Ë
ラテンアルファベットの文字で、オランダ語とフランス語とアフリカーンス語で使用されている
Ë, ë は、Eにトレマないしウムラウト(字形は同じ)を付した文字である。フランス語、オランダ語、アルバニア語、ハンガリー語、ルクセンブルク語等で使われる。
Ëë Ëë | |||||||||||||||||||||||||||||||
ラテン文字 | |||||||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
|
トレマとしての使用
編集フランス語では、母音字の後にのみ用い、その音節が子音で終わっていれば [ɛ] の音を表す。また、男性形が -gu で終わる語の女性形の語末で、gue であれば [ɡ(ə)] を表すが、元の発音である [ɡy] を表すために guë と書かれる。
オランダ語では、例えば ie は「イー」と発音するが、ië だと「イエ」となる。
ウムラウトとしての使用
編集ハンガリー語では正書法の E e の音価には実は2種類あり、「広い e」[ɛ] (nyílt e) と「狭い e」[e] (zárt e) を別々の音素として区別して表記する場合に「狭い e」を Ë ë と表記する。専らハンガリー語学と方言学で用いられるが、ハンガリーでは e と ë で意味を区別するだけではなく、文法もよりわかりやすくなるために、正書法でも「狭い e」を導入すべきだという意見もある。
アルバニア語とルクセンブルク語では、Ë ë はシュワー(曖昧母音)の [ə] の音を表す[1][2]。
日本語の上代特殊仮名遣いのローマ字表記では、ë は「乙類エ」を表す。「甲類エ (e)」とは異なる母音を表すが、具体的な音価は諸説あり未詳である。
符号位置
編集大文字 | Unicode | JIS X 0213 | 文字参照 | 小文字 | Unicode | JIS X 0213 | 文字参照 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Ë | U 00CB
|
1-9-34
|
Ë Ë Ë
|
ë | U 00EB
|
1-9-65
|
ë ë ë
|
参考文献
編集- ^ 直野敦『アルバニア語基礎1500語』(大学書林・1986年6月)ISBN 9784475010993
- ^ 『ニューエクスプレススペシャル ヨーロッパのおもしろ言語』(白水社・2010年7月)ISBN 9784560085400