しりとり
しりとりとは日本人に最も親しまれている暇潰しの一種で、言語能力・戦術・相手の次の手の読みなど、自分の持てる力をすべて出し切って戦う紳士のスポーツである。単語を連綿と繋げて「ん」で終わる単語を言うと基本的に負けであるが、大抵「ん」で終わる単語を言う前に飽きるか時間の都合かで終わる。「ンジャメナ」「ンゴロンゴロ」「ンクルマ」は使用できない。
概要[編集]
以下は欧米諸国の日本に関するガイドブックの抜粋である。当然原文ではなく日本語訳である。
しりとりは日本の中世の趣味人が編み出してからの長い歴史があります。そのため学校ではしりとり選手権が毎日のように行われ、日本の国会議員は料亭やゴルフ場に集まって、息抜きと交渉を兼ねてしりとりを嗜むとされています。また茶道は茶室で茶を飲みつつ掛け軸の題材にちなんだテーマでしりとりを楽しむ風習であるとも言われています。
しりとりには現在に至るまで明確なルールは存在しません。「名詞以外は禁止」などといった暗黙の了解と根回しによる決定がルールの代用となっています。しりとりは日本文化で大きな位置を占めているため、この暗黙の了解や根回しが現在の日本人を形成していると言っても過言は無いでしょう。
あなたも日本を訪れた際は、奥深いしりとりの世界に触れてみてはいかがでしょうか?—民明書房インターナショナル刊 『日本の歩き方』
何となく妙な部分も多いが、どうやら日本のしりとり文化は世界的に認知されているようである。
特殊な遊び方[編集]
- しりとりウォーズ
- あらゆる固有名詞を含むすべての言葉を用いることが出来る。詳しくは下記を参照。
- 無限ループ
- 同じ文字で始まり、同じ文字で終わる特定の単語でしりとりを続ける。下記の例を見れば分かる通り、飽きるまで延々と続く持久戦である。しりとりの中では最も高尚で抽象的な遊び方であるとも言えるだろう。
- スイス→スイス→スイス→スイス→スイス→スイス→スイス→スイス→スイス→スイス……
- 罪と罰→罪と罰→罪と罰→罪と罰→罪と罰→罪と罰→罪と罰→罪と罰→罪と罰→罪と罰……
- アンサイクロペディア→アンサイクロペディア→アンサイクロペディア→アンサイクロペディア……
- 六条御息所→六条御息所→六条御息所→六条御息所→六条御息所→六条御息所→六条御息所→六条御息所…
- 千日手
- 無限ルールから派生した遊び方であり、数種類の単語のみでしりとりを続ける。下記の例を見れば分かる通り、飽きるまで延々と続く持久戦である。おわりたければ終われるが。
- うんこ・コマネチ・ちんこ・コマネチ・ちんこ・・・ (また、終わりたい時は、コマネチのあとに「ちかん」をつけるか、ちんこの後に、「こかん」をつけると可能) (「まんこ」からも始められる)
- きつね→ねずみ→三日月→きつね→ねずみ→三日月→きつね→ねずみ→三日月……
- 秋刀魚→舞妓→黄砂→秋刀魚→舞妓→黄砂→秋刀魚→舞妓→黄砂……
- 特に二つの単語のみで、それも文字を全く逆さから読んだもので行う場合はメビウスゲームと称される。
- ミルク→クルミ→ミルク→クルミ→ミルク→クルミ→ミルク……
- 一人しりとり
- 一般的には複数人でしりとりを行うが、適当な相手がいない場合は一人で単語をつなげていく。脳の活性化には最適であるが、急に空しさを感じる可能性が高いうえに周りにいる人などの生命体に迷惑がられる危険性がある。って言うか周りに人がいるなら相手してもらったらいいのに。
- テーマしりとり
- 事前に決定したテーマに沿った単語を言っていくもの。こちらは普通のしりとりより範囲が狭まるため上級者向けと言える。
しりとりウォーズ[編集]
