Work Text:
ミニッツメンのフラッグが靡き、マクドナウ市長が立ち去ったダイヤモンドシティでは、徐々にグールの立ち入りが看過されるようになってきていた。
とくに、あの「将軍」の持ち家──ホームプレートでは。
「あんたの薬の使い方について文句がある」
ホームプレート内でジョン•ハンコックは腕を組み、ミニッツメンの「将軍」ノーラをじっと見ていた。
「奇遇ね。私もあなたの薬の使用頻度については小言を言おうと思ってたのだけど」
「あー…それは今度にしてくれ」
ハンコックは優雅にコートの裾を揺らしながらノーラに近づくと愛おしそうに恋人である彼女の頬を撫でた。
「俺があんたに薬を寄越す時は、息抜きをして欲しい時だ。わかってるか?」
「…ええ、それが?」
ノーラは彼の言いたいことがなんとなくわかったが、とぼけることにした。ハンコックの要望には応えられるか自信がなかったからだ。
「あんたはいつも仕事や戦いの時にしか使わないだろう。自分に鞭を打つために使っているんだ」
「でもハンコック、薬の使い方なんて人それぞれじゃない」
ハンコックは肩をすくめる。
「それを言われたら何も言えなくなるがね。わかってると思うが俺はあんたが心配なんだ。あんたのやってることはとても立派だし、あんたが仲間に気を遣って──身の振り方を考えて敢えて茨の道を選んでいるのもわかっている。そんなあんたに気付くのが遅かったのは…俺が悪いが」
「そんな事…」
ノーラの反論を遮ってハンコックは首を横に振った。
「とにかく、それに気づかず薬をプレゼントしていた事にも、俺は責任を感じているのさ」
だから…とハンコックは続けた。
「今からでも俺とちょっと良い使い方を学んでみないか?…息抜きのためのさ」
ハンコックは、真面目なノーラならば絶対に乗ってくると確信していた。そしてその確信の通り、ノーラは少し迷うそぶりを見せた後、真剣に頷いた。今からハンコックがしようとしている事は、騙し討ちと言われても否定できないような事だ。
「さぁてじゃあ始めようか…ベッドに腰掛けてくれ」
ノーラをベッドに座らせるとポケットから「デイトリッパー」を取り出した。ウェイストランドでは主に媚薬として使われるものだ。
「…ねぇ、それって」
ノーラはデイトリッパーを見てハンコックを見上げた。
「おや、もしかしてもうこの薬の効果は知ってるのかな」
ノーラは恥ずかしそうに目線を逸らした。その仕草で、ハンコックは自身の暗い奥底で高揚感が湧き上がるのを感じた。コンバットゾーンのケイトも言っていたが、確かに彼女を見ていると「めちゃくちゃ」にしたくなる気持ちはわかる。アウトローな生き方をしている奴ならきっと尚更だろう。
ミニッツメンを復活させ、連邦を復興させようとする英雄。困った人間を放って置けない人たらし。そして死んだ夫を心底愛し、時々どこでもない遠くを見つめる女。決して誰にも苦しさを明かせない、ノーラ。
ハンコックは彼女が壊れることを何より恐れていた。それと同時に、自分の手で壊す事を夢見ていた。
「ハンコック?」
不安気に名前を呼ばれ、ハンコックは意識を目の前のノーラに戻した。
「ああ、ごめんな。…俺たちの関係ってなんだと思う?…記憶が間違ってなければ、あんたは俺を選んでくれたと思っているが」
ノーラはデイトリッパーの存在と、ハンコックの遠回しな発言で言いたい事を少し察したようだった。
「ええ、そのつもりだけど…。その、もしかして」
「きっとあんたの想像通りだ。デイトリッパーを使ってあんたと楽しみたい。だが無理強いはしたくない」
流れるように性交渉の誘いをかけてくるハンコックに、こなれた感じを覚えて苦笑しながらノーラは言った。
「なるほど、実技で教えてくれるってわけ」
「そうそう。ハンコック先生のドラッグ授業…デイトリッパー編ってとこだな」
皮肉の応酬にノーラは少し声をあげて笑っていたが、ひとしきり笑ったのちにいいわ、と頷いた。
「最近私もあなたも働き詰めだったしね」
「そりゃあ嬉しいね。あと、わかってるとは思うが俺はグールになってからイクのが遅くて仕方ない。だからそんな俺についていけない時、こいつはあんたの役に立ってくれると思う」
