Chapter Text
サンドロックで、毎週木曜日は診療所の定休日だ。この日、医者はいつも早起きして、薬を採りに出かけた。一緒に暮らしてから、あなたが目覚めるなら、彼と一緒に出かけていた。もちろん、ほとんどの場合はあなたがもう目覚めるのに、出かけようとした彼に布団に押し戻されて、もう少し休ませるように「強要」されることがある。
今週木曜日は異郷にいるんだが、長年の起居するかけて、いつもと同じように早起きさせてくれた。しばらく薬を採る必要がない以上、あなたたちはいっそ真剣に防寒対策をして、町の中心の外で散歩した。
ルートはメインストリートに沿って東門から出て、さらに西に向かって田野と農場の小道に沿って、ツリーファームの入り口まで歩いた。前回ポルティアを訪れたとき、Dr.シューは彼を一度ツリーファームに連れて行った。そこには経済的価値がある林木が多く、それに伴生種にっとて食用菌もある。草薬はむしろ野外には多くないが、緑地の森でしか嗅げない草木のにおいは確かに心地よい。
しかし今は冬で、常緑樹の枝葉だけが風に揺られ、擦れてサワサワと音を立て、時折まつぼっトリや猪鼻フクロウの鳴き声を織り交ぜている。港へ行ければ波の音も聞こえるかもしれないが、あなたたちは「日差しがないうちに、湿気が濃い場所へ行かない」と黙契的に決めた。
冬の夜は長くて、夜明けはまだ来ない、明るくない少し暗い空の色があなたに教えて、今日は快晴じゃない。
ツリーファームから戻る途中、医者はふと何かを思い出して、「あ、そうだ。論文や臨床報告書に関してデータのは、もうすぐ整理されて、シュー先生は『今日の仕事は早く終わることができる』と提案した。」と言った。
あなたは聞いて驚いた顔をした。
「本当に?!ちょうど今日は何か言い訳をして、Dr.シューのところに行って、早めに誘ってあげようと思っているよ!」
彼はなぜかと尋ねようとしたが、不可解な表情が顔に浮かんで1秒も経たなくて、二人にとって「今日」の意味をすぐに悟った。そっと笑ったように、彼は今夜の予定を愉快に考えているあなたを見つめて、ついでにあなたが彼に引かれたその手を冬服のコートのポケットに入れた。
——そう。二年前の今日は、まさに彼がやっとあなたの気持ちに正面から応えて、二人がお互いに歩み寄る日だ。
夜だけだと行ける場所が結局限られている。また、ポルティアのビルダーによると、ある場所が冬には開放されない。例えば医者と一緒に体験したい熱気球だ。サンドロックのトラム車両のような高空プロジェクトは、医者が嫌っているわけじゃない。ならば熱気球もきっと大丈夫だ。しかし季節限定を守らなければならず、あなたもしばらくこの計画を棚上げするしかない。運が良ければ、ポルティアを離れる前に一度体験できるかもしれない。それなら、運をピーチに任せてればいい。
一度行ったら、そこで暇をつぶすような場所があればいいのに…そうだ!
出発のに二日前、パブロの店に髪を切りに行った時、彼は確かにこのような場所を勧めたことがあった。それは——
「——温泉リゾートだよ!温泉リゾート!あのねあのね、あの場所はね、めっちゃいいだよ!2、3年前に正式に開発されたが、好評がたくさんある!しかも本物の火山温泉だよ!火山温泉って知ってる?肌にもいいし、健康にもいいし、あんたの先生もきっと好きになるよ!だからね~ベイビー、ポルティアに着いたら、是非そこにチェックインしなさいよ!」
そこであなたは思い切って、「じゃあ…酒場で食事を済ませて、一緒に温泉に行こう!」と誘いた。
「温泉?うん…シュー先生もフィリスさんも、そこについて話したことがあって、確かに…私も気になるんだ。」
「そりゃよかった!じゃあ、そうしようか。」
「でも…温泉浴場では、水着を持参する必要があるそう…」
「持っているよ~安心しろ。」あなたはドヤ顔で笑った。
「…えっ?!」
あなたはやっと彼に先日パブロがどのようにワクワクしてポルティアの温泉リゾートを強くお勧めしたのかについて話したんだ。そして出発前日、寝る前に最後に荷物を整理する時,いっそ二人の水着を畳んで、リュックの内側の中間層に入れた。万が一温泉に行く機会があれば、すぐに役に立ちだ。行けなくても大丈夫だし、どうせリュックの中に入れてもそんなにスペースが取られていない。
「そうか…だから、荷物を片付ける時間が、私より遅いんだ。でも、確かに転ばぬ先の杖だ。賢明な判断だね、ダーリン。」
恋人になった日(あるいはハート結び目を断られた瞬間)から、どんな些細なサプライズでも、彼はあなたを褒めることに余念がない。口調は淡泊かもしれないが、褒める一言一句は絶対に心から出てきた。
最初は少し慣れていなかって、たまには大げさに感じることもある。その後、手を繋ぐのと同じように、彼が自分から愛を表す方法の一つであることが徐々にわかってきた。そしてあなたはすぐに素直に受け入れて、今のように自然に答えることもできた——
「実はね…僕が本当に行きたいと思っている理由の一部があって、それに、パブロも君がきっと好きになると言ったもん。我がサンドロックのファッション達人だから、目がきっと高いんだよ。」
彼はうなずいて賛成した。
アパートに帰ってきたとき、空はもう少し明るくなった。アックという黄色のAIロボットがボール型のホームステーションから出てきて、スキップして、感情が豊かなシンセシスの音声で声をかけてきた。
アックは今日の天気は彼の気持ちと同じようによくないと言って、あなたたちが心配そうに彼の後ろ姿を見送っている間に、朝のランニングを準備していたマリー、昨夜公共用水区で出会って、あなたがサンドロックから来たことを一目で見たあの颯爽とした女性だ。彼女はあっさりと笑って言った。「彼が搭載している言語の…モジュール?というものかな…とにかくその話し方で天気を放送しなければならない設定で、本当に気持ちがよくないの意味じゃない。お二人は安心してください。その言葉は…何だっけ…あ、そう。『アンドロエドは電気羊リブの夢を見ることがない』…でしょう?」
あなたはもうチーホンが最後の言葉を直したときの真面目な口調を思わずに想像できた。(「すみません,残念ながら,正しい言い方は『アンドロイドは電気羊の夢を見ることがない』です。でも、この語弊を『最近羊のリブを食べたくなった』と解読してもいいですか。)。
朝食を食べた後、あなたと医者はそれぞれ西門の外のワークショップと丘の上の診療所に向かった。別れる前に、夕方5時ごろにアパートの部屋で合流して、必要な備品を持って、ついでにネックレスを部屋に置いて、酒場に何か食べてから、牧場の北西方向の目的地に出発することを約束した。
