Chapter Text
第九章:9̷̥͓̫̯̦͔̘̳͓̬̭̗̤̃͋̐́̓̈̃̓̅̒͑̏̕͠九の九9̸̛̟̫̜̤̰͚͙̙̮͓͍̲̤͔̂̓͌͗̈́̽
「モーターボートで来て。必ずモーターボートを持ってきて。道路はひどい状態だ、他のやり方じゃ近づくこともできない。お願いだよ。来てくれなかったら僕はブラックに〝リグ〟に送られてしまう。ブラックは僕を憎んでるんだ。お願いだから来て。レッドに脅されてる。怖い。あなたが来ても来なくても、僕はフェンスを登る。お願い、ダディ。お願いだから来て⋯⋯」
ロキのそんな話し方を聞くのは奇妙なものだった。あまりにも子供っぽく、同時にひどく性的でもある。叫びすぎてあんなにかすれた声だというのに。あの懇願の仕方だ。まるで願いを叶えてやっても、冷淡に断っても、同じくらいの歓びが約束されているかのような⋯⋯ああ、懇願の仕方というものをロキはよく知っている。膝をついて目を輝かせ、銃弾だけが与えられる解放を切望して⋯⋯
ロキは電話を切った。顎を噛みしめ、頬が紅潮している。視線は目の前の壁に固定されていた。
「来るって。夜明け前には湾岸に着くって」
ソーははっと我に返り、自分がロキを凝視していたことに気づいた。
「そいつが本当に来ると思うか?」ソーは言った。
「行ってみればわかる」ロキは言い、それから微妙な表情でソーを見た。「このことは──」
「ああ、俺は構わない。だが急がなければ」
二人は家中のブランケットを集めた。ロキは外出用の服に着替えた。コート、手袋、ブーツ。それから二人ともブランケットを肩にかけた。
「シギュンにお別れを言ってくる」ロキは言った。
ソーはうなずいた。ちょうどいい──それでロキに邪魔されずに、監視塔の方を片づけることができる。
「十五分後に監視塔の下だ」ソーは言った。
ロキは片手で顔をこすった。「わかった。ああ、どうしよう──わかった」
ソーはいったん別れる前にキスをしようとしたが、ロキは直前に顔をそむけて拒んだ。
「今はキスする気持ちになれない」ロキは食いしばった歯のあいだから言った。
あの女のことでロキはまだ怒っている。ソーはこみあげる苛立ちを抑えこんだ。あのことについてはもう謝ったのに。それに、ソーは自分の行動を抑制することができない。ソーがどんなに──必死の思いで──やるべきことを見失わないようにしているか──ロキが少しでもわかってくれれば──
「ソー 」ロキの鋭い声がソーの頭の霧をはらった。
「ああ」ソーはふいに混乱を感じながらつぶやいた。
二人は二度と戻ることのない小屋の外に出た。ロキはそれ以上何も言わずにシギュンの小屋に向かって走り出した。時刻は早朝──もうすぐ六時だ。けれど空はまだ深夜のように暗い。ソーは立ち止まって曇った夜空を見上げた。湿気を含んだ雪が降り続いているが、嵐の勢いはやや弱まっている。奇妙な天気だ。この季節にしてはあまりにも不自然な嵐だった。例年なら、こんな重く濡れた雪が降るにはまだまだ気温が低すぎるはずだ。そしてフェンスを故障させるのは、決まってこういうタイプの雪だった──降り積もるその重みに関係しているらしい。
あの女を焼いた焚き木が、まだ〝居留地〟の中庭でくすぶっていた。その横を通り抜けながら、ソーは何も感じなかった。何も。
第六監視塔にたどり着くと、ソーは運んできたブランケットをいったん地面に置き、監視室に続く螺旋階段を登った。ソーの姿を見て兵士たちが立ち上がった。
「レッド、サー」こんな時間に入ってきたソーに驚きながら、彼らは敬礼した。ごく若いものも何人かいた。子供がほんの少し大きくなったという程度だ。ソーがもう何年も見知っていた子供たち。簡単に殺せるだろう。
「俺はフェンスを越える」そうする代わりにソーは言った。「俺とロキだ。この監視塔と第七監視塔のあいだのフェンスが停電している」
兵士たちは顔を見合わせた。
「俺たちを撃たないで欲しい」ソーは言った。「だがどうしても撃たなければならないなら、俺を撃て。俺は撃たれても仕方ない。だが頼む、ロキは見逃してくれ」
兵士たちは興味深げにソーを見た。「レッド司令官?」
ソーは首を横にふった。「俺の名前は⋯⋯」
レッド
「俺の名前は⋯⋯」
レッドレッドレッドレッド
「俺の名前は⋯⋯ソー・オーディンソンだ」ソーは必死で言葉を絞り出した。言葉の代わりに出てこようとするのはタールだった。「それが俺の名前だ。それが俺の名前だ。それが俺の名前だ」
兵士たちを殺さずに出ていこうとすると、何かをやり残したような気分になった。なぜ見逃すのだろう? 殺したからと言って何が問題になる? 誰が気にする? 読者は気にしないはずだ──この兵士達には名前すらないのだから。彼らがここにいるのはそうあるべきだからだ。設定が必要としているから。そしてソーにとって邪魔な存在だ。
いや、待て。ソーは理由を思い出した。見逃すのは彼らのためではない、ソー自身のためなのだった。
ソーは混乱を感じながら、ゆっくりと後ずさった。無理やり体を運ぶようにして階段を降り、監視塔を出た。ブランケットを拾い、背中のストラップにつけたライフルに気をつけながら、肩にかけなおした。ジャケットのポケットに手を入れ、くしゃくしゃになった紙切れを取り出す。そこにはロキが書き写したメッセージがある。内部事情に通じた誰かからロキが手に入れたメッセージだ。それは道順の説明のはずだった。二人のタイムラインが分岐してしまった時点に戻るための道筋。ソーはそれをおそらく何千回目かに読み直してみた。メッセージの意味ははっきり分からないのに、どういうわけか確信できる。彼女ならきっと使い方がわかるだろう。