ハンコックはデイトリッパーを一錠咥えるとノーラに口付けて含ませた。きれいな水をノーラに手渡し、飲むように促した。
「私もイクのが遅くなるってこと?」
ノーラは薬と水を飲み下すと、イタズラっぽく笑った。
「それは飲んでのお楽しみ」
ハンコックは愛おし気にノーラの頭を撫でた。
すでにハンコックとノーラは、粘膜を擦り合わせるようなコミュニケーションを何回か行ってきていた。しかし、グールの代謝の遅さ故か非常に遅漏である。ハンコックが射精するまで、ノーラには待つ時間が発生する事も珍しくなかった。
ハンコックが少し手を加えたデイトリッパーは性的快感を感じやすくするだけでなく絶頂を引き延ばすよう作用するものであり、ノーラはハンコックに舌で陰核を転がされている間、シーツを水浸しにするほど感じ入っていた。
「はっ…♡はひ…っ♡へっ…へッ…♡」
自分の情けない、犬のような呼吸音が聞こえてさらに恥ずかしくなってしまう。ハンコックは気まぐれのようにヴァギナに萎えて固くなっている舌を挿入し、肉の壁をざらざらと擦る。
「やっ♡あぁッ♡ハン、コックっっ♡♡」
「なんだい、お姫様」
尿か潮か愛液かもわからない液体に塗れた顔をノーラに向け、ハンコックはニヤニヤと笑う。
「なんかおかしいの…っ♡ずっとキてる…!!」
「そりゃあそうだ。そういう薬だからなぁ」
「身体全部おかしい…」
「やめてもいいが、疼きを解放させてやった方が早く治ると思うぜ?将軍さんよ」
ハンコックはやくざものらしくククク、と喉奥で笑って見せる。
「まんこはちょっと休憩させてやるとして…それじゃあ胸でも頂こうか」
ハンコックはノーラの上に乗るとノーラの豊かな胸にわざと下品な音を立てて吸い付き舐め上げた。
「ハハ…フェラルグールになった気分だ」
ノーラはフェラルグールは舐めずに噛み付くでしょう、と思ったが、そんな反論もできないままでいた。ハンコックの硬い舌で乳首を弄ばれ、ノーラは思わず足を閉じてもじもじと動かした。
「デカいって言われないか?」
ハンコックは軽くノーラの乳首をつまむとゆっくり持ち上げる。ノーラは再び恥ずかしそうに目を背けた。
「………レイダーとか…サードレールの客とか…」
おいおい、レイダーはともかくサードレールでそんな事言う奴居たのか。ボーイにはキツく目を光らせるように言っておかなきゃな。
「後ケイト…」
良い気持ちはしないが、確かにケイトなら言いそうだ。ハンコックは「ああ…」と返事するとノーラの谷間に顔を埋めた。
「この胸はハンコックのもんだって看板でも立てておきたい気分だな」
「何言ってるの…」
ハンコックが甘えるように乳首を吸い上げると、普段より高い感度によりノーラは大きな嬌声をあげた。普段であればさほどこんなに胸でせつない感覚にはならないはずだ。
「このまましゃぶりつづけたらミルクが出たりしてな」
「で、出るわけないじゃないっ…」
「出たら、他の誰にも飲ませないけどな…俺はいいと思うぜ。ミルクが出る将軍様…毎晩絞ってやりたい」
ハンコックの冗談じみた妄想は彼らしくないような気がして、ノーラはハンコックの顔を覗き込んだ。
「あなたも何か薬を摂取したの?」
「ん?あぁ…サイコだな」
攻撃性や興奮性が高くなる薬だ。
「そんなもの………」
「挿れたら、ジェットもする。あんたのナカの感覚が無限に感じられて本当に最高なんだぜ…なぁノーラ…あんたをたくさん味わいたいんだ…いいだろ?」
許してくれと言わんばかりに甘えた声で顔を近づけられてしまい、ノーラは「今日だけよ」と小さい声で答える他なかった。
ノーラの乳房がハンコックの唾液でベタベタになる頃、ようやく乳房はハンコックから解放された。
ノーラは早々に裸になっているのに対し、服を着ているのはハンコックだけで、股間はズボンの上からでもわかるくらいには固く盛り上がっていた。
「さてそろそろ脱ぐかな…暑くて仕方がない」
ハンコックは帽子とシャツ、コート、ズボンを脱ぎ、全身の爛れた皮膚を晒した。
「これで引かない奴ってのはそういない。男でも、女でも」
