老害
甘ったれるな若者! 年寄りは君たちくらいの年齢のときはモーレツに働いたんだよ。働きながら君たちを育てたのだ。君たちの全ての原資は年寄りになった我々からのプレゼントだ。君たちに与えることはあっても奪ったことはない。ハングリーになれ。向上を目指せ。目覚めて働け若者
〜 お金の若者離れ について、高須克弥[1]
何がデータだ! 我々のほうが働いていたのは厳然たる事実だ。歴史も知らんのか? 戦後補償と戦争国債が莫大だったことも知らんのか? 国民は餓死寸前だったんだぞ。ここまで立ち直らせたのは我々。老人を敬え
〜 前述のツイートを某ツイッタラーに反論されたこと について、高須克弥[2]
だとしたら、日本は人口減少と衰退を引き受けるべきです。平和に衰退していく社会のモデルになればいい。一億人維持とか、国内総生産(GDP)600兆円とかの妄想は捨てて、現実に向き合う。ただ、上り坂より下り坂は難しい。どう犠牲者を出さずに軟着陸するか。日本の場合、みんな平等に、緩やかに貧しくなっていけばいい。国民負担率を増やし、再分配機能を強化する。つまり社会民主主義的な方向です。ところが、日本には本当の社会民主政党がない
〜 少子高齢化におけるこの国の形 について、上野千鶴子[3]
老害(ろうがい)とは、組織において、死に損ないどもが引退できずにいつまでも居座ってしまい腐敗を招くという災害、またはそれを起こす人物や危険物のことである。
また、老害によって労働環境が悪化した場合は労害、冤罪なのに牢屋に入れられた場合は牢害、人の人生をおもちゃのように遊ぶ場合は弄害とも呼ばれている。
概要[編集]
日本では太古より年功序列を重んじてきたため、老害現象が起こりやすい。政治・文化・企業等々あらゆる世界で発生し、近年社会問題となっている。この現象が進行すると、若手が育たず、スムーズに世代交代が行われなくなり、組織全体が老人集団と化してしまう。さらに、自浄作用の無い老人組織が増えてくると今度は業界単位における老害現象へと拡大する。
原因[編集]
- 過去の栄光にしがみつく
- 老害はかつてその業界で何らかの功績を挙げたものが多い。しかしながら功績はその一発限りだったりして、それをネタにいつまでも消化試合を続けて居座り続ける。
例:政治家(特に閣僚経験者)、スポーツ選手(特に五輪メダリスト·名球会加盟者等)
- 引退の機会を逃す
- 上記とは逆に、大して実績があるわけでもない普通な人達が運良くリストラなどに巻き込まれずに生き残り続けるもの。このような要領の良い連中は大抵コネを持っていて、それを利用して良い仕事やポストを回して貰いさらに長く居座る。
例:公務員(特に部長相当職以上)
- 有力な後継者が現れない
- こうなった場合、頼みの綱になるのは知名度だけは一人前のかつての王者である。老人側が全盛期のクオリティを維持しているのであれば問題ないのだが、逆に中途半端に劣化していることが多いので、状況は悪くなる一方である。この傾向は連載漫画雑誌にありがちで、人気作の引き際を見誤ると、なまじ人気があるので劣化しても終わるに終われない。作家にとっても次世代の新人にとっても不幸な状況である。しかしこのような意見もあるものの、あらゆる業種・業界において有能な後継者たり得る若者は早い段階でこいつらに潰されていくため、「現れない」と言うよりは「育てる気が無い」と言った方が正しいと考えられる。
例:近藤喜文亡き後のスタジオジブリ、岩田聡入社前&亡き後の任天堂
- 同年代の人物同士で馴れ合う
- 別の業界で頑張っている高齢者(別に老害でなくてもよい)がいると、老害も負けていられないと自分の限界も知らず一線を張ろうとする。しかしたいてい能力が無いのに張り切るため、傍目から見れば馴れ合い以外の何者でもない。
対策[編集]
- 更なる腐敗を呼ぶ恐れがあるため近年では非合理的であると考えられている方法。
- 殿堂入りにするなど高い地位に祭り上げる。
- 若者に老害よりも強い権限を与える。
- 老害の多くは家庭に問題がある場合がある。「自分は家族のためにやってきたんだ」と自負しているため離婚の事実を突きつければ自分の人生を見つめ直すことができる。ただし、それによって悪化する場合も否定できない。素人にはお勧めできない。
生息しやすい場所[編集]
老害はそもそも「なる」モノであるためその生息域は多岐に渡るが、中でも個体数が極めて多い場所は以下の通りとなる。
- 政界
- 元首相などが屯するスペースでは老害たちのお昼寝がよく見られる。国会は高齢者サロンじゃねえんだぞ。
- 「五十六十青二才」とさえ言われる高齢化空間であり、その老害率は極めて高い。
- スポーツ界
- 実年齢はまだしも、「過去の栄光」にすがる老害の巣窟。半世紀も前の記録を後生大事に語ってくる老害が山ほどいる。
- また張本勲をはじめスポーツ経験者が他所で老害化することも多く、スポーツが脳に与える悪影響が指摘されている。
- 教育界
- 「日教組」という三文字が全てである。
- 彼ら教育界の老害が如何に迷惑かが知りたければ、近所の学校で「君が代」でも歌ってくるといい。老害教師が飛んできて大騒ぎするから。
- インターネット
- 2ちゃんねる?小泉純一郎?萌え?…お前は一体いつの時代の話をしているんだ?