数分後、ロキが到着した。泣きはらした顔をしている。気が散るが、そう口に出して言うべきではないとソーにはわかっていた。
「こっちは片づいた」ソーは言った。
ロキは息を震わせてすすりあげた。詳細を訊こうとはせず、ソーにとってはそれで良かった。監視兵達を生かしておいたことをロキは知らない方がいいだろう。
ソーはロキの両肩をつかんだ。「俺に何かあったら、おまえはそのまま先に進め。何とかしてここを抜け出すんだ。街に戻れ。自分の人生を生きろ。約束してくれ。止まらずに行くと」
ロキはただ泣きながら息を吐いた。
「約束しろ」ソーはロキの肩を揺すって迫った。
「約束する」ロキは言った。
ソーはうなずいて手を離した。「俺が先に行く」
「いや、僕が先に行きたい」ロキは言った。「あとに残されたらきっと勇気を失ってしまう」
ロキは鉄条網のフェンスをまっすぐ見上げ、唾を飲んだ。怯えているのがわかる。一瞬、ロキは自分の意思ではできないかもしれない、とソーは思った。ライフルを引き抜いて説得するべきかもしれない。しかしロキは手袋に包まれた指で鉄網をつかみ、登り始めた。
遠くにシギュンの姿が見えた。敷地内の投光照明の下に立ち、泣きながら二人を見ている。ソーは彼女に近づこうとはしなかった。何を言うことがある? もうすぐ何もかも消えてしまうのだ。
ロキの後に続いてフェンスをよじのぼりながら、ソーは監視塔の兵士に撃たれようと構わないと自分が思っていることに気づいた。以前にも撃たれたことがある。それも何度も。そのうち何度かは死にさえした。そして蘇生するたび、体内のタールは少しずつ濃度を増した。
フェンスの上まで来ても、銃撃はなかった。
兵士たちはただ眺めていた。どうなるか様子を見ているのだ。
ロキが先に一番上にたどり着いた。片手を電気ケーブルの上に数秒かざしてから、恐る恐る触れた。
そして──何も起こらなかった。
「フェンスが停電してる!」シギュンがはるか下で叫ぶのが聞こえた。「監視兵は撃たない! フェンスが停電してる!」
ソーはそのすぐあとにロキに追いついた。二人は空いている片手で運んできたブランケットを有刺鉄線のリング越しに投げた。ロキはゆっくり、ゆっくりフェンスの頂上を乗り越えた。高さが怖いのか、撃たれるのが怖いのか、あるいはただこれからやろうとすることに恐怖を覚えているのかもしれない。無事乗り越えると順調に下降し始めたが、四分の三ほどの高さまで降りたところで手を滑らせ、残りは落下して呻き声をあげた。
続いてソーがフェンスの外側に降り立つ頃、監視塔の兵士たちも任務を放棄して同じように登りはじめた。状況を見守っていた早朝労働者達もあとに続いた。逃げられるうちに、誰にも止められないうちに、人々はこの機会を利用して出て行こうとしている。〝居留地〟の秩序はもともと脆弱だったのだ。
けれど彼らを眺めている時間はない。ブラックがすぐに追ってくるだろう。彼には猟犬も、オフロード車も、ヘリコプターもある。ブラックに奪い返されるくらいなら、先に自分がロキを撃つ、とソーはもう決めていた。ロキの命がそんなつまらない方法で終わるなんて、あまりにも無駄だ。ソーはロキの手をつかんで走り出した。
二人は荒涼とした雪景色の中を駆け抜けた。やがてロキは前のめりに倒れ、疲れ切ったように荒く息をついた。ソーは疲れを感じなかった。息を切らしてさえいなかった。ロキの弱さにソーは苛立ちを感じた。
ロキの息が整うのを待ちながら、ソーは後ろを振り返った。〝居留地〟のある方向から銃撃の音がかすかに聞こえてくる。二人の逃亡が暴動を引き起こしたのだ。長いこと抑えつけられていた不満が〝居留地〟から吹き出そうとしている。まるでドミノ倒しの駒が少しずつ大きくなるように、二人の小さな行動が思わぬ事態を引き起こしたらしい。
今は深く考えていられない。前に進むしかない。
ソーはロキの恐怖を感じ取った。温かく湿った白い息を吐き出し続ける彼の体から、それは強く匂い立ってソーを誘惑する。ウサギのように早いロキの鼓動も伝わってきた。その心臓は今、狂ったようにアドレナリンをロキの全身に送り込んでいるに違いない。こんなときに初めてロキを抱けばどんなにエロティックだろう。理解を超える壮大な何かが目前に迫っている、こんなときに。人間の肉体が経験できる究極の快楽。恐怖とエクスタシー。恐怖とエクスタシー。
ソーはしゃがみこみ、両手で頭を抱えた。
「何か話してくれないか?」
ロキはゼイゼイと喉を鳴らしながら訊いた。「話すって?」
「おまえの声を聞いていると集中できる。今、少し集中したいんだ」
「うん──わかった」ロキは息を弾ませて言った。「ええと──何を話せばいいかな?」
ソーは目をぎゅっと閉じ、自分の髪をつかんで痛くなるほど引っ張った──けれど痛みなどもう何の意味も持たない。
「何か重くない話。何か⋯⋯今の状況に全然関係ない話。頼む。一分でいいから」
「わかった⋯⋯」ロキはまた言い、咳払いをした。「そうだな。こんな話があるよ。二人の王子の話⋯⋯二人は兄弟なんだ。兄は戦士。弟は魔術師。二人は空に浮かぶ黄金の街に住んでいた⋯⋯」