「だから、何か言ってくるやつが居たら私がぶちのめしてあげるって言ったじゃない」
ノーラはハンコックを見上げながら胸板に触れた。
「グールのチンポはどうやっても人間より臭くなるし」
「あなたのにおいならむしろ……」
いいかけて、ノーラは恥ずかしくなったのか口を閉じた。
「……何だ。俺のために、最後まで言ってくれよ。ノーラ」
ノーラは小さくため息をついて、小声で「好きよ」と言った。
気分を良くしたハンコックはノーラの上に跨ったまま、パンツを下ろし人間に比べるとやや皮膚が萎れているように見えるソレを取り出した。
「こいつも嬉しいって言ってるぜ…ほら、ノーラに挨拶だ」
「やめてよ、もう」
ハンコックは、恥ずかし気な顔のまま眉を顰めるノーラの頭を撫でた。
「舐めてくれるか?」
「…ん、」
ノーラはハンコックの先端にチュッという音を立てて口付けし、下から上へと舐め上げた。ゾクゾクと感じながら、ハンコックの思考に「こんな事、死んだ旦那にもやっていたんだろうな」という独り言が差し込まれる。グールになる前よりも縮んだ睾丸を舌で愛撫し、口全体を使ってハンコックのペニスを吸い上げるノーラ。何回か体を重ねる事はあったが、最初にした頃から彼女は手慣れていた。セックスに対して手慣れているのは自分もそうだと、ハンコックは自分に言い聞かせてきたが、自分の嫉妬深さには驚かされるばかりだ。
「うまいな…ノーラ」
…旦那に教わったのか?という言葉は飲み込む。代わりにノーラの頭を撫でてやる。ハンコックは、ノーラに嫌な気持ちにはなってほしくなかった。ノーラに優しくしたかった。薬を使おうが使わまいが、ノーラにはもう悲しい事とは無縁の所にいて欲しかった。それがもはやハンコックが愛した「危険の中で誰かのために奔走するひと」ではなくなるとしても、綺麗で清潔な柔らかい毛布に閉じ込めて外に出したくないと思ってしまう。それは結局嫉妬心の裏返しでもあった。
ノーラは健気にハンコックの反応を見てペニスをしゃぶり続けていたが、疲れてきたのか一旦口を離した。唾液の糸とカウパーが混ざり合い、ハンコックのペニスからノーラの唇に伸びている。
デイトリッパーが効いてきたのか、ノーラは足をむずむずさせ、ハンコックを物欲し気に見た。
「ハニー、何が欲しいか教えてくれ」
ハンコックは優しくノーラの頬を両手で挟む。
「ハンコック…!わかってるくせに…!」
「ごめんな。聞きたいんだよ…あんたが俺のチンポを欲しがる言葉が…」
ノーラの蜜所は陰核の愛撫がなくなり、乳房で焦らされ、フェラチオをする事でせつなく、たまらなくなっていた。
「ハンコックお願い、苦しいの。意地悪しないで……」
震える声と少し泣きそうな顔。そうだ。確かにノーラに“リラックス”を教えるつもりだったのはハンコックだ。それに、そんな顔をされてしまったらハンコック自身、堪らなくなってしまう。嗚呼、かわいい俺だけのノーラ。かわいそうなノーラ。
「…………クソ」
小さく悪態をつくとノーラの唇を乱暴に奪い、ノーラの口内をざりざりと荒れた舌で蹂躙する。グールと違って瑞々しい張りに満ちたノーラの口内を、スムーズスキンよりも乾いた舌で翻弄する事はとても気分が良かった。ノーラが相手なら、尚更だ。
「ふぁ…♡」
ハンコックが意地悪をやめてその気になったと理解したノーラは嬉しそうにハンコックの背中に腕を回してくる。その仕草もハンコックには堪らず、股間は痛いくらいに膨張していた。グールになってから、こんなに膨張している感覚になったのは初めてかもしれない。
「ノーラ。俺のノーラ…。良い子だ。何も心配いらないからな。俺が全部気持ちよくしてやる。はぁ…一緒にクスリの使い方を覚えような……」
最後の一言はもう帳尻合わせのようなものだが、仰向けのノーラの入り口にペニスを押し当て、枕元に置いておいたジェットを吸引した。時間感覚が異常に遅くなり、ノーラに押し込んだ時のノーラの表情の動きがじっくり観察できた。ペニスから脊髄、脳に伝わる刺激は一時的に鈍麻し、遅漏なグールが使えば更に相手を楽しむ事ができた。
「ふぁ♡あっ♡おっ♡んおぉっ♡ほッ♡」