Xはすでにポルティアの地元の飛ぶ生物たちと仲良くなっており、ツリーファームにパンバットを探して一緒に遊ぼうと喋って、あなたたちは温泉に長く浸かりすぎないようにと心添えした。
ワークショップを到着したら、アルサランはあなたが昨日作った髪飾りを渡してくれた。
「ポルティアの冬夜は、サンドロックより湿っぽくて、屋外では干し難いんだ。そんで、屋内に持ってきて、ドライヤーの冷風モードで素早く乾燥させてあげた。」
あなたは急いで彼にお礼を言った。彼はやんちゃに手を振って、「もうすぐ仕事が始まるから、もっと力を出せばいいよ。」と言った。
動物たちを驚かせないために、昨夜は事前に庭の家禽と家畜を農場と牧場に送り、エミリーとマクドナルドに数日間の臨時世話を頼んだ。庭の結構は大きな変動はなく、彼は住所と作業台の間にエリアを配置し、工場から基礎加工類の設備2が各一台ずつを運び出して、エリアに配置しようた。理由は工場の自動化の便利さに頼りすぎず、人間として、やはり設備を使って部品を作っている感覚をもっと感じたいからだ。
彼の考えはもっともだと思いますが、サンドロックの庭は最近ほとんどペットパークになりそうで、屋外に設備を積み上げるのは本当に不便だ。いっそ帰ってハイディに相談して、小さなアトリエを一軒建ててみよう。
力を合わせて工業用溶鉱炉、多目的グラインダーと多目的丸ノコを1台ずつ運び出し、設置後に燃料パックと一緒に調整に入った。これらのことをし終わったら、お昼になるところだった。
あなたたちは組立ステーションの上に簡単に繊維布を敷いて座り、それぞれが異郷で自活していた時に経験したエピソードを交流して、短い時間で話が弾んだ。よもや「早く会えばいいのに」までじゃないが(ましてそれぞれカップルがいた)、少なくとも相手に会うのは、まるで別自分を見ているような気がした。
「ええ?アンサンも夏8日?自分もよ!」
ポルティアのビルダーは驚喜の表情であなたを見ていた。
「まじで!縁が深いよ、僕たち!」
「あ、ちなみに、うっちのオークスを見たことがあるはずた。彼も同日に生まれたんだ。」
「えっ、そうなの?我が町にも同じ誕生日の人がいる…いや、いた。なぜなら、色んな理由で、アイツは…しばらくサンドロックに戻ることはないんだ。」
「…さよっか。」
彼はあなたがその「戻らない友」の話をしている間に少し落ち込んでいたのを見て、しばらく黙っていただけで、巧みに話題を移した。
「せやかて…それぞれの町で生まれ育った子じゃないのに、話が盛り上がると、それぞれの住んでいる場所を『我が町』と呼んだね。」
「あ、本当だ…もしかしたら、僕たちがもうこの場所と絆が生まれることを意味だろう。」
「かもね。だっでさ、アンサンはもうサンドロックに所帯を持っているじゃん。」
もうちょっと「お互い様だ」を口走るところだった。あなたがすぐに反応して、この言葉をそのまま飲み込んでしまった。むしろあなたをからかったばかりのアルサラン自身が少し感慨深くて、顔を上げて、青くなくなっていく空を見て、独り言を言ってため息をついた。
「じゃあ、自分はね…どうなるのか。自分も知らんね。」
そう言って、彼は視線を戻して、あなたを見た。
「あのなあ…アントワーヌもエミリーも、いつも暗示的なことを言っているので、アンサンはすでに知っていると思う。自分にも恋人がいるよ。」
あなたはしばらくぼんやりしていたが、できるだけ落ち着いてうなずいた。
「そんで、仕事でサンドロックにもよく行っていたので、アンサンたちもきっと彼に会ったことがあるはずと思いう…色んな助けてくれて、おおきにね。」
またぼんやりして、電光石火的な考えた後、あなたは誇張したボケをしずに、やはりできるだけ落ち着いてうなずいて、「いや、どういたしまして。」と答えた。
彼の肩はあなたの答えに合わせてリラックスして、暢気に笑って、あなたの背中をたたいた。「…やっぱり!アンサンきっととっくに知っているんだ。ハハハハ!」
大笑いした後、彼は少し笑いを止めて、「じゃあ…いつから?」と尋ねた。
「…ここに来た初日はもう…」
そう言って、あなたはここに初めて来た夜、医者とアパートに帰る途中で、偶然彼らが親密な振る舞いをしているのを見て、すぐに寄り道して帰ったことを簡単に告白した。余計な雑談もあるかもしれないが、あなたも一緒に話すことにした。
「…ミントさんが恋人ができること、半年ほど前に、先生ともう知っていた。何しろ、僕たちは研究所の斉衡局長と仲良いし…でも、あの時、『恋人はビルダー』ってことを、まだ知らなかった。つまり、ミントさんはあなたのことを全部局長に教えていないかもね。」
「へえ~そりゃちょっと彼らしいじゃないぞ…チーちゃんとは色んな意味で隠し事がない友達だと思ったのに。」
あなたはひそかに「チーちゃん」って呼び方のために笑った。アルサランと同じ誕生日だが、彼はあなたよりまる1歳年下だ。しかし、医者より少し年上の局長を「ちゃん」と呼んだ。
ミントが恋人とよく「スペースケース」の友人について話をすることがためか、局長はポルティアのビルダーの心の中で、もはや神秘性がなくなった。あるいはアルサランも局長が科研大好きな外見の下で、子供っぽい一面もあることを知っている。
「そう?むしろミントさん…」
「『さん』を外せろ。彼の代わりに許可した。」
「あ、はい…むしろミントがわざと局长にあまり披露したくない…と思うよ。」
「え?どうしたの?まさか自分は彼が他に自慢する価値がない…」
「いいえ、違う。」
あなたは思い切って彼が冗談で自分を卑下しようとした言葉を遮った。
「それはちょうどミントがあなたを独占したい表現だ。幼馴染の親友でも、あなたのことを全部話したくない…そう思う。」
「……え?」
「えっと…何と言うかな…これはすべて僕自身の一存で、もし彼やあなたを怒らせたと思ったら、すぐに僕を中断してください。じゃあ…ミントは普段はぼんやりしているように見えるが、肝心な時になると、例えば彼の専門分野に関わると、すぐに十二分以上に真面目な状態になる。そして、ぼんやりしているように見えるだけで、身の回りの些细なことにとっても、すごく気にしている。
「些细なことを気にしている以上、あることに対して、どうやって必要な程度にコントロールして、例えば…自分の恋人について、どんなことを公にすることができて、どんなことを心の中に置いて自ら味わうことができて、彼はきっとよく考えたに違いない。いや…そう言うのはよくないかもしれんが、ミントの身世について、局長から少し聞いたことがある。だからね、ミントにとって、このようなさりげなく些细なことに気を配りも、空気を読む方法も、全て自己保護のような潜在意識の習慣なのかもしれんか…と思う。」
アルサランは呆然とあなたを見て、不思議に近い顔をしていました。