その物語は不思議と懐かしかった──どこかで聞いたことがあるような気がした。ロキの声はしっかりしている。ソーの気分は少し落ち着いた。
「その話はどこで聞いたんだ?」ロキが話を止めると、ソーは訊いた。
「〝ママ〟から」ロキは低い声で言い、涙を拭いた。「〝ママ〟が話してくれた」
「最後はどうなるんだ?」
「わからない」
「わからないのか? 結末を知らないならどうしてその話を始めたんだ?」
「それしか思いつかなかったんだよ! 今ちょっと取り乱していて悪かったね!」
「やめろ⋯⋯俺に向かって⋯⋯怒鳴るな」ソーは警告し、ロキは賢明に口を閉じた。
ロキは自分の手を見下ろした。何かをずっと握っていたらしい。鎖の先についた方位磁石に見えた。
「自分が何をしているのか、一度でも立ち止まって考えてみなかったのか?」ロキは短い沈黙のあと、静かに言った。「あの焚き木に火をつけたとき」
「そうしなければならなかったんだ」
「しなければならなかった? どうして?!」
「彼女が俺たちに嵐を贈れるように」ソーは立ち上がった。「ブラックが追ってくる。進もう」
ロキは動かなかった。「待て──だめだ。待て。どういう意味?」
ソーはかまわずロキを引っ張って走らせた。二人が湾を見渡す岸壁にたどり着く頃には、東の空に朝日が姿を現し始めていた。嵐はやみ、朝靄と霧雨だけが残っていた。ソーはロキの先に立って細い小道を進み、二人はやがて岸壁の下の波打ち際にたどり着いた。
そこはゴツゴツとしたむき出しの岩しかない海辺だった。ここに植物は育たない──草一本なく、苔さえ生えない。空に鳥は飛ばず、水に魚は泳がず、粗い砂の上を走る蟹もいない。まるで外科医のメスのように無機質だった。雪さえほとんどなく、海を漂う流氷もなかった。この海は決して凍らない。たとえ厳冬の最中でも。水はただどこまでも、どこまでも冷たくなるだけだ。かすかに電気が唸るような、蛍光灯が発するような音が二人を囲んでいた。空気は金属の匂いと味がした。これがソーの知る世界の終わりだった。存在するものと、存在しないものの境界線だ。
〝リグ〟は水平線にそびえ立ち、息を潜めて二人を待っていた。それは二人が何をしようとしているか知っている。けれどソーは恐れていなかった。以前とは違う。さらに言えば、今は〝リグ〟に惹きつけられた。唯一の願いは、彼女がまだそこで生きていることだった。そうでなければ、すべての努力が泡になってしまう。
今はそのことを考えられない。前に進まなければ。
「そのダンチュってやつが来なければ、泳いで行くからな」ソーはロキに言った。
「来るよ」ロキは言った。
「どうしてわかる?」
ロキは海の向こうを見つめた。そして静かに言った。「ああいう男は──セックスができるかもしれないと思うといくらでもバカなことをするんだ」
ソーは内心怒りが燃えあがるのを感じた。「〝ビッグ・ハウス〟でおまえが寝たのはそいつだったのか?」
ロキはソーを見た。「本気で今、そんなことを聞きたいのか?」
ロキはときどき、ソーを心から怒らせることをする。ソーの知らないところで体を売っていたくせに、たった一度のキスを拒んだ。ロキの目の周りにアザがあり、唇が切れ、首に鬱血の跡があるのはどうしてだろう、とソーは考えた。自分がやったのだろうか。そうだとしたら、やったときは気持ち良かっただろうか。
「隠れて」ロキはソーの肩を押して言った。「ソー! 早く隠れて」
ソーはロキをじっと見下ろした。ロキは頭を傾け、反抗的に見つめ返してきた。
「ソー」ロキはもう一度強く言ったが、その声には少し不安が混じっていた。
ソーは無理やり体を動かすようにして後ずさった。そして大きな岩の後ろにしゃがみ、そこで待つことにした。自分の手を見下ろして、ずっと拳をきつく握っていたことに気づいた。
「来たよ」しばらくしてロキが言うのが聞こえたが、それよりずっと前からソーはボートが近づいてくる気配を感じていた。相手に見られないよう、岩の影から出ることはしなかった。この男にはボートを岸につけてもらわなければならない。ソーがここにいるのに気づいたら、彼はおそらくそうしないだろう。男がボートのエンジンを切って降りてくる物音が聞こえて初めて、ソーは岩陰から様子を覗いた。
ドクター・ダンチュは小太りの中年男で、釣り人用の帽子に黄色のレインコートを身につけていた。彼はロキを抱きしめるといきなり唇にキスをした。ロキは受け入れた。ダンチュはロキの傷だらけの顔を両手に包み、なだめるような口調で何かを話しかけた。ソーは強烈な、凶暴な怒りに圧倒された。岩の影から飛び出し、手を上げろ、と男に向かって吠えたとき、ソーは自身の声に憤怒の響きを聞いた。
男は驚いて飛び上がり、電気ショックを受けたようにロキから離れた。
「ああ、ジーザス。ああ、何てことだ。君はレッド司令官だな?」
ロキもほとんど同じくらい怯えていた。ロキの前でソーがその声を出したのは初めてだった。ロキはそれでも男のそばを離れ、ソーの隣に立った。ただし大きく距離を空けていた。
「そうか、罠だったんだな」男は無力に言った。空中にあげたままの両手から少し力が抜けた。「それくらい考えるべきだった」
「あんたのボートが必要なんだ」ロキは言った。「悪いね」
「何のために? 海を渡って南に行くのか? ブラックは朝食より前に君たちを捕まえるぞ!」
「逃げるんじゃない」ロキは言った。「僕たちは〝リグ〟に行くんだ」
「何だって? ロキ、どうして?」
