蝸牛
カタツムリ亜科 (蝸牛) | |||||||||||||||||||||
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分類 | |||||||||||||||||||||
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蝸牛(かたつむり、かぎゅう)とは、哺乳綱鯨偶蹄目ウシ科カタツムリ亜科に属する動物である。「電伝虫」(でんでんむし)という俗称の「虫」の一文字のために節足動物、とくに昆虫類と誤解されることも多いが、「蝸牛」の「牛」の一文字からわかるように、れっきとした牛の仲間である。日本人は鳥獣魚介類じゃない生命体に何でも「虫」と付けるが「さなだ虫」のように昆虫じゃないものが多数含まれている。
概要[編集]
蝸牛は牛の中では小型な部類であり、草原や森林などをゆっくりと移動しながら藻類や時には植物の葉などを摂食する植食動物である。背中に殻(外骨格)を持つが、これは椎骨が変形したものと考えられている。四肢が退化しており、これについては背中の殻に入って外敵や外環境から身を守りやすくするためとする説や、接地面を増やすことで安定した移動を可能としたとする説などが提唱されている。
蝸牛は牛と近縁な一分類群であるが、その形態・大きさは他の牛とは大きくかけ離れており、牛と近縁であると判明するまでは「小さいから虫の仲間」、あるいは「似ている気がするから貝の仲間」などと誤った解釈がなされてきた。最終的にはその発達した角、口のあたりからの粘液、緩慢な動作などの諸特徴と、分子系統解析[1]の結果に基づき牛に近縁であると結論付けられた。
哺乳類としては珍しく卵生である。ただしこれはカモノハシのように祖先的な形質を残しているわけではなく、二次的に卵生化したものと考えられている。当然ながら、ほかの哺乳類と同様に子は親と同じ形をして生まれてくる。このことは、蝸牛が貝類(個体発生の過程でトロコフォア幼生を経る)ではないことの証拠の一つとされている。
ナメクジとの関係[編集]
ナメクジも漢字表記「蛞蝓」の虫偏2つによって虫(昆虫、節足動物)と誤解されることが多いが、蝸牛と多くの点で共通しており、蝸牛に最も近縁な生物(すなわち牛の仲間)とみなされている。ナメクジと蝸牛は背中の殻の有無で区別されるが、殻のある状態と殻のない状態のいずれが祖先的であるかについては長年議論されてきた。現在では「原始的な牛から四肢を退化させるのと同時に殻が発達するように進化し、現在の蝸牛のような形になった後、殻を作る必要性の減少(天敵の衰退など)により殻が退化し、現生のナメクジのようになった」とする説が主流である。
食文化[編集]
日本では仏教的な肉食忌避のために蝸牛を食する文化は一般的ではないが、フランスなどでは他の牛と同様に蝸牛を食べる文化が存在し、エスカルゴなどの家畜品種が飼育されている。
脚注[編集]
関連項目[編集]
- ナメクジ - 蝸牛の親戚。
- 牛
- カイツブリ - 名称が似ているが違う。
- エスカルゴン
- レウコクロリディウム
- 君は牛を二頭持っている。
- コンドルは飛んでいく - サイモン&ガーファンクルによるかたつむり賛歌。