あなたは急いで、「あ、ごめんなさい。独りよがりすぎる…」と謝った。
「ううん、別に…ちょっと驚いだけた。アンサンたちは何度も会ったことがないのに、彼の本質を正しい見抜いているんだ…」
ポルティアのビルダーは意を決するように深呼吸をして、真剣にあなたを見ていた。
周りの人々にニコニコしているのに、あなたの前でこんな顔をするのは初めてた。
「さって…一緒に料理を作ろうか。午後の予定は気にしないで、食べながら話しようか。どれくらい知り合ったかとは関係ない。自分はなあ、アンサンに話したいことがめっちゃたくさんだぞ。」
…
昼にそれぞれ二つの料理を作った。彼は肉キノコ鍋と茹でたむきえびを加えた塩シチューを作って、あなたは肉のチリいためとポルティア風の地三鮮を作った(食材はカボチャ、バンブーパパイアとレイヤーにんじんで、この在地の野菜で置き換える方法はオーウェンが教えてくれたんだ)。
スープと主食はそれぞれ分業があり、彼はミートボールと野菜のスープを作って、あなたは本格的ハイウィンド・チャーハンを作った。飲み物はあなたがサンドロックから持っている砂茶だ。彼の家のベランダの食卓で、あなたたちは食べながら話をして、彼は自分の経歴を余すところなくあなたに話した——
プレスリー会長が推測していたように、10年以上もそばにいなかった父に怨みが多いにもかかわらず、手紙を受け取って、ポルティアのワークショップを引き継ぐように誘ったら、アルサランは迷わず出発した。
バーナロックのおばさんの家にも余裕がなかったので、彼が離れた時、2歳年下の妹はもうすぐ大学に進学し、衣食を切り詰めて学費を集めるのはそんなに簡単じゃなくて。特にアタラの大学にいた。彼は自分がこの時に離れることが、彼女たちにとって最高の恩返しだと思っている。それだけでなく、ポルティアの生活が落ち着いてきたら、毎月金一封を送金していくことになるんだ。
他人の家に宿った10年以上の経験をして、初めてポルティアに来たビルダーは、一部の人から差別を鋭敏に感じらせた。親切な人たちよりも、この差別こそ一番気になった。
最初の依頼が奪われたことから、金を搾られ未遂のこと、そして例の「メモの件」に至るまで、この一連の事件の影響で、他の親切な人と自然に仲良いことができなくなった。さらに、一時は「親切な人たちも利益のためにすぎない」、そして「親切な扱われるのは父のおかけさまて、自分の努力とは無関係だ」と独断的に考えたりすることもあった。
この考えは町で誰にも話したことがなく、いっそ心の隅に置いて、時間に任せてゆっくりと解消するしかなかった。後がない立場に立たされて、町の人々と仕事以外の交流をすることを恐れて、そこでわざと何もなかったかのようにした。作り笑う仮面をかぶって、できるだけ善隣をして、絶えずにギルドの依頼と町民の願いを達成した。まるで単純に量的な任務と見なして達成してこそ、自分の心の中で少しは楽になるようだ。
エンジニアさんが来るまで。
彼らが初めて出会ったのは西門の外の城壁の近くだった。その年の初秋のある普通の朝で、ポストの前で手紙を受け取ったビルダーさんは、さり気なくて城壁のそばでぐっすり眠っていた黄色と青の姿が発見した。手当たり次第に依頼用のブランケットを彼の体に被らせて、この些細な仕草が逆に相手をうとうとさせて目を覚まさせ、舌足らずでお礼を言って、また寝てしまった。
ビルダーさんは少し心配して、いっそ隣に座って自然に目が覚めるまで待っている。たが、相手が目を覚ます前に、前日徹夜で仕事をしていたことによる睡眠不足のせいで、ビルダーさんも思わずに寝てしまった。目が覚めると、そのブランケットはビルダーに被った。相手は自分も目が覚めて間もないと言って、そして再び丁寧にお礼を言った。
いくつかの挨拶の後、ビルダーは相手が都市建築エンジニアであることを知って、さっきサンドロックで橋の修理を手伝って、舟車の苦労を経てハイウィンドで船に乗ってきて、ゲイル市長に頼まれて、ポルティアに来た。夜のフェリーに乗ったから、接岸時はまだ夜が明けていなかったので、埠頭から町の入り口まで歩いた時は眠くてたまらないので、いっそのこと城壁の下で寝た。話をしている間に市役所も開く時間になった。エンジニアさんは親切なビルダーさんに別れを告げ、市長と顔を合わせに行った。
即夜の例会で、ビルダーさんはエンジニアさんの名前がミントということを知った。あの旧世界の科学技術を専門に研究している人工島の出身した。このたびはまさに「ポルティア—サンドロック·トンネル」の工事のために、さまざまな準備をしている。
アルバートは勿体顔でミントとゲイル家の親戚関係について話をしてるにもかかわらず、ガストは彼に対する態度が妙に冷たくなっているにもかかわらず、エンジニアさんも笑って「大丈夫だ」と言っているだけで、「睡眠では解決できない問題は何もない。もしあれば、二度寝をしよう。」も言った。
トンネル工事現場で頻繁に地震が発生したまで、落石で怪我をしたのに、また「大丈夫だ」と笑っていたエンジニアさんを見て、ビルダーさんはなぜか心が痛んだ。傷だらけの外見とは全く合わない淡々とした姿は、亡くなった母を思わせる。溜まっている疲れは持病にならせられても、無事したふり家事を切り盛りしながら、笑って夫の遙々的な帰期を待っている。
その後、コミュニケーションはますます多くなって、お互いは単純仕事仲間と見なすことはなくなる。エンジニアさんはビルダーさんにもっとプライベートなことを相談し始めて、ビルダーさんも彼が自分と似ていることに気づいた。表は何も気にしないが、裏は考えすぎて、ずっと空気を読んでいる。
ビルダーさんもエンジニアさんの身世を知るようになった。もともと孤児で、人工島[-ベガ5-]の福祉施設で育った。同校同級の小さな「スペースケース」と話が合うので、友になった。放課後、二人はよく友のお爺さん、あの一生懸命に天体物理学を研究してきた老人を探した。
そして、友のお爺さんは逝去された。当時ベガ5の見学に来ていたゲイルに会った。ゲイルはこの気が利くて物分りの子供が好きで、彼の身世を知っていた後、高校を卒業するまで生活料を援助してきた。特定の教育補助金と奨学金のおかけで、大学を卒業したした後、友と一緒に科学研究に身を投じずに、すぐ工事現場に身を投じ、資格を取得して、エンジニアになった。
その後、アタラで電力システムの改造工事に参加した時、エンジニアさんは当時のスポンサーと再会した。相手が雄志を抱く市長になったことを知り、その年に彼を成長させた恩に報いるために、砂漠トンネルと都市間ハイウェーの依頼をためらうことなく引き受けた。
ゲイルは明言していないが、執事のルッソさんが示した短い合図から、ゲイルは彼が家族の一員になることを意図的に受け入れているようだ。でも、彼も知っている。ゲイル家には傲岸な息子と多病な娘がいる。彼らに自分を受け入れることが一番難しい。