「間違いを元に戻す」ロキはきっぱりと言った。「このタイムラインを消してやり直す」
「愚か者だ、二人とも」ダンチュは吐き捨てた。「たどり着く前に〝リグ〟は君たちを食い尽くすぞ!」
「こいつを殺して欲しいか?」ソーはライフルで男を狙ったまま言った。
「待って」ロキは言い、ソーの射撃範囲に入らないように気をつけながらダンチュに近づいた。「彼が何だったのか教えて欲しい。あのおぞましい実験室で彼に何をしていたのか話せ」
ダンチュはひっそりと笑った。両手をおろし、物憂げな、ほとんど皮肉な表情を浮かべた。
「ああ。ムーンカーフか。あいつは物語が好きだった、そうだろう? 何よりもラブストーリーが好きだった」
ロキは叫ぶように言った。「それが何に関係あると言いたいんだ?!」
「何にって、すべてにだよ、ロキ」ダンチュはなぜ聞かなければわからないんだ、と言いたげに答えた。「我々はすべてのムーンカーフを物語で育てたんだ。連行者の一人一人から吸い上げた物語でね。そして我々はついに、〝ベール〟の向こう側を見ることができるムーンカーフを作り上げた⋯⋯」
ソーは彼の言ったことについて考えてみた。そうだ。それで説明がつく。〝ベール〟⋯⋯ソーもまた、その向こうを見たことがあった。自分が何であるかを知っていた。キャラクターの一人だ。物語に閉じ込められたキャラクター。その物語の主人公でもある。それを自覚することは決してないはずだったし、物語がこの方向に進むはずでもなかった。ソーはもう文字を隠してさえいない。これで終わり、これが最終章だ。だからもう隠したって意味はない。
「だが本物の力は、ただベールの向こうにあるものを見ることではない」ダンチュは続けた。「究極の力は⋯⋯物語を書き直す力だ。物語を好きなように操るために。自分に都合の良いように世界を作り直すために」
ロキは狂ったように叫んでいた。「どういう意味だよ、ベールって!? いったい何の話だ!? さっさと説明しろ、そうしないと頭を吹っ飛ばすぞ!」
「じゃあそうすればいい。こんなことになったからには、私はもう死んだも同然だ。ああ、私はバカだ、なんてバカだったんだ。ちょっと失礼」ダンチュは近くの岩の上に座り込み、レインコートの内側から携帯用の酒のボトルを取り出すと、蓋を開けてひと口飲んだ。「私はそのままの君を愛しているのに。彼は過去の君を求めている。使い果たされていない、誰にも抱かれたことのない、壊れていない君を。もし彼が私と同じように君を見ているなら、決してこんなことはしないはずだ。私は本当の君を知ってる。それでも君が欲しい。私はバカだった」
「あんたは僕を愛してなんかいない」ロキは噛みついた。「僕のことを何も知らない!」
「いや、私の方が彼よりずっとよく知ってるよ。君は彼にサニー・デイのことすら話してないんじゃないか?」
サニー・デイ。その名前はソーにも聞き覚えがあった。
「そんなこと関係ない」ロキは歯を食いしばって言った。「僕たちはこの世界を消す。過去のことなんて何も関係なくなるんだ」
「そうか、話してないんだな」ダンチュは推測してみせた。「恥ずかしいからか? 本当のことを知ったら、彼がそのおぞましさに幻滅して、もう今のように愛してくれなくなると思うからか?」
「おぞましいのは僕じゃない。あんただ。あんたの考えは歪んでる。あんたのセックス・ドールになるのと引き換えに、僕の母親を連れてくるだって? それがどんなにいかれた話かわかってるのか?」
ダンチュは両手を開いてみせた。「そういうつもりで言ったんじゃない。本当だ。そうすれば君が幸せになると思って提案したんだ。家族として暮らせると」
「家族」ロキは信じがたい思いで繰り返した。「家族。そんなの家族じゃない。客に拘束された二人の娼婦だ!」
「それと、おまえとレッドが子供の頃の家族と何が違うんだ?」ダンチュは疲れたように反論した。「君の母親は彼の父親を愛するようになったんだろう? 君だって心を開きさえすれば、私を愛するようになるかもしれない。だが違うようだな。私が何を差し出そうと、君の心が求めるものから君を引き離すことはできない。今やっとわかった」
ロキは手を突き出した。「ボートのキーを渡せ」
ダンチュはポケットからキーを取り出したが、ロキに渡す代わりに、冷たく黒い海に向かって力いっぱい放り投げた。
「何をするんだ!」ロキは叫んだ。
「君を助けようとしているんだ、ロキ。こんなことを信じちゃいけない。彼をよく見ろ。自分を抑えるのがやっとじゃないか。彼は君をあの場所におびき出して殺そうとしているんだ。〝リグ〟は君を引き裂くぞ!」
ソーはロキにアサルトライフルを手渡した。ロキはあまりにも驚いて他にどうすれば良いのかわからなかったのか、無言でそれを受け取った。そして軍事訓練を受けていない民間人らしく目を見開いて、ぎこちなくライフルを抱えた。
「あいつに銃口を向けておけ」ソーはダンチュを指した。「もしそうしたければ撃て。俺はキーを取り戻してくる」
ソーはブーツの紐をほどいた。それからスカーフを取り、コートを脱ぎ、セーター、シャツ、ソックスと脱いでいった。海に歩いて入り、海面の下に飛び込んだ。水が冷たいのがわかった。究極の冷たさ、不自然なほどの冷たさだが、まったく気にならなかった。ソーが感じるのはただ、体を包むどんよりとしたその存在だった。この海に生物はいない。魚も、海藻も、ただの一度も存在した痕跡がない。ここでは有機体は長く生き延びられない。ありがたいことに、ソーには肉体的な弱さという負担がない。ボートが手に入ってよかった。ロキがここを泳げば確実に死んでしまうだろう。
