Citations:ちょいちょい

Japanese citations of ちょいちょい

  • 1900, 泉鏡花, 三枚続:
    時々|髯のない顔が集り合っては、哄という笑語の声がかの士官の群から起るごとに、件の小男はちょいちょい額を上げて其方を見返るのであるが、ちょうど背合せになってるから、金之助にこれは見えなかった。
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  • 1903, 泉鏡花, 薬草取:
    その頃父は小立野と言う処の、験のある薬師を信心で、毎日参詣するので、私もちょいちょい連れられて行ったです。
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  • 1904, 河口慧海, チベット旅行記:
    平地の間にも山がちょいちょいあるです。
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  • 1905, 夏目漱石, 吾輩は猫である:
    尻尾の曲がり加減、足の折り具合、物憂げに耳をちょいちょい振る景色なども到底形容が出来ん。
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  • 1906, 鈴木三重吉, 千鳥:
    小母さんの臂がちょいちょい写る。
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  • 1907, 泉鏡花, 婦系図:
    君ン許へもちょいちょい遊びに来るんだろう。
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  • 1909, 夏目漱石, 永日小品:
    固より茶人でないから、好いの悪いのが解る次第ではないが、安くて面白そうなものを、ちょいちょい買って帰るうちには、一年に一度ぐらい掘り出し物に、あたるだろうとひそかに考えている。
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  • 1910, 夏目漱石, :
    左右にも行手にも、堂のようなものや、院のようなものがちょいちょい見えた。
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  • 1911, 森鴎外, :
    この散歩の途中で、岡田が何をするかと云うと、ちょいちょい古本屋の店を覗いて歩く位のものであった。
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  • 1912, 夏目漱石, 彼岸過迄:
    もともと頭の中でむやみに色沢を着けて奥行のあるように組み立てるほどの関係でもあるまいし、あったところが他の事を余計なおせっかいだと、自分で自分を嘲けりながら、ああ馬鹿らしいと思う後から、やっぱり何かあるだろうという好奇心が今のようにちょいちょいと閃めいて来るのである。
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  • 1914, 夏目漱石, こころ:
    あなたは物足りなそうな顔をちょいちょい私に見せた。
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  • 1915, 夏目漱石, 硝子戸の中:
    これは金はありませんと断わるたびに、泥棒がそんなはずがあるものかと云っては、抜身の先でちょいちょい半兵衛さんの頭を突ッついたからだという。
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  • 1916, 夏目漱石, 明暗:
    帰りを急ぐ混雑した間際に、そんな機会の来るはずもないと、始めから諦らめている癖に、そうした好奇の心が、会いたくないという回避の念の蔭から、ちょいちょい首を出した。
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  • 1917, 葛西善蔵, 贋物:
    新生活の妄想でふやけきっている頭の底にも、自分の生活についての苦い反省が、ちょいちょい角を擡げてくるのを感じないわけに行かなかった。
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  • 1919, 宮本百合子, C先生への手紙:
    概念と、只、自分のみの築き上げた象牙の塔に立て籠って、ちょいちょい外を覗きながら感動して居りました。
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  • 1920, 豊島与志雄, 或る女の手記:
    そしてるうちに、昨年の夏以来、彼はちょいちょい酒を飲むようになった。
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  • 1921, 豊島与志雄, 反抗:
    方々のカフェーへもちょいちょい借りが出来た。
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  • 1923, 豊島与志雄, 白日夢:
    そして、これを御縁にちょいちょいお遊びに来て下さいって……。
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  • 1924, 鈴木三重吉, やどなし犬:
    肉屋は、おどけた目つきをして、ちょいちょいそのやせ犬を見やりながら、ほうちょうをこすっていました。
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  • 1925, 豊島与志雄, 不肖の兄:
    それが、物を食う拍子に、小言を云う拍子に、ちょいちょい覗き出して、僕の気持にさわってきた。
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  • 1926, 小酒井不木, 新案探偵法:
    すべて、医学を修めて、「医者」にならない人間には、どこかに変ったところのあるものですが、とりわけ、生理学を専攻する者の中には、ちょいちょい人間ばなれのした人があって、わが鯉坂君も、どちらかというと、その人間ばなれのした部類に属して居るのであります。
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  • 1927, 小出楢重, 楢重雑筆:
    それがまた立って舞いかけたりなどして、男のくせに赤い長襦袢などちょいちょい見せて、目玉をちょっと横へ押しやったりするともう何にか悪霊につかれた心地さえ致します。
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  • 1928, 豊島与志雄, 溺るるもの:
    珈琲をのんでるうちに、ジプさんの方の話がちょいちょい俺の耳にはいった。
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  • 1929, 浜尾四郎, 死者の権利:
    こんな次第で小夜子は一人で働かなければならなかったのですが、兄の清吉という男は妹がカフェーに勤めてからちょいちょい来て会っていたらしく、また小夜子の方でも何んといっても兄妹のことですから兄は兄として、気持の上では頼りにして居たのでした。
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  • 1930, 小出楢重, めでたき風景:
    そして何かたべながらちょいちょいと舞台を眺める教育を受けたのである。
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  • 1931, 佐藤紅緑, 少年連盟:
    小鳥はとちゅうでドノバンらが岸にのぼって猟獲したもので、伊孫とドールは小鳥やきの用をおおせつかったが、やけしだいにちょいちょい失敬するので、なかなかはかどらない。
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  • 1932, 宮本百合子, 舗道:
    従って、ちょいちょい居残りさせられても大抵のときはタダで、使われる者の損になるばかりだ。
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  • 1933, 豊島与志雄, 立枯れ:
    ……ただ、しいて云えば、神経の衰弱が少しあって、そのため過敏になって、ちょいちょい自覚的な故障を覚える……といった程度のものですね。
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  • 1934, 豊島与志雄, 千代次の驚き:
    家の近くを、夜遅く、変な人がうろついていた……家の横手で、変な人が立聞きしていた……そういう噂を、ちょいちょい聞くようになりました。
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  • 1935, 大阪圭吉, 石塀幽霊:
    雄太郎君は、ふと、自分の通っている学校へ、この頃ちょいちょい講義に来る妙な男を思い出した。
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  • 1936, 岡本かの子, 決闘場:
    ワルトンは、栗色の髪を油でこてこてにした頭を、女の顔にぶっつかる程突き出して、褐色の瞳を小賢かしく、女の瞳に向き合せながら、幾分細長い顔にちょいちょい小皺を寄せる。
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  • 1937, 倉田百三, 光り合ういのち:
    「万葉集の方はちょいちょい読みました。
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  • 1938, 国枝史郎, 甲州鎮撫隊:
    ……と思っている植甚の鼻をあかせ、俺アこれ迄にちょいちょい此処へ潜込んで、今日までに千両近い小判を揚げたからにゃア、俺の方が上手だろう――と思っているとお前が現われた。
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  • 1939, 林芙美子, 朝御飯:
    奥さんはみかけによらぬ料理好きで、ちょいちょいと短時間にうまいものをつくる才能があって、火鉢でじいじいと炒ためてくれるハムの味、卵子のむし方、香のもの、思い出して涎が出るのだから、よっぽど美味かったのに違いない。
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  • 1940, 織田作之助, 夫婦善哉:
    ふと視線が合うと、蝶子は耳の附根まで真赧になったが、柳吉は素知らぬ顔で、ちょいちょい横眼を使うだけであった。
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  • 1941, 堀辰雄, 朴の咲く頃:
    若しかすると昔ちょいちょい見かけたことのあるその死んだ爺やの顔――目つきのこわい、因業そうな爺やの顔がふいとその瞬間鮮かに浮んで来ただけ、その閉された小屋は妻がそれをうす気味悪がった以上に、私自身の心に暗い影を与えているにちがいなかった。
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  • 1944, 海野十三, 海野十三敗戦日記:
    爆弾らしい地響きもちょいちょいした。
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  • 1945, 海野十三, 大脳手術:
    なおその上に良くないことに、今だにちょいちょい悪性のおできがふき出し、我慢のならぬ臭気を放つのであった。
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  • 1946, 豊島与志雄, 塩花:
    ちょいちょい頂きますので、すっかり干しあがるまでには、半分はなくなってしまうでしょうと、皆さんが仰言いますし、またそれくらい甘くなければ、乾燥にする甲斐がないとも仰言いますが、まったくですよ。
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  • 1947, 宮本百合子, 二つの庭:
    翻訳をはじめてから、素子はちょいちょいした相談相手としてフィリッポフというロシアの人と知りあいになっていた。
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  • 1948, 豊島与志雄, 自由人:
    それからもう、菅原さんのことも、この紹興の店のことも、天元社のことも、ちょいちょい話しかけていたのを、すっかり口にしなくなった。
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  • 1951, 宮本百合子, お久美さんと其の周囲:
    朋輩の仲よしをねたんで口を入れては仲違いをさせて見たり、煙草好きな主婦の大切がって居る煙管をちょっと布団の下にかくしてみたり、ちょいちょいした小悪戯をして居た。
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  • 1952, 豊島与志雄, どぶろく幻想:
    店の景気がよくなってくると、土地でも有力な尾高一家の者まで、ちょいちょい顔を見せるようになった。
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  • 1953, 佐藤垢石, 盗難:
    佐藤の家には、千鶴子のほかに自ら産んだ子供が三人もあるのであるから、みゑ子を返したところでさびしいことはあるまいと、愚痴をちょいちょいこぼすのであると言う。
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  • 1956, 小金井喜美子, 鴎外の思い出:
    ちょいちょい坂もありますから後押も必要なのでしょうし、また毎日土にまみれて働く人々には、町中へ出るというのが楽しみでもあるらしく、女たちは皆小ざっぱりした支度で、足拵えも厳重に、新しい手拭を被り、赤い襷をかけて、ほの暗い道を、車を押して来るのでした。
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