しりとりウォーズ(しりとりうぉーず)とは、しりとりをさらに発展させた「究極のしりとり」である。近年、ボキャ貧な日本人や精神力が足りない日本人が増えつつあるが、幅広い知識と国際的な視点を涵養すべくプレイヤーは年々増えている。
概要とルール[編集]
- 概要
我々が普段楽しむしりとりでは「こあら→らっぱ→ぱんだ→だるま」程度の日本語を繋ぐが、エクストリーム・しりとりでは多言語に展開する。多くの言語を自在に操る国際公務員や外資系企業のエリート、航空会社や海外旅行代理店の社員の力試しに行われることが多い。
初心者同士の対戦や実力差がある場合にはものの3分で終了すると言われているが、上級者同士になると夜を徹して行われる。過去に3日3晩続いた対戦では、最後に残った2名が夢うつつの状況で対戦を続け、「ぐうぐう」(いびきを表す日本語の擬音語)→「um」(ためらいを表す英語の間投詞)と繋いだ後、次が続かずに勝負が決したという逸話がある。
- ルール
あらゆる固有名詞を含むすべての言葉を用いることが出来る。ただし、同一のものを複数の言語で繰り返すのは反則となる。相当多くの言語を理解していないと、うっかり足元をすくわれる。日本人はラテン語に弱いと言われており、ラテン語で出た言葉を日本語で言い直して失格となる場合が多い。
発音についてとくに細かく定められており、平仄や破裂音か否かなどにも注意しなければならない。たとえば「しか」と日本語で答えた後、韓国語に渡す場合、基本母字が「ㄱ」から始まるものは使えても、「ㅋ」で始まるものは使えない。日本語ではどちらも「か」などか行で当てられるが、厳密には「ㄱ」はk、「ㅋ」はkhだからである。
日本語の場合、「ん」など一部を除き、「子音 母音」を最後の音とみなして、次の語に渡すことになる。日本語→韓国語のやりとりではあまり深く考える必要はないが、たとえば「なす→spring」とやってしまうとアウトである。なぜなら「su(子音 母音)」に対して次の人は「s(子音のみ)」で答えてしまっているからである。逆に「book→くつ」とやってもアウトである。「k(子音のみ)」から「ku(子音 母音)」で繋いでいるからである。「はと→tomato→とけい」はOKということである。
また、同じ音、同じ表記でも、違う対象を述べる場合には何度でも答えてよいことになっている。そのため、日本人は「大島」や「小島」を何度も使いたがる傾向がある(日本各地に大島や小島があるため)。アメリカ人は「Michael Smith」をやたらと使う(同国内に同姓同名の人物が多数いるため)。
もはや当人たちだけでは勝負の判定は不可能であるため、常時言語学者10~20名が審判席に座ることになる。さらにアメリカ、イギリス、ドイツ、日本、中国、エジプトの国立図書館の蔵書の全内容を検索できるSuper OPACシステムを併用することになっている。
有名なプレイヤー[編集]
- ルドヴィコ・ザメンホフ
- ロシア語、フランス語、ラテン語、ギリシャ語、ヘブライ語、英語、イディッシュ語、イタリア語、スペイン語、リトアニア語を操り勝負を有利に進めた。晩年は自らが考案したエスペラントを使うという奇策でも鳴らした。
- J・R・R・トールキン
- 英語、アングロ・サクソン語(古英語)、古ノルド語、ウェールズ語、ゲール語、フランス語、スペイン語、イタリア語、ドイツ語、オランダ語、古サクソン語、リトアニア語、ロシア語、フィンランド語などなど多数の言語を用いた。インド・ヨーロッパ語族以外の言語も齧っていることが強みであった。
- 南方熊楠
- 日本語、英語、ドイツ語、中国語くらいしか分からなかったが、欧米人を日本語と中国語で翻弄した。さらに彼の得意な博物学の知識を利用し、おもに動植物の学名や化学用語で「x嵌め」「z嵌め」を行った。
- 神であり主であり...