いつもは聞かないような、あの凛々しくも柔らかな「将軍」が出しているとは思えない情けない声。こんな声はセックスでも初めてだった。デイトリッパーの効果だろう。
「は、ハンコックっ♡これッこれぇおかしいのッ♡ずっとへん…!!♡んぁああッ♡」
「あぁ…どんな風に変なんだ…?俺が治してあげるよ…」
「あ、あし、足の間が…」
「まんこだろ?」
「っ…まんこ、がぁ……!」
恥ずかしさでノーラの顔が歪む。ハンコックはこういう時グールで良かったと思い、ハハっと凶暴な笑みを浮かべた。ハンコックが普通の人間だったら、ノーラのこんな顔を見たら射精していただろう。
「ま、んこが…ずっとへんで…っ♡ずっと…降りて来れなくてッ♡はあぁあ、あっ!あっ!♡イクっ、止まらないッ♡怖いぃ♡」
ノーラは甘い絶頂を持続的に感じているらしく、無意識に腰をガクガクと振っている。
「そうか〜怖いのか〜。ノーラ、自分で腰へこへこしちゃってるもんなぁ〜」
「へぇ…?あ゛ッ♡や、やだ、見ないで…!止まらな…あぁあッ♡イ、イッちゃ、〜〜〜〜ッッッ♡♡♡」
「こんな所まだ誰にも見せた事ないだろ?俺しか見てないからさ…ヤダなんて寂しい事言うなよ。…な?」
ハンコックはノーラの腰を支えつつ、空いた方の手でノーラの下腹部をぎゅうと押し込んだ。ノーラはその途端に全身を弓なりにし、泣き声のような嬌声をあげた。
「あ゛!あ!は、あぁああ゛〜〜ッ!!♡♡♡い、い、いっちゃ、あああぁ゛あ……!!!ッ!♡♡♡」
「ほら、おなかよしよしだぞ〜」
ハンコックは歯を剥き出して笑っており、そんな事は本人もノーラも気づいていなかった。
「うれしいなぁ、きもちいいよなぁ、よかったなぁ、えぇ?ノーラ……。まだ正常位だから気をやるなよ、後ろからはもっと奥にキスしてやれるからさ………」
まだまだ終わらないどころか、これ以上の快楽刺激がある事を朦朧とした頭で聞かされ、ノーラは反射的にハンコックに背を向けベッドから降りようとシーツの上を這いずった。しかし当然逃げる事は叶わず、ハンコックは優しくノーラの腰を捕まえると後ろから覆い被さりノーラの頭を撫で耳元で言葉を吹き込む。
「逃げるなんて悲しいなぁノーラ…大丈夫だ、優しくするから」
サイコはそろそろ効果切れである。ジェットだけがハンコックに作用している状態だった。ハンコックはバックの姿勢のままノーラに再度挿入した。
ノーラは声にならない声を漏らしながらハンコックを受け入れる。先ほどの体位よりも深い所まで届く為、そこが擦れる度ノーラは枕を抱きしめて顔を強く押し付けている。
「ん゛♡んぉ゛♡も゛♡ん゛ッほ♡」
「奥までヨシヨシしてやれるから、こっちのが好きだけど…枕に妬けるのがこの体位の悪いとこだよなぁ」
ノーラの頭を撫でながら、ハンコックはもう片方の手で腰を逃さず、ノーラの肉壁をぞりぞり擦って味わう。
「ほらトントン、よしよし、いい子いい子…どうだ、ノーラ」
最奥をグールの固いペニスでノックされ、ノーラは言葉も出ず蜜所から体液を吹き出してしまった。
「まんこで返事するなんて下品な事をするなぁ、我が将軍…」
ハンコックはノーラの羞恥心を煽る為にわざと将軍、を口にする。ノーラの中が急速に締まり、ハンコックは思わず深い息をついた。
「ッおっ……、ふぅ…恥ずかしいのは気持ちいいよなぁ…。ノーラ…いいんだよ、俺にはダメなところも恥ずかしいところも見せてさ…。俺だって全部をあんたに教えただろう?」
まるで諭すような口調で語りながら、容赦なく腰を叩きつけてノーラの絶頂地獄をさらに逃れられないものとするハンコック。
「いく、あ、とまんな、あぁまたイクぅ…っ♡」
「嬉しいよ、デイトリッパーを楽しんで貰えてさ…ッ♡」
「は、あぁ♡はんこっく♡ゆるして♡ごめんなさいっ♡ゆるして…っ♡」
「何を謝ってるんだ?悲しい事言うなよ」
「ち、ちゃんと、くしゅり、つかいかたっ♡かんがえるからっ♡」
「ほーう、俺がお仕置きでこんな事してると思ってたか?」
ノーラはこくこくと頷く。あの「将軍」の子供のような仕草に罪悪感と興奮が湧く。
「ノーラは真面目で偉いねェ……でもそんな事でお仕置きなんかしねぇな。あんたは何も悪くなくても、あんたをめちゃくちゃにしてやりたい奴ってのがいるんだよ。俺とかな」
