Japanese citations of 託する

  • 1876, 福沢諭吉, 学者安心論:
    これを放却して誰に託せんと欲するか、思わざるのはなはだしきものというべし。
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  • 1878, 福沢諭吉, 教育の事:
    余輩断じていわん、家に財あり、父母に才学あらば、十歳前後の子を今の学校に入るるべからず、またこれを他人に託すべからず、仮令いあるいは学校に入れ他人に託するも、全くこれを放ちて父母教育の関係を絶つべからずと。
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  • 1898, 原勝郎, 吾妻鏡の性質及其史料としての價値:
    假りにこれを知らざりしとするも、斯る重要なる密事を託するに先ちては、必之を託するに足るべき人を撰擇するは普通にして且至當の事なれば、頼家が密書を義盛に與ふるに際しては比企邸の事變に關して義盛が執りし態度を知れりと考ふること穩當なるべし、既に之を知れりとせば、北條方なる義盛に頼家が密書を與へたることは實らしからざることなり、よし吾妻鏡の編者に數歩を讓りて義盛の比企邸を攻めしは深く北條氏に結托せる結果にはあらずして、比企氏に對する感情より來りたりと假定し、頼家が義盛に反正の望を屬し、其右族の領袖たるの故を以て、此密事を得べき唯一の家人と信じ以て密書を與ふるに至れりとするも、同樣の密書を仁田忠常にも與へたりとの事實は信用しがたき事なり、忠常は能員を殺したる當の下手人なり、而して其驍勇は有名なるも、別に鎌倉に勢力ある人にもあらず、頼家と雖、豈かゝる輩に密事を委託するの愚を學ふべき筈あらんや、愚考を以てすれば、此日の記事は、少くも其忠常に關せる部分は、翌日時政が忠常を殺す條の伏線として、之が辯明に供したる風説を登録したるに過ぎず。
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  • 1904, 井上円了, 西航日録:
    すなわち、乳児ありて出でて労役をとることあたわざるものは、銅貨一文を添えてその子を託すれば、終日飲食を授けて養育する所なり。
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  • 1904, 河口慧海, チベット旅行記:
    こういう手紙を託するのは実に困難です。
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  • 1908, 夏目漱石, 坑夫:
    下りる時には、胸から上が比較的前へ出るんで、幾分か背の重みを梯子に託する事ができる。
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  • 1909, 鳥谷部春汀, 明治人物月旦(抄):
    余は二十八年二月雜誌『精神』の董刊を公より託せられ、爾來重大なる問題起る毎に、公の意見を聽くの機會に接すること益々多かりき。
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  • 1909, 夏目漱石, 永日小品:
    鳥は柔かな翼と、華奢な足と、漣の打つ胸のすべてを挙げて、その運命を自分に託するもののごとく、向うからわが手の中に、安らかに飛び移った。
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  • 1910, 石川啄木, 硝子窓:
    坪内博士は嘗てそれを、現在日本に於て、男子の一生を託するに足る程に文學といふものの價値なり勢力なりが認められてゐない爲ではなからうか、といふ樣に言はれた事があると記憶する。
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  • 1914, 與謝野寛、與謝野晶子, 巴里より:
    其外に至急を要する物は各自の家の使用人に持たせて遣るか、使ひ歩きを業とする者に託する
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  • 1914, 與謝野寛、與謝野晶子, 巴里より:
    其外に至急を要する物は各自の家の使用人に持たせて遣るか、使ひ歩きを業とする者に託する
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  • 1915, 与謝野晶子, 鏡心灯語 抄:
    私たちは子女のために高く清い教育を施そうとする直接の実際問題から考えても、素行の不潔な男子に一国の政治を託することは危険であると思う。
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  • 1916, 森鴎外, 伊沢蘭軒:
    さて広島に帰つた上は、山陽は再び廉塾に託せられるであらう。
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  • 1916, 森鴎外, 渋江抽斎:
    理由の第二は、今の多事の時に方って、二、三の有力者に託するに藩の大事を以てし、これに掣肘を加うることなく、当主を輔佐して臨機の処置に出でしむるを有利とするからである。
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  • 1916, 与謝野晶子, 母性偏重を排す:
    こういっても私は、健康な婦人が良人との間に少くも一人の子供を養い得るだけの経済的自活力を持ちながら、容貌の美を失ったり、産褥の苦痛に逡巡したり、性交の快楽を減じたりする理由から妊娠を厭い、または生児の養育を他人に託するようなことを弁護する者では断じてない。
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  • 1917, 折口信夫, 古語復活論:
    記紀の死語・万葉の古語を復活させて、其に新なる生命を託しようとする、我々の努力を目して、骨董趣味・憬古癖とよりほかに考へることの出来ない人が、まだ/\随分とあるやうである。
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  • 1917, 与謝野晶子, 私娼の撲滅について:
    第一種は長期の生活の保障を得るために一生を男に託する女、即ちその当時の妻たり妾たる者がそれである。
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  • 1922, 有島武郎, 宣言一つ:
    かくして思慮深い労働者は、自分たちの運命を、自分たちの生活とは異なった生活をしながら、しかも自分たちの身の上についてかれこれいうところの人々の手に託する習慣を破ろうとしている。