- アンサイクロペディア
- アンサイクロペディアにも時代の移り変わりに気付かず編集を続ける老害はおり、古臭い感性に基づき新参の編集を受け入れることが出来ず、「最近の若者はユーモアが~」だの、いかにもザ・老害的な発言をして差し戻しをしている。またアンサイクロペディアの老害の一部は型ハマリな投稿が多く、自分自身がユーモアの天才だと勘違いしているが、新規利用者からは「おじさん臭出てる痛々しい投稿 草」と嘲笑され見下されているという事実に気付いていない。
歴史上の老害たち[編集]
- 西園寺公望
- 最後の最後まで生き残った元老。こいつが近衛文麿を出さなければ戦争は無かった。モザイク(刑法175条)が消えないのもこいつのせいである。将に、鬼籍に入っても呪いを掛ける最悪の老害。
- 東郷平八郎
- 伝説の軍人も晩年は百害あって一利なしの邪魔者であった。
- 尾崎行雄
- 当選25回を持つ衆議院議員。1890年(明治23年)の第1回衆議院総選挙から、戦時中を経て戦後まで途切れることなく三重県の選挙区から25期63年間当選し続けた。おそらく三重県では、衆議院総選挙において尾崎以外に投票したことがないまま生涯を終えた人も十分いるだろうと考えられる。尾崎は自由民権運動や大正デモクラシーで活躍した「憲政の神様」であり、戦時中は不敬罪で逮捕(でも最終的には無罪判決)されるなど気骨がある所を見せたが、戦後になれば年齢はとうに90を超えており、有権者にもやっと飽きられたのか1953年(昭和28年)の総選挙で初めて落選し、翌年病死した。
現代に生きる老害[編集]
※誹謗中傷などの意図は決してございません。事実の羅列です
補足[編集]
既得権を持つ高齢者が不況にあえぐ若年層または貧困層に対して冷淡な態度を取るというのは昔からよくあるパターンである。例えば、昭和初期の不況期にも既得権を持つ高齢者が本記事冒頭に挙げたものと同様の説教を当時の若者に対して垂れていた様である。やや長くなるが、以下に関連の引用文を挙げておく。
これらはすべて勤労意欲がまったくないどうしようもないドラ息子たちばかりですが、現在のニートは不況で就職が難しいということが大きな原因になっているようです。ニートではなくても正社員にはなれずに安い賃金でこき使われる不安定な立場に追いやられている若者が大勢います。
既得権益を手放さずに若者の就業機会を奪っている年寄りがそんな彼らを甘えているとか批判する珍妙な図が展開されたりもしておりますが、昭和初期の不況期にまったく同じような状況がありました。
大正時代は第一次大戦のために日本は大変な好景気で、そんなバブル期を経験している年寄りが不況にあえいでいる昭和の若者に対して昔の良かった想い出を語って嫌がられたり、説教したりといったことがよくあったようです。経営者や大学の先生なんかが、最近の大学生は就職に高望みしすぎるので就職難になるのだとか、企業に就職しようとばかりせずに自ら起業せよとか、未曾有の恐慌時におよそ無理な話をして若い者の顰蹙を買ったりしています。今とまったく同じです。自分は楽なときに企業に就職して安定した地位を保っておいて、苦労している若い者に無責任な説教をするのですから、聞かされる方はたまりません。
管賀江留郎『戦前の少年犯罪』築地書館、2007年、pp.173-174
記事冒頭に挙げた高須の主張もまさにこれに当てはまる。確かに高須の世代にとって、現在の社会は自分たちが臥薪嘗胆の末に築き上げた次世代への「プレゼント」だと誇れるものであろう。しかし就職氷河期世代やロストジェネレーションにとって、それは新卒時に不況だからと自分たちを一方的に見殺しにした「毒入りプレゼント」にしか映らないであろう。
また、同様に挙げた上野の「平等に貧しくなろう」論に対しての反論として、以下の引用文を提示しておく。
「もう経済成長はいらない。雇用の安定が第一」というのは、すでに良い仕事を確保しているか、あるいは労働市場から引退した者の論理であり、仕事を探している新卒者や失業者の立場を考慮していない。(後略)
八代尚宏『日本的雇用慣行を打ち破れ―働き方改革の進め方―』日本経済新聞出版社、2015年、p.60
真理[編集]
ここまで読み進めた読者の方ならもうお気づきだろうが、老害に右派と左派、あるいは保守とリベラルといったイデオロギーは全く関係ない。右派にも左派にもそれは存在する。人はイデオロギーに拘わらず年を取るのだから当然と言えば当然か。
最後にゲーテの言葉を紹介してこの記事の締めとする。
なお、ゲーテ自身も晩年にはエッカーマン相手に延々と講釈を垂れる立派な老害だった。
脚注[編集]
- ^ 2018年5月6日の高須本人のツイートより。強調は編集者による。他の引用文も同様。https://twitter.com/katsuyatakasu/status/993285243707711488
- ^ 同上。https://twitter.com/katsuyatakasu/status/993296895224131584
- ^ 「この国のかたち 3人の論者に聞く」『中日新聞』2017年2月11日付より。http://www.chunichi.co.jp/article/feature/hiroba/list/CK2017021102000006.html
文献[編集]
- 管賀江留郎『戦前の少年犯罪』築地書館、2007年(ISBN 9784806713555)
- 八代尚宏『日本的雇用慣行を打ち破れ―働き方改革の進め方―』日本経済新聞出版社、2015年(ISBN 9784532356323)
- 八代尚宏『シルバー民主主義―高齢者優遇をどう克服するか―』中公新書、2016年(ISBN 9784121023742)
関連項目[編集]
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