Japanese citations of 泡立つ

  • 1897, 清水紫琴, 誰が罪:
    溝水も泡立つ七月の天、およそものその平を得ざれば、なるほど音高き日和下駄響かせて、我からそこを追出しは、とつて十九の血性漢なりし。
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  • 1908, 夏目漱石, 三四郎:
    泡立つシャンパンの杯がある。
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  • 1909, 泉鏡花, 海の使者:
    さっと一汐、田越川へ上げて来ると、じゅうと水が染みて、その破れ目にぶつぶつ泡立って、やがて、満々と水を湛える。
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  • 1910, 長塚節, 隣室の客:
    其異様な網で泡立つた浅い水をすくつて其水と共に走る。
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  • 1911, 押川春浪, 本州横断 癇癪徒歩旅行:
    しかし雲巌寺を出発してから行く途々、渓流に沿うて断岸の上から眼下を見れば、この渓流には瀑布もあれば、泡立ち流るる早瀬もあり、また物凄く渦巻く深淵などもあって、好奇に盥に乗って下ろうものなら、二人や三人土左衛門と改名したかも知れぬのだ。
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  • 1920, 寺田寅彦, 小さな出来事:
    ある時は顎の間に灰色の泡立った物質をいっぱい溜めている事が眼についた。
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  • 1924, 国枝史郎, 八ヶ嶽の魔神:
    しかし間もなく湖水の水が最初モクモクと泡立つと見る間に、忽ちグイと左右に割れ、その割目から灘兵衛が逞しい顔を現わした。
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  • 1926, 小酒井不木, 狂女と犬:
    私は旅をするとき、道連れのあるのが大嫌いで、その時も、単身学校の寄宿舎を出発したのであるが、元来、冒険好きな私は、こんどの旅で、何か意外な、青春の血を泡立たせるような現象に出逢うか、或はまた、一夜に髪の色を白くするような事件に捲きこまれて見たいというような愚にもつかぬ考を抱いて居たのである。
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  • 1927, 渡辺温, 氷れる花嫁:
    おそろしく泡立っている真っ暗な海面。
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  • 1928, 林芙美子, 放浪記(初出):
    こんなに髪をくしゃくしゃにして、ガランスのかった古い花模様の蒲団の中から乗り出していると、私の胸が夏の海のように泡立って来る。
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  • 1929, 小林多喜二, 蟹工船:
    それが見る見る近付いてくると、窓のところへドッと打ち当り、砕けて、ザアー……と泡立つ
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  • 1931, 牧野信一, バラルダ物語:
    いつもいつも上手の年古りた柳の影で、不断に轟々然たる物凄まじい響きを挙げて回り続けてゐる水車であつたから、このあたりの流れは白く泡立ち煮えくり返つてゐるすがたで、ものゝ影が映るなどゝは思ひも寄らぬのに――嗚呼、そこには私と雪太郎の上半身が微風の気合ひも知らずに、あざやかに生息してゐる。
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  • 1932, 蘭郁二郎, 古傷:
    内田君がもぐもぐと口を听く度に、沸々と泡立つコップの中で、その迪子がニタニタと頽れるように嗤うのである。
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  • 1933, 岡本かの子, ドーヴィル物語:
    アメリカ選手達の予備練習の馬群が浪の泡立つ様にさっと寄ってはさっと引返す間に、緑の縞や薄桃色のユニフォームが、ちらちらする。
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  • 1934, 大阪圭吉, 気狂い機関車:
    荒れ果てた廃港の、線路のある突堤埠頭の先端に、朝の微光を背に受けて、凝然と立竦んでいた私達の眼の前には、片腕の駅長の復讐を受けた73号を深々と呑み込んだドス黒い海が、機関車の断末魔の吐息に泡立ちながら、七色に輝く機械油を、当もなく広々と漂わしていた。
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  • 1935, 小栗虫太郎, 潜航艇「鷹の城」:
    そのおり、海は湧き立ち泡立って、その人たちにあらんかぎりの威嚇を浴せた。
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  • 1936, 永井荷風, 寺じまの記:
    時代は忽然三、四十年むかしに逆戻りしたような心持をさせたが、そういえば溝の水の流れもせず、泡立ったまま沈滞しているさまも、わたくしには鉄漿溝の埋められなかった昔の吉原を思出させる。
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  • 1938, 幸田露伴, 幻談:
    強い南風に吹かれながら、乱石にあたる浪の白泡立つ中へ竿を振って餌を打込むのですから、釣れることは釣れても随分労働的の釣であります。
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  • 1939, 折口信夫, 死者の書:
    忙しく拾はうとする姫の俯いた背を越して、流れる浪が、泡立つてとほる。
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  • 1940, 田畑修一郎, 石ころ路:
    海は真青で、海岸が白く泡立っている。
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  • 1946, 海野十三, 四次元漂流:
    といってから、貴重な薬液の入った泡立つコップをもう一度高くさし上げ、それからコップを自分の唇のところへ持っていって、一気にそれを呑みほしたのだった。
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  • 1948, 原民喜, 火の踵:
    「顔を洗つたり、外食をすませてくる間に、一ダース位の小さな念想が泡立つてくる。
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  • 1949, 永井隆, 長崎の鐘:
    井上君の眼球の黒眼の部分だけ穿孔していたことや、黒瓦の表面の泡立っていることや、浴衣の黒い模様のとおり熱傷を受けていた患者がいることや、石の黒い部分がぼろぼろになっていることなど、この事情を裏書きするものである。
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  • 1951, 宮本百合子, 貧しき人々の群:
    そこには――葉の茂みが泡立つ浪のように崩れている間からは――白い模様のある黒い布が旗のように、はたはたとはためいているのが見えた。
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