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  • 1924, 桑原隲藏, 支那人間に於ける食人肉の風習:
    晉の文公は天下を周游した際、齊に往き桓公の女を娶つて、茲に一生を託せんとした。
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  • 1926, 万葉集以後の歌風の見わたし, 短歌本質成立の時代:
    其叙景の歌とても、宴遊の即景に祝言を託する様なものか、人の意表に出る様な誇張や、言ひ廻しで、興趣の嵐を起して、当座の人の心を捲き込んで行くと言ふ風なものであつた。
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  • 1927, 桑原隲蔵, 支那人の文弱と保守:
    古人や先例に託すれば、支那人は容易に得心するから、この弱點を利用して、惡事をなし遂げる者が支那に多い。
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  • 1928, 内藤湖南, 章學誠の史學:
    しかしながら孔子の道は、單に空言に託せずして、之を行事に現はすといふことを主とした、その行事といふのが即ち古來の前言往行をいふので、それを現はす所のものは即ち史であるから、この人の考では、凡そ學問といふものは即ち史學である、史學でないものは學問でないと、かう考へたのである。
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  • 1929, 折口信夫, 若水の話:
    考へて見れば、其様にくり返し/\、日本の国に生れた者は日本国民の名で、永くおのが生命を託する時代の事だと考へて来もし、行きもするのだ。
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  • 1930, 戸坂潤, イデオロギーの論理学:
    併し吾々は最後の依り処を歴史的感覚の概念に託するからと云って、何か神秘的な能力に助けを求めているのではない。
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  • 1933, 木下尚江, 政治の破産者・田中正造:
    而して明治廿五年に至り、鉱業者は仲裁人の扱に任じ、正当なる委任を附託せられたる沿岸町村被害人民総代との間に熟議契約をなし、其正条に基き被害者に対して徳義上示談金を支出し、且つ明治廿六年七月より同廿九年六月三十日までを以て、粉鉱採聚器実効試験中の期限とし、其期間は、契約人民に於て何等の苦情を唱ふるを得ざるは勿論、其他行政司法の処分を請ふが如き事は一切為さざる事を鉱業人と契約し、其局を結びたり。
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  • 1934, 薄田泣菫, 独楽園:
    桜の木に棲んで、その葉を餌とし、おまけにその枯つ葉を縫ひ綴くつて、一冬の寒さ凌ぎの料とすることをのみ知つてゐる簑虫にとつては、気紛れで、ひと一倍感じやすい桜の葉は、自分の一生を託するにしては、信頼の出来かねる相手に相違ない。
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  • 1936, 第一部下, 夜明け前:
    横田東四郎からその子の首級を託せられた節は稲葉屋でも驚いたであろうという景蔵らの顔を見ると、勝重の父親はそれだけでは済まさなかった。
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  • 1936, 第二部下, 夜明け前:
    二人の子供は東京に遊学させる、木曾谷でも最も古い家族の一つに数えらるるところから「本陣の子供」と言って自然と村の人の敬うにつけてもとかく人目にあまることが多い、二人とも親の膝下に置いては将来ろくなことがない、今のうちに先代吉左衛門が残した田畑や本陣林のうちを割いて二人の教育費にあてる、幸い東京の方には今子供たちの姉の家がある、お粂はその夫植松|弓夫と共に木曾福島を出て東京京橋区|鎗屋町というところに家を持っているからその方に二人の幼いものを託する、あのお粂ならきっと弟たちのめんどうを見てくれる、この半蔵の考えが宗太をよろこばせた。
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  • 1938, 島崎藤村, 新生:
    罪過も、旅も、それからまた互に一生を託するような悲哀も――一切は実に節子その人を対象にして起って来たことだ。
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  • 1938, 長谷川時雨, 遠藤(岩野)清子:
    郁子さんは、玉茗館という旅館の娘だったので、清子さんの遺児はその遺志によって、『青鞜』同人たちから、郁子さんに依託することになった。
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  • 1946, 坂口安吾, 白痴:
    私はあなたを嫌っているのではない、人間の愛情の表現は決して肉体だけのものではなく、人間の最後の住みかはふるさとで、あなたはいわば常にそのふるさとの住人のようなものなのだから、などと伊沢も始めは妙にしかつめらしくそんなことも言いかけてみたが、もとよりそれが通じるわけではないのだし、いったい言葉が何物であろうか、何ほどの値打があるのだろうか、人間の愛情すらもそれだけが真実のものだという何のあかしもあり得ない、生の情熱を託するに足る真実なものが果してどこに有り得るのか、すべては虚妄の影だけだ。
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  • 1946, 織田作之助, 神経:
    宝塚や松竹の少女歌劇は男の俳優は一人もいないが、思慮分別のある大の男が一生を託する仕事ではあるまい。
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  • 1947, 折口信夫, 日本文学の発生:
    其が、神に託せられて伝達する聖者の口を隔してゞも、神自身発言するのとおなじ結果を表す。
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  • 1949, 三好十郎, 恐怖の季節:
    ただ最後に、これらの諸氏に立ち直ってほしいと思う私の心からの願望を託する言葉として、妙なことを一語だけ添える。
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  • 1952, 神西清, わが心の女:
    そこで僕は、密航船といふ頗る原始的な手段に、この通信を託することにする。
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