それでも、彼は彼らに自分を受け入れてもらおうとした。下心があるわけでもないし、奉承しているわけでもない。自分がこのことでどんな世間話をされるか知っていて、ただ小さい頃から「家族」という概念に対する憧れだけで、努力して勝ち取る決心をさせた。ましてかれに家族と見なしていたのは、一番早く彼を認めて、そして取り立てきた目上の人だった。
続いて、町の一連の重大事件のほこりが落ち着くにつれて、ビルダーさんはついに決心して、ハート結び目をエンジニアさんに渡した。しかし、彼は戸惑って逃げて、しかも連続3日だった!(ここに聞いたら、あなたの表情も微妙になった。幸いにも相手が逃げた理由は単純に恋愛の経験は全然ないんだ)。ゲイルとDr.シューの協力のおかげで、エンジニアさんはようやく心を正視して、ビルダーさんの気持ちを受け入れた。
またしばらくして、エンジニアさんは真剣にビルダーさんと今後のことを相談した。彼はビルダーさんのためにポルティアに残りたいと思っているが、ビルダーさんは彼が自由連盟で奔走している事業を手放せないことも知っている。そこでビルダーさんは「行かないで」と「これで別れる」以外の3つ目の答えを果敢に出した。それぞれの事業をうまく運営することを前提に、二人で共にその感情を維持する。たとえずっと別居していても、一方に暇があれば、相手に探して行けばいい。エンジニアさんはこのような選択に意外だったようで、でも承諾した。そして今まで1年以上の間に、彼らはこのような長距離恋愛を続けてきた。
「…前に言ったはずだ。今春、ファンさんがジンジャンの再診に来た時、自分はちょうど町にいなくて、ベガ5に行った。」
あなたはうなずいて、「その時、ミントを探しに行ったんだろう。」と聞きた。
「せやな。当時はさあ、そこで開かれた科学研究サミットがあり、理論的には全連盟の科学研究者が参加していたが、マーリンさんの場合は特殊で、そこで自分をペトラについて、一緒に行くことに決めた…彼っちのガストを派遣すればよかったのに、『ヤツは妹のそばにいて医者を待つことに執着している』って。あくまで普通のビルダーくせに、そんなに専門的な会議に参加させてくれたなんて、よくわからん…まあ、市長さんの苦心におかけで、自分の私情が満たしてくれて、そして…私欲もだ。」
「私欲?」
「うん。」
ポルティアのビルダーは首を傾げて、港の方向を見た。
「…会ったことの当日午後、自分自身を彼に全く捧げた。」
既婚者として、この淡々とした一言に隠された巨大な情報量は、あなたが一気に気づくことができた。
「…でも、当時はね、確かに、両方も我慢できなくなって、成り行き上て…まあ、行動的には、彼を止めないように誘惑したのは、もちろん自分だった。これからどうするか考えていなかった。最悪の結果は、もしある日、この感情が行き止まりになったら、せめて自分と彼には愛された記憶があるんだ。どうせ男だから、たとえ彼にやられたの方も構わない、自分に责任を负っていることも必要ない。もしある日彼が後悔したら、『当時、犬に噛まれただけだ』と思えばええ…」
「…実はさ、本音は?」
彼がまた自分を貶す発言で本心を逃れようとしているのが聞こえて、あなたはズバリ尋ねた。
彼はあっけにとられて、すぐに苦笑した。
「…もちろん、一生、彼だけの人になりたいよ。」
そう言って、彼はまた砂茶を飲んで、自分の首にある金色の星のペンダントをつけた黒い首輪を触った。
「これはね、彼からの最初のプレゼントだ。ずっとつけている理由はね、1つ、本当に好きだから。そして2つ、結婚指輪以外に、首輪は所有権を最も直感的に示すアクセサリーだから…最初は長距離恋愛を選んだのは、彼がエンジニアとして、盛年にいることを知っていたからだ。全自由都市で、彼はまだやりたい、あるいは興味を持っている工事が多い。たとえば…『北方開発計画』に関する工事の監理とか。自分は私情のために彼を縛る理由はない。彼はもちろん彼の広い世界で大いに活躍すべきで、彼が帰ってきてから、もっと自分と一緒にいてくれれば十分だ。」
「自分たちは今まで、一緒にいても1年半になった。彼はいつも優しくしてくれた。ここに帰るたびに、仕事の処理して、そして市長家へ見舞いを除いて、ほとんどそばにいた。しかし、最近…なぜか、彼が優しくしてくれるほど、自分はますます怖くなってきた…
「自分はね、自分にはきっとその根気があると思っていた。もしある日、彼は女性のほうがいいことを確認したら、誠実に相談してくれる限り、自分はきっとすぐに彼の手を放して、そして誠実に幸せを祈っている。さらに将来のある日、彼に自分の子供ができたら、自信があって、第一養父の位置のために、チーちゃんと公平な競争するはず…しかし最近、このような根気は、真空状態の袋のように、もうすぐ空っぽになると思った。
「彼はいつもそう言って、自分と一緒にいて、まるで良い眠りをしたことがあるように気持ちいい。これが彼の最も誠実な気持ちであることを知っていて、自分にこんなに高く評価してくれて嬉しいんだ。しかし、自分と付き合うのは、彼が生涯初めて恋をしたからだ。彼の世界で、もっと素敵な人に出会えることを知っているよ。その中には、きっと別の人もいて、彼に良い眠りをしたことような心地よさを感じさせることができた。
「もし、あの人がホンマに現れたら、彼に好意を伝えたらどうする?彼は自分と一緒にいた時のように心を動かすのだろうか。自分はどう?ホンマに最初の予想していたように、すぐに手を放すことができる?長い間考えていたが、最後には初心から完全に乖離した答えが得られた…やっぱり、全然できないよ。そんな人は現れないほうがいいとさえ思って、現れてもさっさと消えてくれたほうがいいんだよって…自分が知らないうちにこのような過酷な考えを抱いていることに気づいた時、自分はもう…怖くなった。」
「長距離で共にこの感情を維持することを選んだのは自分だ。皮肉なことに、彼が奪われるのを恐れているのは、また自分だ。だから昨日は、結婚と決断について問題を質問した。なぜなら…ホンマに合法的な伴侣の身分が欲しいな。それさえあれば、彼をずっとそばに縛り付けることができた。
しかし、彼はどう思う?受け入れるだろうか。それとも前言を翻した自分を嘲るだろうか。結婚したらどうなるの?自分はホンマに同等の、さらに倍加の好意で彼に報いるだろうか。彼がずっと家庭に憧れているのは知っていたが、彼を血の繋がった子供さえあげられないんだ。こんな自分が、彼の家族になる資格はあるだろうか。このままで彼をポルティアに残して、自分のそばに残しておく資格があるだろうか。」
