テンビリオン
テンビリオン(Ten Billion、英名The Barrel)とは、1980年に任天堂に所属していた横井軍平が開発した、樽のような形状をした暗号解読器である。当時任天堂が秘密通信に用いていたハイラル暗号(旧式)を解読するために開発されたが、1991年に、同社の図書館の棚の上に簡易暗号表である『ムドラのしょ』が放置されているのが発見されたため、それ以降暗号解読の役目はムドラのしょにとって代わられた。正式名称は「テンビリオン式暗号解読器」。
使用法[編集]
1980年から2002年まで使用されていたハイラル暗号は、文字種が5つしかないものであったため、「2文字で1つのアルファベットを表す」という用法が用いられていた事が知られている。実際には、アルファベット → ハイラル文字への変換後、テンビリオンによる変換がさらに行なわれることによって、実際に送信される暗号文となる。
テンビリオンには送信用と受信用の2種類あり、普通テンビリオンと呼ばれ流通しているものは受信側のテンビリオンである。横井は開発時、ハイラル暗号の「2文字で1組」という特性を生かし、ドラム(回す部分)は中に含まれているボールを2個ずつ移動させるようになっている。この構造によって、受信側のテンビリオンは(暗号化された)ハイラル暗号 → ハイラル文字 → アルファベットへの変換を一度に行なう事ができるようになっている。
自爆装置[編集]
ハイラル暗号には、暗号化のための「キー」が固定されている(キーを変更するためには全てのテンビリオンを作り直さなければならない)ため、テンビリオンが敵の手に渡るとハイラル暗号の解読が容易になってしまう。このため横井は、テンビリオン自体に自爆装置を装備させた。スイッチは簡単で、「テンビリオンの中央の列(5列)それぞれに、同じ色のボールを4つ揃える」ことである。条件が満たされた時点でカウントダウンが始まり、中心に詰まった雷管が破裂し、手榴弾程度の爆発が起き破壊される。
このことは横井が用意したテンビリオン付属の(ニセの)取扱説明書に記述されており(「暗号を解読するためにはまず、5つの列に同じ色のボールを揃えてリセットします。」(テンビリオン付属説明書より)もちろん、実際の解読にはこの操作は不要である。横井は敵の目に触れるように、「説明書は大切に保管してください」と命令もしていた。)、敵に対する罠であると同時に、いざと言う時に自軍で手榴弾の代用品になるようにという配慮にもなっている。現在流通しているテンビリオンは、雷管を抜いたものであり爆発はしないはずであるが、稀に違法に発掘されたものや過去に保管されたまま忘れられたものが存在し、自爆機能が有効のままになっているものもあるため注意が必要である。
ところで[編集]
頭の固い百科事典の項目では、「テンビリオンは『Ten Billion(10,000,000=100億)』であり、横井が間違って名前を付けたが本当にテンビリオンがとりうる状態は約4兆とおりある」、などと言ったことが書かれているが、横井が大英帝国と深い関係にあったという常識を持っていれば、Ten Billionがイギリスでは10,000,000,000(=10兆……少々のサバを読むことは許されて当然である)の事を指すことを知っていて当然である。
「何でも調べられる」と思われているウィキペディアが、全く当てにならないことを示す証左のひとつと言えよう。