狐
狐 (きつね 英: fox) とは、妖怪とされている犬科の生物である。自ら擬人化するという特徴がある。
生態[編集]
狐はイヌ科に属する生物である。犬にしては珍しく、社会性がなく、群れずに家族単位の集団である。肉食性に限りなく近い雑食性であり、普段は肉食性で、虫や鳥、ネズミなどを食べているが、人里に出てきて残飯処理を行うこともある。
体はイヌ科の他の種の一般的な体格に比べると体は小さいが、賢く、危険でないと判断すると、途端に調子に乗り出して餌をねだる。これは、英語の"foxy"という単語が「ずる賢い」という意味を持つことからも分かる。成長が早く、わずか1年で狩りなどを身につけて大人の狐になる。
日本では佐渡ヶ島を除いて、北は北海道の北方領土、南は沖縄まで生息している。夜行性であり、昼は森の中で寝ている。
毛並みがよく、毛の色は美しい黄土色で、普通の犬と比べるとしっぽがとても太く、モフモフしているのが特徴。
ペット化[編集]
狼が人間と共同生活し、ペット化して犬へ進化したように、狐をペット化しようとする動きがある。
ロシアでは、なつきやすい種を選び品種改良することによって、狼が犬になるまで1万年かかったのをわずか45年で、犬のようにしっぽを振って顔をぺろぺろする狐を生み出した。
しかしその代わりに毛が美しい黄土色から白や灰色に変化してしまった。しかし、毛並みの代わりに、瞳が青になったものもいる。
やがて狐が、犬や猫と同じようなかわいいペットとして普通に飼われる時代が本当に来るのかもしれない。
伝説[編集]
たぬきと同じように、狐はなぜか古代から世界中で興味の対象となっていて、日本では特にその傾向が強く、狐に関連する小説や作品が数多く存在する。また、狐を崇拝の対象にしている地域も存在する。
日本では、狐は人を化かす妖怪で、寿命は無いとされている。
1000年生きると天狐になり、尾が9つに別れて千里(約4000km)先の針の先端まで見えるほど視力が良くなるとされ、3000年生きると空狐になり、神通力を自在に操れ、モールス信号で会話するようになると言われている。
外国では、狐はコンピュータに侵入することができ、火を吹く火狐になると考えられている。
その一方、人間に悪さをする野狐になるものもいる。また、一人コックリさんでは、油揚げを傍に置くと助かると言われているため、コックリさんの正体は狐なのではないかという説もある。
文化[編集]
日本では狐は文化の一部に溶け込み、もはや忘れられているほどである。また、古代から擬人化されており、それほど身近な動物だったと考えられる。
古代[編集]
狐はネズミを食べるため、農家の人はみな狐に感謝していた。そのため、狐を祀るようになったとされる。狐を祀る神社で最も大きいものが、稲荷神社である。これは狐がいなりずしを好むことから付けられた名前であり、いなりずしを祀っているのではない。
狐について記された最古の書物は日本書紀であり、そこではアルビノの狐について記述がある。狐が身近すぎる存在であり、特に珍しいことでもない限り、特筆することが無かったことを示している。
妖怪化[編集]
仏教が伝わると、狐はとたんに悪い生き物であると認定されるようになったが、可愛さもあってか、徹底的に駆逐されるようなことは無かった。しかし、この影響で江戸時代まで「狐は妖怪」という観念が続いた。
江戸時代[編集]
狐はハツカネズミを人の代わりに駆逐してくれるので、大変重宝されるようになった。また、狐が次からも来てくれるように、好物の油揚げで餌付けすることによって、更に人間の生活に溶けこむようになった。
近代[編集]
農業が廃れたことによって、狐に対する信仰が失われつつある。
また、原生林の減少に伴い狐の住処が少なくなったことや、狩りや事故によってほとんどの狐が2〜3年で死ぬようになり、1000年生きる狐がほぼいなくなったため、天狐になる狐がいないことが問題となっている。そのため妖怪になる狐が少なくなっているが、ペット化されればいずれ1000年生きる狐がまた増えるのではないかと期待されている。
しかし、最近では狐が主題の作品が増えているため、狐に対する信仰が取り戻される可能性もある。
「きつね」がつく言葉[編集]
きつねうどんなど、「きつね」のつく食品は油揚げが入っていることを表す。また、ことわざにもよく用いられ、「狐に化かされる」といったような言葉がある。
英語でも前述のように、"foxy" という単語があり、"Fox" という名字の人もいる。
鳴き方[編集]
狐が鳴くところを見聞きした人はいないとされる。なぜなら、狐には鳴き声を聞かれてはならないという暗黙の了解があり、これを破った狐やこれを聞いた人間は、天狐や空狐によって存在を無かったことにされるため、誰も聞いたことが無いのである。狐は「こんこん」と鳴くとされることもあるが、無論推測である。とはいえ、狐のコミュニケーションの手段はモールス信号なので、狐は滅多なことでは鳴かない。
これは古代からの疑問であり、The Foxという、この問題について考察した曲も存在する。
狐が主題の作品[編集]
- イソップ寓話 - 様々な動物が登場するが、狐はその中で唯一喋ってもおかしくない動物である。作中では「すっぱいぶどう」という名で書かれている。
- かいけつゾロリ - 狐にしては珍しく、おっちょこちょいである。手下のイノシシが二頭いる。
- The Fox - 狐はモールス信号で会話するという結論を出している。