彼はますます泣きそうで、あなたは思わず椅子を動かして、そばに座って、肩を揉んで彼をなだめる。あなたの位置が変わったことに気づいて、彼は謝罪を持って口元を引っ張った。
「…ごめんね、ずっと喋っているのに。」
あなたは頭を振った。「ううん。もう言ったはずだ。『話したいことがめっちゃたくさん』って。」
そう言って、あなたは自分の手に砂茶を入れたコップを彼のと軽くぶつけた。
「なんというか…うちの先生と一緒にいる過程も、なかなかうまくなかった。あなたの経験とは少し違うかもしれんが、3日間も引きずって、正式に恋人になった。『最初の予想とはずれていた』って、あの時、僕も体験した…先生はね、色んな悲しいことのせいで、他人と深く付き合うのが怖くなったことがあって、幸い、僕は彼に最も信頼されている。ハート結び目を渡すことにしたとき、彼に断られる可能性を思い切り想像したことがあって、どうせ一歩後退できると思っているのは、引き返して親友になり続けることにほかならないんだ。
「けど、本当に断られたとき、旧世界の人情本がだましていないことに気づいた。心はね、めっちゃ痛くて死にそうだった…その後、僕の体調を心配して、もう一度話してくれた。断った理由が逆に僕のことを気にしているからだと知ったとき、最初に予想していた体面が全部消えてしまったような気がした。さらに、もし本当にこれから知らない人になったら、思い切り彼を傷つけてもいいと思った。例えば、わざと強引なキスしたとか、ついでに唇を噛んで血が出たとか…」
「ホンマにやったの?」
「まさか。彼の心の傷は痂さえきれいに落ちていないんだよ。もし新しい傷を添えたら、僕は本当に肥料の原材料にも及ばないんだもん。」
「でも、最後にも一緒にいたんだろう。」
「うん。彼自身が十分な勇気を持っているおかげだ。多くの場合で、前に進むより、振り返ることのほうが勇気が必要なことが多い。彼が振り返って、僕を見ていたからこそ、特に何もしたことがなく、ちょうどそのために利益を得ただけだった。」
そう言って、あなたもたくさんの砂茶を飲んだ。
「ねえ、アルサラン。知ってる?今でも、僕はずっ~と彼と一緒にいる資格がないと思っているよ。」
ポルティアのビルダーは呆然として、少し不思議そうにあなたを見てた。
「彼はね、とっても純粋で、むしろ純粋過ぎる人だから。さらに有難いことに、どんなに暗闇を経験しても、この純粋さは苦難にみちた生い立ちのせいで変わったことがない。
「どんなに困難であっても、他人に誤解されても、自分の基準と一線を守ることができる。それと同時に、身の回りのすべての素晴らしいものを大切にして、美しいけど、苦痛を与える可能性がある部分を含んでいる。また、自分の欠けていることや足りないことに気づけば、自分の心の一番痛いところに巻き込まれても、自発的に自分を変えて補うことを望んでいる…
「こんな素敵すぎる彼に比べて、僕はただのわがままでだらしないただ者だ。そんな僕が彼と一緒にいるなんて、あり得ない…って。だからこそ、ずっと、彼と一緒にいる資格がないと思っているよ。」
「でも、事実が本当にそうであっても、僕はずっと彼のそばにいたい。与えられるすべてを彼にあげたい。力が必要なときは力を与えて、温かみが必要なときは温かみを与える。必要とするものであれば、必ず全身全霊を傾けて彼にあげる。知っているので、彼が僕に返してくれたものは、いつも彼にあげたものより何十倍も多いんだ。例えば…信頼、加護、依存、欣賞、そして…愛。
「だからさ、資格がないと自覚していても、もっと努力して、彼の力になりたい…と言ったら、『愛してる』と言うより、『必要してる』と言うことだろうか。」
「…必要?」
あなたはうんとうなずいた。「そう。必要だ。僕の人生には彼が必要で、『掛け替えのない』ほどの必要だ。」
アルサランは心ありげな黙っていて、仕方なく笑った。
「…ったく…アンサンに言われて、何を言ったらええのか分からんよ。もう…『アンサンがいて、ファンさんはホンマに幸せだな』って違う…『彼がそばにいて、アンサンはホンマに幸せだな』って、そりゃも違う…いや、『お互いがあったのは、ホンマによかった』…うん!こりゃええやん!」
「ハハハ、褒めてくれてありがとう。」
そう言って、茶を酒の代わりにして,あなたたちは再び乾杯した。カップのお茶を一気に飲み干した後、既婚者で幸せそうな先輩として、まだ迷っている恋の戦士にアドバイスをしてくれた。
「とにかく、もし今後の人生において、ミントを必要としている程度も僕が時渺を必要としているのと大差ないと確信しているならば、まず躊躇わずに、できるだけ早くあなたの本音を言ったほうがいい。たとえ暗示するだけでも、少なくとも彼に知ってもらう必要があって、あなたはすでに身分を変えて彼と余生を共にするつもりだ。」
この気が置けない長い話のおかげで、この昼食は昼12時から午後3時半まで食べられた。後始末をするとき、あなたたちはそれぞれ相手のもてなしに心から感謝した。
「いやあ~ポルティアの食べ物はさ、一般的に塩辛くてあっさりした。バーナロックを離れてから、こんなに辛くて癖になる肉のチリいためを食べたことがないようだね。毎年鍋パーティーには唐辛子をもっと入れたいと思ったな~けどジャンゴさんは許さないよTAT…」
「なにしろ身近シーサイ人がいるので、いくつか辛口の料理を作ることができるのは必須のスキルだろう。」
「おお?ファンさんはシーサイ人だ!道理でね、自分たちはまだ隣人だよ!」
「今も隣人だぞ。サンドロックもポルティアの北にあるもん…辛いものが食べたくなったら、すぐサンドロックに僕たちを探しに来て、ミントを連れて来なくてもいい…そもそも、こちらこそ、ありがとう。僕も、ハイウィンドを離れてから、新鮮なエビをあまり食べなくなった。」
「そうか。水産物が食べたければ、いつでもポルティアに自分を探してもええよ…いや、違う。アンサンがハイウィンドに帰ったほうが便利なようだな。」
「何も違わないよ。友達に会えば、やはりポルティアに来るじゃん。」
この「友達」のために、アルサランは欣快に微笑んだ。
洗った皿を乾かして、そばにいたポルティアのビルダーが覚悟を持って言っているのが聞こえた。
「実はさ…今夜、ミントはここに来るんだ。」
あなたはしばらく手の仕事を止めた。。
「彼はね、正式に市長さんの養子になったのは、昨年初めのことだった。しかし、陰で議論されるのを避けるために、市長さんの家に住まないことを決めた。仕事を終えてここに帰るたびに、まずアパートに何日か住んでいて、もうすぐ離れる2日前に、おれんちに住んでいた。今年は…暖冬で、冬キャンプを体験する観光客が多くなりそうだ。観光客に部屋を空けるために、彼は早めにチェックアウトして、おれんちに直接来てくれるはずだと言った…」
