を翻案したアニメ映画『Saules Aveugles, Femme Endormie(邦題・めくらやなぎと眠る女)』(監督・ピエール・フォルデス、2022/109分/フランス、ルクセンブルク、カナダ、オランダ合作)が制作された[3]

脚注

編集
  1. ^ これを元に『村上春樹「かえるくん、東京を救う」英訳完全読解』(NHK出版2014年7月)が出版された。
  2. ^ 本作が収録された短編集『神の子どもたちはみな踊る』のエピグラフに、ドストエフスキーの『悪霊』の一節(江川卓訳)が引用されている。
  3. ^ めくらやなぎと眠る女公式サイトユーロスペース

関連項目

編集