1896, 広津柳浪, 今戸心中:
1897, 清水紫琴, 当世二人娘:
さすがにこの度は念入れて、それそれの手蔓求め出したればにや、甲田の内幕ことごとく曝露して、思ひの外の事を聞くのみなれば、父もいたく打驚きて、さては今の人といふものは、身分のある人でも油断の出来ぬものじやなと、始めて我が眼の晦みゐしを悔ひ、それについても憎きは軽井、危く我が娘を芸者か妾同様にさるるところであつたと、かくなりては一轍なる老人気質、明日ともいはず直ぐに軽井を呼付けて、子細はいはねど覚へがあろうと、それが出入りとともに、甲田の来訪結婚の約をも併せて謝絶しぬ。- (please add an English translation of this quotation)
1904, 河口慧海, チベット旅行記:
もしその娘の父母がその媒介人に対し最初に断然と謝絶する時分には、その媒介人がこりゃもう話が成り立たないというて、その息子の父母に告げて結婚は成り立たぬようになるのです。- (please add an English translation of this quotation)
1906, 島崎藤村, 破戒:
1907, 夏目漱石, 野分:
1909, 森林太郎, 長谷川辰之助:
1911, 木下杢太郎, 海郷風物記:
1912, 井上円了, 南半球五万哩:
1914, 與謝野寛、與謝野晶子, 巴里より:
1916, 森鴎外, 渋江抽斎:
1922, 内田魯庵, 鴎外博士の追憶:
何しろ社交上の礼儀も何も弁えない駈出しの書生ッぽで、ドンナ名士でも突然訪問して面会出来るものと思い、また訪問者には面会するのが当然で、謝絶するナゾとは以ての外の無礼と考えていたから、何の用かと訊かれてムッとした。- (please add an English translation of this quotation)
1923, 田中貢太郎, 水郷異聞:
その朝東京の自宅を出てから十二時過ぎに到着してみると、講演の主催者や土地の有志が停車場に待つてゐてこの旅館に案内するので、ひと休みした上で、二時から開催した公会堂の半数以上は若い男女からなつた聴講者に向つて、三時間近く、近代思想に関する講演をやつた若い思想家は、その夜の八時頃にも十一時頃にも東京行きの汽車があつたが、一泊して雑誌へ書くことになつてゐる思想を纒めようと思つて、せめて旅館までゞも送らうと云ふ主催者を無理から謝絶り、町の中を流れた泥溝の蘆の青葉に夕陽の顫へてゐるのを見ながら帰つて来たところであつた。- (please add an English translation of this quotation)
1925, 田山録弥, 時子:
1926, 牧野信一, 夏ちかきころ:
1927, 小出楢重, 楢重雑筆:
左様に勤まり難いことが初めから判っているものならば、初めに謝絶すればよいのだが、何かその明るい世界には、何かまた変った幸福らしいものが落ちてでもいそうなさもしい心も出るので、ついうっかりと来てしまうことも多いのだ。- (please add an English translation of this quotation)
1928, 江見水蔭, 丹那山の怪:
1929, 夢野久作, 押絵の奇蹟:
1930, 内藤湖南, 聖徳太子:
1931, 岸田國士, 序文:
1933, 豊島与志雄, 死の前後:
すると、依田氏はなお声をひそめて、自分が出かけていっては工合がわるいことがあると弁解し、個人にせよ会社にせよ、時として秘密な窮地に立つことがあるものだと云い、この商事会社の立前として無抵当金融は絶対に謝絶しているので、秘密を守るためには君より外に使者がないと云うのだった。- (please add an English translation of this quotation)
1934, 寺田寅彦, 初冬の日記から:
この夕刊売りの娘を後に最後の瞬間において靴磨きのために最有利な証人として出現させるために序幕からその糸口をこしらえておかなければならないので、そのために娘の父を舞台の彼方で喘息のために苦悶させ、それに同情して靴磨きがたった今、ダンサーから貰った五円を医薬の料にやろうというのをこの娘の可憐な一種の嫉妬をかりていったん謝絶させておく。- (please add an English translation of this quotation)
1937, 上村松園, 無表情の表情:
これは今から二十一年も前に御仰せを蒙ったものですが、いろいろの事情に遮られて今日までのびのびになっていることが畏く存ぜられますので、他の一切のことを謝絶していますが、間々の謡曲の稽古だけは娯しみたいと思っております。- (please add an English translation of this quotation)
1942, 太宰治, 正義と微笑:
お仕事中は面会謝絶と極っているんだけど、特にお前のために、どうにかして取りついであげようと思ったんだが、奥さんか誰かに邪魔されて、それが出来なかったんだな。- (please add an English translation of this quotation)
1943, 徳永直, 光をかかぐる人々:
1948, 海野十三, 超人間X号:
1950, 坂口安吾, 巷談師:
第一、伊東のような田舎に閉じこもって、面会謝絶、風流三昧とはいかないが、なんとなく精神の善美結構などつくしたような閉舎にふけっていると、てんで世間がわからなくなる。- (please add an English translation of this quotation)
1951, 宮本百合子, 禰宜様宮田:
若しそうだとすれば、俺ら何のために怒ったろう? ひそかに心のうちではにかみ笑いをしながら、彼女は今度もまた謝絶している禰宜様宮田を珍らしく穏やかな眼差しで眺めていた。- (please add an English translation of this quotation)