二十分ほど経って、ソーは海面から顔を出した。キーを手に持っていた。ロキは呆然と口を開け、目を見開いてソーを見た。
「オーマイゴッド」ロキは言った。
ソーは自分の体を見下ろした。低体温症とおそらく酸欠のために、肌が青みがかっていた。その下でタールがどくどくと脈打ち、手首の血管を黒く浮き上がらせていた。しかしソーは活力がみなぎるのを感じていた。ほとんど官能的だと言ってもいい。
「ほら、見ただろう!?」ドクターはソーを指差して叫んだ。「わかるだろう? 汚れた〝リグ〟の水が彼のタールを活性化させた! 彼の体はタールに満ちてる──もう人間じゃない、タールそのものだ。ロキ、私の話を聞け。彼と一緒に行きたいと思うのはわかる。君が彼をとても愛しているのは知ってる。だが彼はもう君の兄じゃない。彼を撃つんだ。残った銃弾を全部打ち込め。殺せ!」
「あんたは嘘つきだ」ロキは叫び返したが、声がわずかに揺れていた。「前にも僕を騙そうとした。あんたは邪魔者を排除したいだけだ、僕があんたと一緒に行くしかなくなるように!」
「君の兄はもういないんだ、ロキ。彼を見ろ。あのおぞましい姿を。さあ、撃つんだ!」
ソーは撃たれようと撃たれまいとどうでもよかったが、ただこの非力な男に深い憎しみを感じた。波打ち際から重そうな石を選び、手に取る。男は逃げようとしたが、ソーの方がずっと強く、ずっと素早かった。たったの数歩で追いつき、男の頭めがけて石を振り下ろした。男の頭蓋骨は砕け、体が地面に崩れ落ちた。ソーは石を拾い、また同じことをした。何度も、何度も、命中するたびに男の脳が飛び散る感触を味わいながら石を叩きつけ続けた。膨大な知識の詰まった、小さなくだらない肉塊。こんなに簡単に破壊できてしまう。男の頭が原型をとどめないぐちゃぐちゃの塊に成り果てるまで、ソーは手を止めなかった。男の血が寄せる波に混じり、牛乳に落とした酢のように沈殿した。
ソーは背中を伸ばして振り向いた。ロキはライフルの後ろでねずみのように身をすくませ、寒さと恐怖に震えていた。
「それ以上近づくな」ロキは叫んだ。「本気だ。さがれ」
ソーはまっすぐロキに向かって歩いていき、素早くなめらかな動作で武器を奪い取った。ロキは気の毒になるほど動きが遅くて弱い。ソーはライフルを膝に叩きつけておもちゃのように二つに折り、地面に投げ捨てた。
ロキはふらふらとあとずさった。ごくりと唾を飲み、そのせいでソーは痣のついた白い首に気を取られた。
「行くぞ」ソーは言った。「おまえに目隠しをしなければならない」
「わかった」ロキはか細い声で言った。「でも──わかった」
ソーは地面に落ちていたスカーフを拾い、ロキの美しく潤んだ瞳、もう二度と何かを見ることのない瞳を覆った。波に洗われたガラスの破片のような、世界に二人といない珍しい緑色。ソーはロキの頭の後ろでスカーフを二重にしっかりと結び、身動きせずにされるままのロキに満足した。
「どんなことがあってもこれを外すな。わかったか?」
ロキはうなずいた。可愛いすすり泣きの声が漏れた。寒さのせいで唇は赤く、吐く息が次々と小さな白い雲になって流れ出していた。ロキの恐怖、ロキの従順さ、文字通り盲目的な信頼に、ソーは興奮を覚えた。世界の終わりが間近に迫っていると知る者が放つ、様々な感情の混じった濃密なカクテル。恐怖とエクスタシー。恐怖とエクスタシー。
ソーはロキの下唇に親指を押しつけ、ロキの苦しげな呼吸を肌に感じようとした。そうしていると、ロキがその器官を使って巧みに快楽を与えてくれたことを思い出した。ロキの唇は冷たい。けれど口の内側は温かく柔らかく、従順だ。
「あの物語のことだけど」ロキは突然、ソーの親指の上で唇を動かして言った。目隠しをされたまま、パニックにかられた悲鳴のような声だった。「結末を思い出した。二人の王子は⋯⋯二人の王子は、最後は結ばれるんだ。一人の王子が遠くへ離れていって消えてしまっても、もう一人の王子が見つける。そして連れ戻す。何度でも必要なだけ繰り返す。最後は必ず結ばれる。愛し合っているから。それが、二人のハッピーエンドだ」ロキの声は震え、歯がカタカタと鳴った。「ソー? 僕もハッピーエンドが欲しい」
ソーは混乱して目を瞬いた。そうだ──ロキの言葉で思い出した──この物語はまだ終わっていない。もう一度繰り返さなくて済むように、完結させなければならない。
「そうだな」ソーはやっとそう言って親指を離した。「俺が連れて行く」
「待って──」ロキの声はさらに高くなった。「一緒に行くよ、行かないとは言ってない。でもできれば──できれば、本当にソーだって確かめさせて欲しい⋯⋯」
「あの場所におまえを連れて行くために必要なのはソーじゃない」ソーは言った。
ロキは過呼吸になり始めていた。呼吸に雑音が混じった。
「それなら最後にお願いがある、ソーでもそうじゃなくても。僕を愛していると言って。心からそう思ってなくてもいい。ソーの声で聞きたいんだ。一度でいいから」
ソーは何も感じなかった。何も、何も、何も。同情も悔恨も共感も、恐怖も。もちろん、愛も。感じるのはただ、このプロセスが自然な流れに沿って結末に行き着くまでを見届けたいという、強い衝動だけだった。その結末が何であったとしても。
