それ以上でもそれ以下でもない

それ以上でもそれ以下でもない(-いじょう-いか-)とは、ある事物の特性を表すために使われる慣用句であって、それ以上でもそれ以下でもない。一般的に、「XはYであって、それ以上でもそれ以下でもない」のように使用される。

表現の検証編集

それでは、この表現が何を表しているのかを検証する。

まず、「以上」とは、ある基準からみて「上方」にあるものと、その基準自身との両方を含んだ概念である。その基準自身を含まない場合、「超(ちょう)」ないし「を超える」と表現される。

また、「以下」とは、ある基準からみて「下方」にあるものと、その基準自身との両方を含んだ概念であり、その基準自身を含まない場合は「未満」と表現される。

ここで標記の表現を検証する。まず、「~以上ではない」とは、~未満であることを表現している。つまり~~は含まれない。また、「~以下ではない」は、~超を示し、~は含まれない。この両方を併記した場合、「~超でも、~未満でも、~でもない」とも表現することができる。

つまり……この表現は何も指し示していないのである。

解釈編集

第一段階により、この表現が何をも指し示さないことが立証された。

このことは大変に奇妙なことである。指し示すものがあらゆる概念から外れた「存在しないもの」であれば、「それ以上でもそれ以下でもない」とする表現は存在自体を否定することとなる。しかしながら、この表現が頻繁に使用されることには重要な意味がある。その意味は「以上」「以下」の言葉にある。

視点1編集

以上、以下という表現は、対象が何かと比較できる場合にしか使用できない。比較不能な概念には以上、以下という言葉は使えないのである。例えば「1mと10kgのどちらが大きいですか?」という質問には全く意味がない。この二つはそもそも比較できない概念だからである。

視点2編集

これも少し考えればわかることであるが、「以上」「以下」は、ある基準に対し明確に上下(あるいは多少)が設定できる場合にだけ使える。「赤以上の色を挙げなさい」と言われても誰も答えられないだろう。赤は赤であり、他の色と上下(多少)を決定できるものではないからである。

この視点から見た場合、「それ以上でもそれ以下でもない」という言葉がしばしば、上下(多少)の比較自体が不可能な概念に対して使われることに気づく(例えば「彼は男であり、それ以上でもそれ以下でもない」のように)。このことは最初から「以上」「以下」という表現自体を否定する愚かしい行為である。

正しい解釈編集

上記のように、この単語はしばしば、対象自身だけでなく、それと比較可能なあらゆる概念を排除しているように見えるが、その手法は非常に愚かしいものである。

だが、一見するとナンセンスとも見えるこの表現には深い意味がある。つまり、「それ以上でもそれ以下でもない」が指し示すものは、「それ」とは全く次元の異なった存在である、という意味となる。比較不能であれば「以上」でも「以下」でもない状況を満足することができるのである。

発展編集

ここで生まれるさらなる疑問がある。それは、この表現の手前でまず、「XはYであり」と、X=Yとなることを規定している。そうであるのに、続く表現でX≠Yであると宣言しているのである。こうなれば、検証は再び振り出しに戻り、解決の糸口は無いように見える。だが本当にそうであろうか?

ここでよく考えて欲しい。「それ以上でもそれ以下でもない」の表現である。この「それ」とは何であろうか?

単純に考えればYを指すように見えるが、ここが大きな誤解の元である。この「それ」はつまり、YではなくXを指すのである。つまりこの表現は、後半でもってXの存在自体を否定している。そして前半でもって、Xを単なるYに貶めているのである。

これは非常に残酷な表現に見える。つまりXは、その存在を(Xと比較可能なあらゆる概念も含めて)否定されているのである。だが、別の観点から見れば必ずしもそうとは言えない。つまり、Xに付随するあらゆる要素を全て否定し、より単純なYへと変化させることで、Xをより純化し、場合によっては崇高な存在へと引き上げることもあり得るのだ。

しばしば言われる「オッカムの剃刀」に例を待つまでもなく、無駄の多い、別の表現をするなら「汚れた」存在は、それ自体が害悪である。「XはYであり、それ以上でもそれ以下でもない」と宣言することでそれらの「汚れ」全てを払い落とすのである。

与論編集

上記のように、この表現は非常に崇高な概念を表現している。いつどのように「それ以上でもそれ以下でもない」とする表現が生まれたかは不明であるが、そこには深い宗教観が見て取れる。

日本語の中にこうした概念が定着した背景についても不明な点は多く、今後の研究が待たれる分野でもある。 まあ早い話が「ごちゃごちゃ言うなや」である。

関連項目編集

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