Japanese citations of さやさや

  • 1900, 泉鏡花, 三枚続:
    「はい、」と案外軽い返事、さやさやと衣の音がして葭戸越に立姿が近いたが、さらりと開けて、浴衣がけの涼しい服装、緋の菱田鹿の子の帯揚をし、夜会結びの毛筋の通った、色が白い上に雪に香のする粧をして、艶麗に座に着いたのは、令夫人才子である。
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  • 1908, 伊藤左千夫, 隣の嫁:
    朝露しとしとと滴るる桑畑の茂り、次ぎな菜畑、大根畑、新たに青み加わるさやさやしさ、一列に黄ばんだ稲の広やかな田畝や、少し色づいた遠山の秋の色、麓の村里には朝煙薄青く、遠くまでたなびき渡して、空は瑠璃色深く澄みつつ、すべてのものが皆いきいきとして、各その本能を発揮しながら、またよく自然の統一に参合している。
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  • 1909, 泉鏡花, 海の使者:
    その麓まで見通しの、小橋の彼方は、一面の蘆で、出揃って早や乱れかかった穂が、霧のように群立って、藁屋を包み森を蔽うて、何物にも目を遮らせず、山々の茅薄と一連に靡いて、風はないが、さやさやと何処かで秋の暮を囁き合う。
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  • 1920, 岡本綺堂, 小坂部姫:
    堀も大方は埋もれて、水の色も見えないほどに生い茂った高い草が夕風にさやさやと靡いていた。
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  • 1921, 岡本綺堂, 火薬庫:
    煙草好きの佐山君は一本の煙草をすってしまって、さらに第二本目のマッチをすりつけた時に、釣竿を持った一人の男が蘆の葉をさやさやと掻き分けて出て来た。
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  • 1924, 宮本百合子, 伸子:
    ――真竹の藪がさやさやと鳴った。
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  • 1925, 宮本百合子, 祖母のために:
    彼等の白羽二重の斎服が、さやさや鳴り拡がり、部屋一杯になった。
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  • 1926, 宮本百合子, 九州の東海岸:
    雪の降らない暖国では樹木がこうも、さやさや軽く真直ぐ育つものか。
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  • 1936, 萩原朔太郎, 定本青猫:
    蘆や葦のさやさやといふ音はさびしい。
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  • 1941, 田畑修一郎, 医師高間房一氏:
    たぐりよせる綱のさやさやと引擦り会ふ音はさつきと同じやうにあつた。
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  • 1943, 太宰治, 金錢の話:
    たうもろこしの葉が、風にさやさやと騷ぐのも、ながなか優雅なものである。
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  • 1946, 加藤道夫, なよたけ:
    文麻呂 それでは、あの竹の葉がさやさやと春風にそよぐ音は聞えないのか? 俺にはそれまで手に取るように聞えて来るのだ。
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  • 1946, 豊島与志雄, 波多野邸:
    竹の葉にさやさやとそよぐけはいがあるだけで、庭の茂みは静まりかえり、藤の花が幾房か重く垂れていた。
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  • 1947, 林芙美子, 梟の大旅行:
    庭の木が、梢を鳴らしてさやさやとうごいていたし、蟲もないていたし、世の中は何と云う廣さなのだろうと思いました。
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  • 1951, 神西清, 少年:
    微風がわたつて、葭や黍がさやさやと鳴つてゐた。
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  • 1951, 宮本百合子, 地は饒なり:
    海にある通りの珊瑚が、碧い水底に立派な宮殿を作り、その真中に、真珠のようなたくさんの泡に守られた、小さな小さな人魚が、紫色の髪をさやさやと坐っています。
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