「あ…ぇ…」
ハンコックはゆったりと腰を振りながら甘く甘くノーラに囁く。
「あんたが立派であるほど、俺は心配になる…息抜きは誰も見た事がない。クスリも仕事の時にしか使わない。無理ばっかして、いつも寂しそうにどっかを見ていて…俺はそんなあんたに選ばれたんだ」
終わらない快楽にゾクゾクしながら、かろうじてノーラはハンコックの声を聴こうとした。
「ヤクでもセックスでも、何でもいいさ。ただあんたの逃げ場になりたいのさ……旦那がどうだったかは知らないけど、「今」のあんたに必要なのは…俺だ。ジョン・ハンコックだ。だからあんたには出来るだけ気持ち良くなってもらうし、クセになって欲しい…俺の言ってる事がわかるかい」
ちゅ、とノーラのほおに口付ける。喋りすぎた気がしたハンコックは、また激しいピストンを再開しようとした。
「…ハンコック…?」
「…ん?」
ノーラの声で動きを止め、彼女の頭を何回も撫でる。ベリーショートの髪が汗で濡れている。
「大丈夫よ…私のハンコック」
どうして。どうしてこの女は、いつだって欲しい言葉をくれるのだろう。きっと、嘘じゃないのだ。社交辞令ではないのだ。そうやって仲間に寄り添ってここまで生きてきたのだ。ノーラは。
ハンコックの心に嫉妬が湧き上がると共に、ノーラのいう「私のハンコック」はこの世界において絶対の事実である。そんな事に、ハンコックは舞い上がった。
「ノーラ……愛してるッ♡」
ちょうどジェットも切れたようで、ノーラの肉の感覚が直にペニスに伝わってくるようになってきた。ノーラの様子も観察する余裕が失せていき、パンパンと音を立ててハンコックはノーラに腰を叩きつけた。ノーラがしがみついていた枕を取り上げると、再びペニスを引き抜きハンコックはノーラを自分の上に座らせた。ノーラに自身を突き立て、向かい合ったままノーラの奥を突き上げる。ノーラはハンコックにしがみつき、湿った嬌声をハンコックの耳元で上げ続けた。
「ッノーラ…そろそろ外に出さないとまずい…」
「っ♡だめ♡中でいいっ、中に出して…♡おっ♡奥焼いて…ッ♡」
「RADをナカに浴びせるわけには行かねえだろ…」
しかしノーラはぐっとしがみついて離れない。
「嫌っ♡…わ、私をめちゃくちゃにっ♡したいんでしょ…♡」
「お、ッ♡マジで、出ちまうから…!」
「ハンコック…痛くていいから出して、焼いて、お願い…」
きっとこれはノーラの自罰に巻き込まれている、のだと本能的にハンコックは悟った。世界で一番愛する夫が死んだのに、別の男と薬物を用いたセックスをしている。そんな事に対する、自罰に。しかし、それでも自分の精を要求するノーラには抗えなかった。
「ああ悪い子だッ…出すからなっ、悪い将軍まんこザーメンで焼いちまうからなッ、ノーラ…っ」
ハンコックに一際強い力で抱きしめられ、RADを多量に含むグールの精液が膣内に注ぎ込まれた。ノーラのつけるピップボーイのガイガーカウンターがガリガリと音を立て、高放射線量を告げる。ノーラは激痛と絶頂を同時に感じ、ハンコックにもたれかかった。
ハンコックは余韻を待たずに慎重にペニスを抜くと、やはりノーラの陰部から出た血液や一部の組織を纏っていた。ベッドにも愛液と血液が混ざり合って染み込んでいる。罪悪感で沈むよりも先に、ハンコックはRADアウェイとスティムパック、そしてMed-Xをノーラに投与した。
「……ノーラ、大丈夫か」
横たわって大きく呼吸する彼女をハンコックは覗き込んだ。
「ん…平気。全然痛くないけど、痛み止めも打った?」
「あぁ…Med-Xをね」
「ん…ありがと」
「いや、むしろ俺が」
「ハンコック。」
ノーラは少し泣きそうな目でハンコックを見上げていた。
「どうした」
「…ごめんね。」
「…お互い良くなかった。冷静じゃなかった。…次はコンドームを使おう。…いつもは使ってたのにな、クソ…」
ノーラは小さく頷いて、ハンコックに一緒に横になるよう手招きをした。ハンコックはそれに素直に乗る事にした。
今夜はふたり血と体液に塗れたベッドの上で、インモラルな行為に耽った秘密を共有しよう。