それでも、ソーは理屈ではわかっていた。確かにロキを愛している。何よりも強く愛している。だからこうするのだ。それがこの物語の核心だ。これを読んでいる人々はソーに今そう言って欲しいと切望するだろう。けれど彼らは、ロキと同様、もう少し待たなければならない。
「心から言えるときが来たら言う」ソーは言った。「それは今じゃない」
ロキの肉体はとても柔らかくてしなやかだった。ソーはその体を壊してしまわないように慎重に扱った。ソーの両手の中で、ロキは濡れた粘土のように従順だった。意のままに操ることができる。好きな形に変えることができる。ロキは逃げようとしない。逃げたくてもできない。ソーは最強の捕獲者だ。この世界に二つとない存在だ。
ソーはロキをボートの助手席に乗せた。ロキは端にかがみ込んでボートの外側に吐いた。目隠しを取ろうとはしなかった。ソーはボートを海面に押し戻し、運転席に乗り込んでエンジンをかけた。ボートは生命を取り戻し、乗り上げる先には波波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 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波 波 疲 疲 /\ /\ /\ /\ /\ /\ /\ /\ /\ /\ \/\/シ\/彼 波波 シ波 波 波$ 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 波 シ 波 波 波 波 波 \/\/シ\/彼 波波 波 波 波 彼 シ 波 波 波 波 波 /\ \/ /\ /\ /\ /\ /\ /\ /\ \/ /\ /\ /\ /\ /\ /\ /\ \/ /\ /\ /\ /\ /\ /\\ /\ /\ /\ /\ \/ /\ /\ /\ /\ /\ /\ /\ /\ /\ /\ \/ /\ /\ /\ /\ /\ /\ /\ /\ /\ /\ \/ /\ /\ /\ /\ /\ /\ /\ \/ /\ /\ /\ /\ /\ \/ /\ \/ /\ \/ /\ /\ /\ \/ /\ /\ /\ /\ /\ 波 波 彼 波 波 波 波 波 波 波 シ 彼波 波 波 疲 疲 皮 波 \ / \ / \ / \ / \ / \ / \ / \ / \ / \ / 彼 疲 疫 波 服 /\ \/ /\ \/ /\ \/ ███████ ████ ██████ ████ █████ ████████ ███████波 波 波 波 波 服 波 シ@皮 疲 波 波波波波█████ █████ █████ █████ █████ █████ █████ █████ █████ ███████████ 波 波 波█████████████████████_/\_\/_/\_\/_/\_\/_/\_\/_/\_\/_███████████████████████████████████████████_/\_\/_/\_\/_████████████████████████████████████████████████████████████████████████████波████████\_\/_/\_\/_█████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████\_\/_/\_\/_████████████████████████████_/\_\/_/\_\/_▂▃▅▆▇█ シ皮 █ 彼 █ な █ み █ 波 █▇▆▅▃▂ 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wJZDmFUJisgs3296Eg7ACz96HgvvAKgup1qLJF089WBCWfMxsMJCV1FKiHaNgmNHo79NNvd4qSWcNI85lClC26Ji7[初投稿日:2019年12月24日]wNBG$**WjkXYuwYikViMo5le731Xu2g0CLXYpGdswOhdD3WgZwdVbG4Pm7MFLv0WIvOWQJUjlHpw7sdrYdB51YYz6W%SvFPrGXogOCnCCglTR1OFmmKKQxdHKhx8TLH4WcLwi7ZuLHFZy0jd6ROwjUn7jelPBYl5wObh9[完結:2021年6月23日]mFO1lgCCnCOg6ROwjUn7jelPBYl5wObh9NOYliyTGinqpg8RFLZniJUFmDZJwF1p#B4fAEXtxAx7QUeYAX9aQKTKS$Bi6%3rNIYzhvzG9CHUzuHlbtksOdpEbzDienEc0pwi97cMfdM4teD7d0ABi6i6r4GFuslpjLZH7IXBFlDcTjVuqThq88zGWbEdrDOTuNzDxCNC1HgWkYAwq3QfBXpKsbZBl4Kuchdv0F1TRk6rtvgLFVSUBPZ7wM4P9j1KxlidITxHhxzxtUa5oXGr5BdYrds7wpHljUJQWOvIW0vLFM7mP4GbHTVdwZgW3DdhOwsdGpYXLC0g2uX137el5oMiVkiYwuYXkjW**$GBNwAZ1NGIREHT6yo3s417iJ62ClCl58INcWSq4dvNN97oHmgNaHiKF1VCJMsx8RFLZniJUFmDZJwF1pB4fAEXtxAx7QUeYAX9aQKTKS$wLcW4HLT8xhK[CHAPTERS:9/9]HdxQKKmmFOTlgCCndHKhx8TLH4wOhJJBDfLcYCqq1Kn3ABH62t48fid69XXneYYTc3CyXU2rtd6rIuH1k6zz1!!CH82cJab9@6Eg7ACz96HgvvAKgup1qLJF089WMyfi5zOeWON9hbOw5lYBPlej7nUjwOR6dj0yZFHLuZ7iynd2i5WEtvHCCdODYcMyn2iICRV$%SYJRUYyKCLVTX0sC0q1FtaEQQXsw8jOkRmNwl9GqQ░▒▓██████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████[THE_RIG]█████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████[By_Cunninglingus]████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████キャプション:〝居留地〟の生活はきつい_でも〝リグ〟に送られるよりはマシ_傭兵のソー、セックスワーカーのロキ_curds_and_wheyfaceさんへのギフト]████████████████████████[日本語の翻訳あり: THE_RIG (Japanese Translation) by Sarah_Translator] 私は可哀想可愛いロキが好き!反論歓迎。警告:暴力、児童虐待の示唆、自殺、過去の性的・精神的虐待*** *** *** 第一章 九の一 足の爪先が凍りつきそうで、ソーは腕時計を何度も確認せずにいられなかった──そろそろ一時間半近くの遅れだ。煙草を吸いながら体の重心を両足の間で移動させる。彼らがこちらに向かっているのは確かだが、いつ到着するかは予測がつかない。この天候では無理だ。もう長くかからないことをソーは願った。兵士たちは疲れ、凍えている。時刻は夜遅く、舗装のくぼみには解けた雪が水たまりを作り始めていた。彼らの外套では冷たい雨を大してしのげずsQXsl9GqQC6rIuH1ku lZfxtUa5akfA 6rGAmsT 寒さはあっという間に骨まで染み込んでしまう。気を紛らわす唯一のものは電線の音で、I1Fta EQQXsw8j OkRmN wl9GqQCq q1Kn3ABH62 yhbhjt48fid69X XneYYTc3 CyX U2rtd6rIuH1kulZfxtUa5a kfA6rGAm sThyvTaeO z5ifyMMBW Dr1zWzaI7G l0Pza TvyhT smAGr6Afk a5aUtxzxh HxTIdilxK 1j9P4M w7ZPBU 69zCA7, それはまるで虫の大群のように湿った空気の中にぱちぱちとノイズを撒き散らしていた。 QXsw8jO kRmNwl9G qQCqq1Kn3 ABH62yh bhj t48fid69XXn eYYTc3CyXU2 rtd6rIuH1kulZfxtUa5akf6rGAmszz1!!CHTH82cJab9@6Eg7ACz96HgvvAKgup1qLJF089WBCWfMxsMJCV1FKiHaNCLXYpGdsPuQdw1pOmycccBCWfMxsMJCV1FKiHaNo79NNvd4qSWcNI85lClC26Ji714s3oy6THI1FtaEQQXsw8jOkRmNwl9GqQCqq1Kn3ABH62yhbhjt48fid69XXneYYTc3CyXU2rtd6rIuH1kulZfxtUa5akfA6rGAeOz5ifyMMBWDr1zWzaI7Gl0PzaTvyhTsmAGr6Afka5aUtxzxhHxTIdilxK1j9P4Mtrtygr467ghssH82cJab9@1ZAwNBG$**WjkXYuwYikViMo5le731Xu2g0CLXYpGdswOhdD3WgZwdVbG4Pm7MFLv0WIvOWQJUjlHpw7sdrYdB51YYCs0XTVLCKyYURJYS6rGAmw7ZPBU69zCA7gGN1ZAwNBG$**WjkXYuwYikViMo5le731Xu2g0CLXYpGdswOhdD3WgZwdVTHbG4Pm7MFLv0WIvOWQJUjlHpw7sdrYdB51YYz6WSvFPrGXogOCnCCgl1OFmmKKQxdHKhx8TLH4WON9hbOw5lYBPleSVFLgvtr6kRT1F0vdhcCBztlCnscglPQncnuEhOepsCESDj6mYPQTLJ21OSgQlk5E9tvfPk2ZbjG9IrzaLIDx&XZNeG72IMG0Chvt6UTGer2ip3YX#$
俺の名前はソーだ。
おまえは俺に出会うはずじゃなかった。
そうね。
そのせいで私はここにいる。
そのせいで私は必ずここに来てしまう。
あなたは毎回サイクルから抜け出そうとして失敗する。
今回は成功する。
今回は、俺とおまえは最初から出会うこともない。
おまえはこの物語から自由になる。
この運命から自由になる。
俺から自由になる。
どうしてそう言い切れるの?