あなたはそれでやっと皿の水の汚れを丁寧に拭き続けた。「じゃあ…決めたか?」
「うん。決めた!」彼は真剣にうなずいた。
4つの皿を食器棚に入れて、彼の肩をたたいた。
「じゃあ…素敵な夜になるように~!」
彼も笑った。
「こちらこそ。デートがうまくいくように~!」
…
ワークショップを出て、すぐにアパートに戻って、温泉に行くための荷物を片付けた。
4時半過ぎに医者が帰ってきた。Xがツリーファームの方向に飛んでいくのを見送って、あなたたちはいっそ早めに出発して、酒場に行って簡単な食事をする。
宿題を終えて、ゲームセンターで遊んでいる子供たちが、何かを熱く語っているようだ。
「ふん!本当の男としては、もちろんコーヒー牛乳を!」
「やめてよ、トビー。まだ未成年でしょう。Dr.シューは授業で何度も言ったじゃん。できれば、13歳以下の子供はカフェインを摂取しないようにし、13 ~ 18歳の青少年はカフェインを少なく摂取しているようにって。コーヒー牛乳1本でも、きっとだめだよ。」
「怖くないんだよ~来年は俺が13歳になる!もう決めたよ!その時は、必ず母さんに温泉に連れて行ってもらい、そして…男になって、コーヒー牛乳デビューを迎えて!」
「いいもん。その時になったら、苦くて口をゆがめるほどはいけないでくださいよ!私たち女の子はこのような形式主義的な理由で1つの味だけを固定することはない。もちろんその日の気分で、飲みたいものを飲むよ。」
「ごめん、モリー姉…あたしはやっぱり苺派。」
「ドリー!!」
「あ、私、ミックスフルーツ派だ。広告によると、ポルティアのミックスフルーツ牛乳は全部で8種類の果物が集まっているそうで、具体的にどの8種類の果物なのか、試食で論証してみる。」
「ポリーってば…!!」
「へえ~同じ屋根の下の三姉妹なのに、まったく息が合わないじゃん!こんな時は、やっぱり俺たち男次第…」
「声明して,トビー。僕は元味派だ。」
「はあ?!お前ココナッツ派だったのに!ジャック!!」
「だって、元味の牛乳を飲んでこそ背が伸びるからだぞ、姉さんがそんなに苦労しないように、僕は早く背が高くならなきゃ。」
記憶違いがなければ、この子供たちの5人はパン屋のトビー、服屋と道具屋の夫婦の3姉妹、そして花屋の弟ジャックだ。旧世界では温泉や熱いお風呂に入った後に牛乳を飲む習慣があったのを覚えている。ポルティアの温泉が有名になるにつれて、この習慣も流行してきたようだ。子供たちが論争しているのは、大体こんなの内容だろう。
「ミルク屋さんなら、この時、きっと必死に、ヤクメル・ミルクを、お勧めするだろう。」
「だよね~子供たちは彼がヤクメル・ミルクの歴史的意識を話しているうちに、こっそり逃げないように。」あなたはうなずいた。
ジャンゴはトレーを持って歩いてきた。「この季節たら、ホットミルクはもちろんいいんだが、うち円卓の騎士が出品した杏皮茶もいい選択だよ~!温泉でも売っている。」
「杏皮茶?」
急いで医者を見ている。彼はうなずいて、確かに知っているようだ。
「薬用のお茶じゃないけど、旧世界から伝わってきた代茶飲料だ。旧世界のある砂漠地域で、代表的な暑さ対策飲料だ。騎士さんにレシピがある以上、シュー先生が提供した、かもしれない。」
ジャンゴは軽くトレーをたたいて拍手を示した。「すごいよ、ファン先生。よく知っているね!Dr.シューだけじゃなくて、研究開発の時、アルサランもずいぶん力を入れてくれたね!杏の皮やサンザシの乾物も、そして陳皮も、全部彼のワークショップの庭で干したぞ。他のワークショップは受けるのが好きじゃないこの些細な依頼のに、彼だけがパリパリと、何も言わずにあっさり受け入れた。」
ジャンゴによると、彼の杏皮茶は冷たい飲み物も温かい飲み物も両方に合う食感を考慮したという。冬には熱いものを一口飲むと、胃を温める効果はホットミルクに劣らない。そこであなたは医者と飲んでみることに一致で同意した。
温泉に行く途中に交通機関に乗って、帰りに散歩することにした。ディーディー車両とヤクメル車の乗り心地の差はあまりなくて、ただ機械動力と生物動力の差異かもしれない。
あなたたちはアヒル池駅で降りて、水面にはまだ薄氷が張っていた。近くのマクドナルドじさんとエミリーはすでに民兵団の協力のもとで力を合わせて巨大な熱気球の布とバスケットを取り出して干して、やがて春になると、熱気球デートの業務が本格的に再開されるたつもりだ。しかし、天気予報によると今夜は60%の降水確率があるため、彼らはこれらの装置を倉庫に一時回収するのに忙しい。エレベーターに登ると、温泉リゾートが見えてきた。実はその近くにディーディー駅がある。アヒル池に立ち寄って見たいだけだ。
二人の計300ゴルの入浴料を受付のおばさんに払ったところ、突然の転落音が聞こえてきた。アンバー島のおそろし洞窟は冬に休業しているため、臨時に温泉に出稼ぎに来たリウワは狼狽的な顔で半分の木造ドアを引きずって出てきた。
「ちょっと!リウワったら…!!大丈夫??」
「大丈夫だよ、女将さん。でも…木造ドアのヒンジは、今年を越えられなかったようだ。」
「それはさておき、とにかくあんたが無事でよかった…私のせいだ。冬に忙しくなると、このぼろぼろの木造ドアはずっと修理していない…」
「さもないと…ビルダーを探しに行こう?」
「やめてくれよ!他のビルダーは期待できないし、今夜アルちゃんは事情があったのを忘れたのか?こんなの大事な時のに、カップルのデートを邪魔して、恥ずかしくないでしょう?」
「じゅあ、どうしよう?導水作業場にはドアが半分少なくなっても、お客さんは煩くされるじゃないか。」
あなたと医者はすぐに目を合わせて、息が合ってうなずいた。医者が先に更衣室に入ったので、あなたが急いで二人の前で手を挙げた。
「あのう…すみません。ポルティアのライセンスを持たないが、ビルダーを探したいなら、ここにいるよ。」
…
一時的な手伝いだが、あまり時間をかけずに木造ドアのヒンジを直した。あなたは女将さんからの無料報酬を婉曲に断って、早速体をきれいにして、水着に着替えて、すぐに温泉浴場に入りた。
裸の肌はすぐに晚冬の夜の眠気覚ましの冷たい空気に触れて、幸いにも浴場全体に充満した水蒸気に包まれていて、寒さに震えるほどではなかった。
顔を知っている町民たちも他の池に温もりを楽しんでいる。彼らは簡単に親切に挨拶して(ルッソじさんは医者の大まかな方角をあなたに指差したほど)、あなたは微笑んで応えた。
絶壁に寄りかかる側の池で医者を見つけた。灰墨色の長髪をゆるく束ねて背後に垂らし、背中の傷跡を巧みに隠した。彼があなたを見つめる目は一時微妙で、驚き6分と喜び3分、あと1分とはなんと照れくさい!
