声豚
声豚(こえぶた)とは、21世紀初頭から主に電子の世界で見かけるようになった、吟遊詩人の一種である。
概要[編集]
高い美意識と優れた聴覚を持ち、詩を歌って主にインターネットの世界を渡り歩いている。特徴として、彼らの詠う詩や歌は必ず声優を題目としている。人気の高い声優のスキャンダルや人気の推移に対して、彼らは格調高い歌でそれらを的確に表現し、時としてそれは風刺的である。
声豚について特筆すべき事項として、皆驚異的な聴覚を持っていることが挙げられる。これは「スピーカーケーブルを替えるだけで音も変わる」「半導体部品より真空管を使う方が音が暖かい」などと主張し“測定器並み”と評されるオーディオマニアに匹敵する。男性詩人の場合、彼らは、女性声優の声を聞いただけで、その声優が処女であるかどうかが分かるらしい。その自身の優れた感覚を、声豚達は「処女膜から声が出ている」という独特の表現で表し、声優に疎い人達を畏怖させている。
耳の感覚がとても優れているだけあって、声豚は耳から受けるショックが大きく傷つきやすい。例えば劇場版長編アニメが制作される際、ゲストキャラが設定された上で声の仕事に不慣れな芸能人(女優・俳優やアイドル、お笑い芸人など)や声優ではない喋りの商売の方々などが客寄せ目的で吹き替えに抜擢されることがあるが、こういった状況になると声豚達は一斉に大声を上げて呪詛の歌を歌い上げる。ただし風間杜夫、寺田農、森山周一郎、満島ひかり・真之介姉弟など、ごくまれに彼らの傷つきやすいナイーブな耳を傷つけない声と演技を出してくれる非本職声優もおり、そういった人物に対しては一転して賛美歌を歌い始める。
歌の傾向[編集]
彼らの詠む歌の傾向はネガティブであり、怨恨や絶望、嫌悪、憎悪を主題としたものが多い。なぜそのようなマイナスのものが多いのかというと、それは吟遊詩人の置かれた社会的立場がある。
吟遊詩人はマジョリティから差別され、特定の住所に定住しないジプシーのような社会的弱者が多い。彼らは、自分達が社会から受けた理不尽さや苦痛を、歌に代えて昇華させるのである。とはいえ、その歌の背景に自分達が置かれた社会的に辛い立場が存在する異常、どうしてもその歌は悲痛や怨嗟を帯びたものになってしまうのだ。
しかしながら、声豚の奏でる歌は怨恨や悲哀を帯びながらもそれを補って余りあるほどの格調高さを放つ。某女性声優に交際相手が発覚した折に一人の声豚が詠んだ「こんな思いをするくらいなら花や草に生まれたかった」という名歌は、純粋な人間が過酷な現実に直面して絶望する悲惨さが端的に現れているとして人気を博し、コピペとして後世に語り継がれるほどの認知度を得るようになった。
奇行[編集]
声豚にはいくつか奇妙な特徴が見られる。まず、クリスマス前後になると、女性声優のブログなどに密着して、彼女達の私生活を徹底して監視する。こうした行動を取ることで、新たな歌を着想するきっかけが得られるのだという。
声豚達は、時折声優関連のCDを叩き割り、叩き割った画像をインターネット上にアップロードするという意味不明な行動を取ることがある。専門家によれば、彼らが声優のCDを叩き割るのはミュージシャンが楽器を演奏するようなものであり、CDはいわば打楽器のようなものだという。そして、叩き割った画像をアップロードすることで、公の場に自分が曲を演奏したことを誇示して達成感を得、それが新たな作曲活動のモチベーションの原動力になる。
この世界の第一人者になると、それらに加えて声優本人の住所や異性と同棲しているか否かまで把握し、それを元に製作した歌の数々と前述の楽器演奏で培った技術をひっさげてコンサートを開催する程である。