今回は道順を知ってるからだ。
過去の分岐点に続く道順を。
このことが二度と起こらないようにできるくらい、遠い過去の時点だ。
そう、手に入れたのね。
そこに俺たちを送ることはできるか?
できると思う。
今から物語を逆行させる。
今度は失敗しないで。
サイクルを破って。
覚えていなければだめよ。
覚えている。
二度と出会いませんように。
二度と出会いませんように。
。にうよんせまい会出と度二
。るいてえ覚
。よめだばれけないてえ覚
。てっ破をルクイサ
。でいなし敗失は度今
。るせさ行逆を語物らか今
。う思とるきで
?かるきではとこる送をちた俺にこそ
。ねのたれ入に手
。だ点時の去過い遠、いらくるきでにうよいならこ起と度二がとこのこ
。を順道く続に点岐分いし正の去過
。だらかるてっ知を順道は回今
?のるかわとるなうそてしうど
。るなに由自らか俺
。るなに由自らか命運のこ
。るなに由自らか語物のこはえまお
。いなわ会出に遠永はえまおと俺、は回今
。るす功成は回今
。るす敗失にのす出け抜らかルクイサ回毎はたなあ
。うまして来にここず必は私でいせのそ
。るいにここは私でいせのそ
。ねうそ
。たっかなゃじずはう会出に俺はえまお
。だーソは前名の俺
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------「The Rig」完-------
作者あとがき
ソーはハンドルを切って道路を逸れ、街灯の柱に突っ込んだ。
頭がエアバッグに叩きつけられ、束の間、意識が遠のく。
煙をあげる壊れた車から飛び出す。丸一年かけて改良した車が大破してしまった。そのことにショックを受けるべきなのに、実際はどうでもよかった。ソーは両手を見下ろした。指の関節にタトゥーはない。舌で歯をなぞる。全部ある。
うずくまり、数時間前に食べた夕食を吐いた。タコス。そう、タコスを食べたんだ。
「おい、君。大丈夫か?」
事故現場を見て車を停めた誰かが、ソーに話しかけていた。
「ペンを持ってないか?」ソーはかすれた声で訊いた。
「何?」
「ペン。ペンが必要なんだ」
不思議そうな顔をしながらも、その人は胸のポケットからボールペンを抜き出して手渡してくれた。ソーはそれをひったくり、自分のポケットの中にあったタコスの店の紙ナプキンを引っ張り出すと、しゃがんで最後の記憶のひとかけらを走り書きした。
知らない誰かがソーの肩越しに覗き込んだ。「リグ? リグって何だ? 救急車を呼んでやろうか?」
ソーは答えなかった。ふらつく足でハイウェイを降り、街に向かって歩き出した。周囲の光景は最初、知らない場所のように見えた。まるで何年も見ていなかったような、同時に一度も離れたことなどないような気がした。
でも実際に起こったことだ、全部本当に起こったんだ。そう確信するためには、ナプキンをもう一度見下ろさなければならなかった。
自宅──その光景をふたたび目にして、ソーは泣き出した。何故泣くのかはわからない。ついさっき出てきたばかりじゃないか? 二度と帰ってこないと誓ったんじゃなかったのか?
ソーは玄関のドアを開けた。家の匂いがまるで巨大なハンマーのようにソーを打った。家。ついに家に戻ってきた。
「ロキ、帰ってきたぞ。おまえのために帰ってきた。おい! チビ!」
ロキはキッチンにいて、ソーとオーディンの喧嘩のせいで散乱したものを母親と一緒に片付けていた。キッチンのドア口から顔を出したロキは、ずっと泣いていたのか赤くなった目を見開いていた。九歳にしてはとても小さい。ロキは覚えていない、何も覚えていない。覚えているようなことなど何もないのだから。まだ何も起こっていないのだから。
そしてそれは決して起こらない。今回は決して。ソーは思い出した。もう二度と忘れない。
「俺はどこにも行かない。ロキ、約束するよ」
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*空白のように見える部分に隠れている文字は、一番上の「Hide Creator's Style」ボタンを押すと読むことができます
*こちらで後日譚が読めます→https://archiveofourown.org/works/32347543
*また、第一章の一番上の空白部分にも隠し文字で序章が書かれていて、結末まで知ってからそこに戻って読むとさらにこの物語の構造が深く理解できるようになっています。
*作者さんのコメントより
「(ソーとロキが逃亡した後)グリーンは〝居留地〟の暴動の最中にシギュンとその他の女性たちを逃亡させ、その過程で命を落とす。グリーンもまた自分がタールに毒されつつあると知っていたので、最後の力をふりしぼって贖罪した。シギュンは外の世界に戻ってから〝居留地〟の活動を告発し、ホワイトは逮捕される。ブラックは〝居留地〟の暴徒たちにリンチを受け、ロキが予告したとおりに生きて朝を迎えることはなかった」
*文字化けのように見える文字列の中にはAO3でコメントしたことのあるユーザーの名前が全部入っている。つまり、読者はみんな実はもう「リグ」にいた