あなたはこのように見つめられて、気をつけて池の中に入って、彼にくっついて座っていた。彼は不自然に咳払いして、あなたに最も近い右腕を上げて池の縁に掛けて、まるでためらって周囲を探り、チャンスを待って、いつでもあなたを懐に引き入れる準備をしているようだ。
あなたは少し訝るそうに彼を見て、「そんなに僕を見ているのに、どうしたの?」と聞いた。
「いや…別に。ただ、あの…初めて水着姿を見て…め、珍しいと思った。」
そう言って、彼の目は少し逸らした。あなたは彼の耳元が少し赤くなっていることに気づいた。確かに、お湯はちょうどいいくらいの微熱ですが、彼が浸かっている時間では耳元を赤くするほどではないはずだ。昔水着を着て、大勢の人の前をランウェイを歩いていた彼に対する純粋な反応に、あなたは思わず彼をからかった:
「何か珍しいのか。僕の全裸姿を見たことがあるのに、水着姿はどうしたの?」
「水着って…別の話なの…」
パブロが水着のデザインについて、「見えそうで見えないの肌の露出度が一番魅力的だもん!」などと言っていたのを覚えている。あなたは最初気にせず、その夜まで、あなたは彼が誰も知らない勇気で、最後の瞬間にランウェイを歩いて、大トリを務めたを目撃した。感慨しながら、耳元がずっと熱くなっているのを感じた。やがてそれがほぼ美女のファッション達人がいつも口にしている「性的張力」という旧世界の語彙であることがわかった。
あなたはまだ彼にあの夜の気持ちを詳しく話したことはないが、今彼があなたの水着姿のため、思わず目を逸らしたような反応は可愛い過ぎる。これは積極的な「報い」かもしれない。あなたはそう思う。(ちなみに、ファッションショーの数日後、ワークショップの庭での打ち上げで、嬉しそうに酒を沢山飲んだパブロは酔っ払い、声を張り上げて後ろの空き地に向かって「房時渺!おめーすげー男前だぜぇ!」と怒鳴ったら、付近のロケットルースターたちはびっくりして震え上がらせた。)
そこであなたはまた彼のそばに寄り添って、甘くてしゃれて声を低くして言いった。
「じゃあ~そうしようか。どうせサンドロックにはチャンスがないからむしろ…これから一緒に旅行に出かけて、何度でも海とか温泉とか行って、何度でも水着を着て、君が見慣れるまで…どうだった~?」
彼はまだ少し頑固に顔を背けて、わざとあなたを見ない。池の縁に掛けた腕が急に曲げて、あなたの肩を抱いたことがあった。水しぶきが飛び散って、顔は彼の肩の皮膚にくっついている。
もっと上のは、子供の頃に医術の勉強に夢中になりすぎて残した傷跡だと知っている。あなたはいっそのこと重心を偏らせて、もっと緊密に彼に寄りかかって、彼がついに誠実に視線を戻すまで。
甘酸っぱい中にちょっぴりスパイシーなエピソードが水蒸気の中に散りばめられていた。あなたは当たり前のように彼の肩に寄りかかり、顔を上げた。夜空はまだ暗い錆色で、もちろん月も星も見えない。
あなたはそれが全然大丈夫だと思っている。いずれにしても深愛な人はそばにいて、曇っても晴れても、砂嵐ても雪ても、目に見える場所であれば、すべて良辰美景だ。
あなたはほっとしていて、少しだるさを持って自発的に言った——
「…やっぱり、硫黄臭こそ温泉の醍醐味だな~」
「うん、そうだよ。受け入れられない人もいる、かもしれないけど。」
「子供の頃…しばらくの間、父さんの体には、いつも赤い発疹ができていたが…今考えてみると、脂漏性湿疹のようなものだったのではないでしょうか…家の近くの診療所の医者は、父さんが硫黄石鹸を使うように勧めてくれた。それから半年ほどの間に、うちはずっと硫黄石鹸の匂いだった。ある日、地理の授業で、先生が『天然の火山温泉は,通常硫黄臭がある』と言っていた。僕は思わず、『ああ、うちは火山温泉の匂いではないか』と思った。」
「その後は?…あっ、父さんの湿疹のことを。」
「一年後にはやっと治ったよ。でも、母さんはまだ少し不安で、いっそ残った硫黄石鹸でわざわざ父の肌着を洗濯して、例えば服やシーツやなど。」
「確かに、予防の良い方法だ。」
「そうだよ。そして洗浄力も強いもん。その後、実習の時、硫黄石鹸を作って家にあげた。もちろん成分は改良されていて、専門の硫黄石鹸より少し柔らかでした。」
彼はふと心ありげな黙っていて、またゆっくりと笑った。あなたは少し退屈そうに尋ねた目で彼を見て、彼は笑って手を上げてあなたの頭を揉んだ——
「なんだか…さっきふっと思ったが、もし、他の人にこのことを話して、アルビオに伝えたら……彼はもしかして、直接に君を探しに来て、この石鹸のレシピを求めて、かもね。」
よく考えると、こんなことは本当に起こるかもしれない。そこで、あなたはずるずると目を回して、「じゃあ…値段をいくらにすればいいかな~慎重に考えていかなきゃ。」と言った。
彼は笑ってうなずいて、また一言付け加えた。
「このことは、2年前の私なら、わざわざ考えないだろう……そして、これ以外にも、実は、別のことを考えていた。」
「…別のこと?」
まさか診療所のため薬草を主材料とした薬用石鹸を開発するようなことではないだろうと思った。その時、水面は穏やかに揺れられる。彼は体を動かして、あなたの前に移動して、さっきあなたを抱いた右腕があなたのそばに移して、池の縁に支えた。左手は自然に水下であなたの腰を触れた。彼はあなたを間近で見つめていて、深くて洗練されたラピスラズリのような瞳には、間違いない深情けが溢れていた——
「私、2年前の自分に伝えたい、『今度は、愛する人は、あなたから離れていない。それだけじゃなくて、2年後の冬、一緒にポルティアにいて、温泉に入っている。そして…』」
彼はそれ以上言っていないし、あなたも彼に言うように催促していない。その必要はないからだ。彼の目つきから、「そして…」のあとで省略された具体的な内容は、あなたはすぐに理解した。
水面はまた穏やかに揺れられる。あなたはためらわずに、彼の翩然に舞い降りたキスを受けた。お互いの呼吸は角度の微妙な変化に従って、纏綿な交錯していた。水下の左腕はあなたの腰を締めつけて、あなたも思わずにゆっくりと手を伸ばして、指先は彼の後頸から、脊椎、肩甲に沿って、背中の溝まで流れてきた水玉と軽やかに同行した。
水玉は結局、微熱なお湯に集まって消えてしまう。
でも、あなたの手は消えない。
彼の背には、全てあなたがいつでも泊まる自由港だから。
(…そして、正式に終生伴侶を契るあなたたちは、熱湯の水蒸気に遮られて、傍若無人にキスをする。)
まだ少し未練を持って、あなたたちはお互いを放した。水蒸気の後ろはいくつか心から感嘆する声が聞こえてくることに気づいた。感嘆の内容に沿って、あなたたちは思わず顔を上げて、錆色の夜空に向かって手のひらを広げた。
雪が降った。
規模は大きくないが。この温度では、氤氳的な暖かい結界を突破して、手に落ちる雪花も少ないが。
あなたたちに驚喜させて、期せずして见回して、雪が落ちた迹を探すことは、それはもう十分だ。
彼はまたあなたの肩を抱いて、一緒に池に沿いて座った。あなたは彼の腕の中に寄りかかって、一緒に雪が舞い降りてきても永遠に降らないような幻い風景を見上げていた。旧世界には同じように露天風呂のある場所があり、人々は温泉に入りながら、水温を借りて酒を温め、景色を観ながら小酌していたという記録を見たことがあると思った。観るのはきっとこの程度の景色でしょうか。まさにこれ以上ない贅沢なおつまみだね。
「…こんな景色を観て、確かに酒を飲みたいね~健康にはちょっと不利だけどね。」
彼は短く「うん」と同意したが、ついでにあなたの額にキスをした。
「健康のことを考えるなら…温泉卵を食べたほうがいい。」
「いい考えだ。」
あなたは医者からの肯定を収穫した。
……
温泉に入るとやっぱり体が楽になる。リゾートを出ると、思わず二気持ちよく背伸びをしていた。あなたたちは願い通りに温泉卵を味わったことがあって、そして同じように水温で温められた杏皮茶もあった。
もちろん、2人分の温泉卵と杏皮茶は無料で、女将さんは「どうしてもポルティアに旅行に来た客をただ働きはいけない」と何度も言ったからだ。完全に無料にするのは適切ではないと思っている以上、軽食だけ無料のは問題ないはずだ。
あなたは急いでうなずいて賛成して、「今度はね、アヒル池が凍らないうちに、ついでに熱気球を体験することもできだ。」と付け加えた。
雪はしばらく止み、リゾート地の山にはまだうっすらと雪が積もっている。下山してから、路面は少し湿っているだけで、雪の跡は全然ない。標高の高い山の方が雪が積もりやすいのかもしれない。
医者は慎重に髪を8分乾くまで吹いて、あなたたちはやっと出てきた。いつものように右側に向かってゆるく斜めに結んだ彼の髪を見て、あなたは無意識にポケットに入れた髪飾りを押した。これは確かにわざわざ急いで作ったもので、ビルダーの通用図面にも記載されていない髪飾りを作るのは初めてだ。
年末に一緒にポルティアに出張する通知を受けて、あなたはもうやり始めたっだ。彼の誕生日には別のプレゼントがあったので、これはわざわざこの日に作ったのだ。仕事が忙しくてデートができないかもしれないと考えたら、普段あげたことのない特別なプレゼントを贈るといい。きっと彼に似合うと思って(所詮、やっているときは頭の中でずっと彼がつけた姿を考えていた)、問題は彼が好きになるかどうかだ。
そこであなたは彼をその場で待たせて、それから何かを発見したかのように、彼の束ねた髪の間を手探していた。
彼はまだ「どうしたの?何か紛れ込んでいるの?」と首をかしげている。
あなたは曖昧に返事をして、あまり具体的には言っていないが、手探りの間に、手の中に隠していた髪飾りを彼が気づかないうちに、髪の紐で縛られた場所につけておきた。これは小さなトリックで、謎の男はたまに街角に滞在し、簡単な手品で客の注目を集め、あなたはこっそりと少し学んだ。
あなたが「できた」と言うのを聞くまで、彼はやっと自分の髪に完全に気づいた。束ねられたそのところには、今まで見たことのない装飾品が増えた。表面は紋様の薄いヤクメルの角で、ラピスラズリ2つの間に楕円形の、サンドロックの鉱脈でほとんど発見されていない深い青緑色の孔雀石が埋め込まれている。
彼は驚喜してあなたを見ていたのに、あなたは少し照れそうに目を逸らして言った。
「…遺跡でこの図面を見て、用途を研究してわかったら、すぐに君を思い出して、1つ作ってみた…所詮今までやったことのないものだったので…」
まだ言っていないうちに、あなたは足が急に地面から離れたような気がした。彼は後ろからあなたを抱き上げて、その場をぐるっと回った。あなたは無意識に彼の腕を握って、思わず驚呼を上げて、すぐに笑ってしまった。地面に戻した後も彼はずっとあなたを抱いて、耳元に近づいて、心から言った——
「…ありがとう、ダーリン。好きすぎて…大切に着けるよ。」
あなたは顔を背けて、彼の横顔にキスをして、「常に着けてなら、もっと嬉しいよ」と言った。
短時間だが、大体には順調なデートだ。あなたたちも心から喜んで、身心とも愉悦を感じていた。この場所を極力に勧めしてくれたパブロに感謝しなければならない。今後ポルティアに再来たら、また必ず行く場所が増えた。彼へのお土産は少し豊かてもいい。
牧場を迂回して、町の西門までの道のりは長くも短くもなく、あなたたちがいつものように手を繋いで歩いていくのに十分だ。
西門の外のワークショップを通った時、あなたは意識的に見て、ある窓のカーテンの後ろに、二つの重なり合った人影がちらほら見えて、すぐに明かりが消された。ポルティアのビルダーも恋人と円満な夜を迎えるようで、あなたは少し安心した。
明言しても暗示しても、今夜、「手を携えて余生を過ごしたい」という思いが、順調でミントに伝わるかどうか、今はまだわからない。アルサランもあなたと同じように、好意を表すときには言葉の代わりに行動することに慣れていて、自分から愛を率直に話すことは彼にとっても難しい。でも、あなた自身ができる以上(ただ大事な場合に限り、例えばプロポーズ)、彼もきっとできると信じている。
——そう言えば、医者の業績に少し頼っただけでなく、アルサランという友人に出会ったおかげで、あなたはより短い時間でポルティアの多数の町民たちとも仲良くすることができる。まだ形になっていない考えがゆっくりと心の土の中に芽生えている。あなたはサンドロック風で、アルサランと彼の恋人をもてなしたい、できれば在地の親切な町民たちも含める。
自由都市連合の各町の間では、春夏の2つの固定祝日を除いて、他のすべての異なる祝日の風習に感謝しなければならない。今や「サンドロック風」を完璧に見せるタイミングがある。時間的にはちょっと倉卒かもしれないが、明日から準備すれば、せめて小さな範囲で進捗に間に合う。
黙っている時間がまた少し長くなったことに気づき、医者はあなたの手をちょっと握った。あなたは急いで彼を見て、胸に竹のような笑顔をしていた。
「只今、突然ポルティアで何かをしようとしたよ。」
医者は呆然として、「『何か』って…何?」
「ねえ、時渺…今冬、サンドロックの冬祭りをポルティアに引っ越したいなら…どうだい?」
←To Be Continued