コンテンツにスキップ

PocketStation

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
PocketStation
メーカー ソニー・コンピュータエンタテインメント (SCE)
種別 携帯型ゲーム機
世代 第5世代
発売日 日本の旗 1999年1月23日
CPU RISC CPU ARM7T
対応メディア CD-ROM XA
対応ストレージ フラッシュメモリ
コントローラ入力 内蔵
外部接続 (メモリーカード互換)
売上台数 日本の旗 490万台(累計出荷台数)[1]
次世代ハードウェア PlayStation Portable
テンプレートを表示

PocketStation(ポケットステーション)は、1999年1月23日に発売された小型の携帯型ゲーム機。発売元はソニー・コンピュータエンタテインメント (SCE) (現・ソニー・インタラクティブエンタテインメント (SIE) )。型番は SCPH-4000 。通称「ポケステ」。

開発

[編集]

ビジネス用ではない個人用のPDAとして[2]、ゲーム面ではPlayStationと連携する携帯型ゲーム機として[3]開発され、周辺機器として販売された。

開発意図はプレイステーションで培ったソフトを携帯型ゲーム機でどのように共有していくかであり、開発時のイメージは任天堂のゲームボーイに近かった[3]

第三者からは開発当時人気を博していた『たまごっち』を意識したデザインと性能になっている[4]と評価されるが、開発担当者の岡本伸一はそれを否定している[3]

ボディカラーはホワイトとスケルトンの2色で、開発当初はどのようなゲームが本機に対応するか予想つかなかったため、無機質な色が選ばれた[3]

沿革

[編集]
  • 1998年
  • 1999年1月23日 - 発売。
    PocketStation用ミニゲームが付属するPlayStation用ゲームソフト『どこでもいっしょ』がヒット。ゲーム内にポケット・ピープルと呼ばれる5種類のキャラクターが登場する。その中で「井上トロ」が女子高生を中心に好評を得ていた[7]。供給量の不足と重なり一時期は入手困難な状態となった[8]
  • 1999年2月11日
    PocketStationにも対応するソフトとして、『ファイナルファンタジーVIII』が発売。99年の対応ソフトの中で売上が1位となった。本編で使用するアイテムの収集など、様々な要素が盛り込まれている[7]
  • 1999年7月 - 累計販売個数が100万個突破。
  • 1999年10月 - 累計販売個数が200万個突破[7]
  • 2002年7月19日 - PocketStation生産終了[9]
  • 2013年12月3日 - PS Vitaアプリとして復活[8]
    PlayStation Vita用無料アプリ『PocketStation for PlayStation Vita』を配信することを11月5日に発表。このアプリを使うことでゲームアーカイブスで配信されているPocketStation対応ソフトをPS Vita上で楽しむことができるようになる。PocketStationがなくては動作しなかったためこれまでゲームアーカイブスで提供できなかった『どこでもいっしょ』も同日に配信開始となる[10]

ハードウェア

[編集]

詳細は公式サイト[11]を参照。

CPU
PlayStation用メモリーカードとほぼ同じ大きさのボディに、32ビット RISC CPUを内蔵する。
画面
画面は32ドット四方の反射型モノクロ液晶ディスプレイで、PlayStationのロゴタイプがうっすらと浮かび上がっている。
操作系
操作ボタンは上・下・左・右の4つの方向ボタンと決定ボタンがひとつ付いているのみである。
通信
上部には赤外線通信ポートを搭載し、PocketStation同士での通信が可能となっている。一部のサード製PSソフトでは、任天堂のゲームボーイカラーやバンダイのワンダースワンと本機を介した赤外線通信ができるものがある。ワンダースワンのソフトの中にもWonderWaveと呼ばれる赤外線通信機能を本体に増設することで、本器とデータの送受信が可能となるソフトがある。「デジタルパートナー」などが代表的である[12]。注意点は2000年代までに生産されたテレビのリモコンなど、旧式の規格の赤外線発生装置にしか反応しない。
電源
電源としてコイン型リチウム電池を1個必要とする。使用環境にもよるが電池の消耗が早く、頻繁に交換する必要があった[8]ため、電池のフタのネジを外せるドライバーと予備の電池が収納できるポケットドライバーが発売されていた[8]

スペック

[編集]
  • CPU:32ビット RISC CPU ARM7T
  • メモリ:SRAM 2キロバイトフラッシュメモリ 128キロバイト(PS1専用メモリーカード領域と兼用)
  • 画面:32×32ドット 反射型モノクロ液晶ディスプレイ
  • サウンド:小型スピーカー(10ビットPCM)
  • 通信:赤外線方式(双方向・IrDA準拠)
  • 電源:ボタン型電池(CR2032)×1
  • 付属品:ストラップ

発売モデル

[編集]

発売当初は光沢のあるホワイトモデル (SCPH-4000) のみだったが、後にスケルトンボディのクリスタルモデル (SCPH-4000C) も発売された。また、『遊☆戯☆王 真デュエルモンスターズ 封印されし記憶』の限定版にはクリスタルブラック、『ときめきメモリアル2』の限定版にはクリアピンクのPocketStationが同梱された。

使用方法

[編集]

主にPlayStationのゲーム本編に付随するミニゲームを遊ぶために使用された。

モバイルコンピュータとして動作するデータをPlayStationから転送する前の状態で搭載されている機能は、カレンダーと時計機能とメモリーカードとしてセーブデータを保存する機能のみ。赤外線通信を行う時に光るLEDは、PlayStationがメモリーカードにアクセスしている時にも光る[13]

PocketStation上でゲームをプレイするためには、まずゲームデータをPlayStationから転送する必要がある。そのためPocketStation単体での使用はできない。操作パネルを上に90度持ち上げ、PlayStation本体のメモリーカードスロットへ挿入する。挿入すると赤外線通信ポートに内蔵されたLEDが赤く光るとともに、電子メロディが鳴る。システム上、ミニゲームは通常のセーブデータと同じ扱いであり、最低1ブロックを利用してセーブを行う形式となる。当然ではあるが通常のPlayStation用メモリーカードとしての使用も可能。また、メモリーカードとしてセーブデータを記録している場合、PS上で表示されるセーブデータアイコンを表示できるのだが、タイトルによってはPocketStationでの表示用に用意されたアイコンが表示される。

また、ミニゲームはセーブ用の領域が許す限り、いくつでも導入することができる。メニューでプレイしたいゲームを選ぶ事で自由に変更することが出来た。

本体には時計が内蔵されておりアラーム機能付きの時計として利用できるほか、カードスロット経由でプレイステーションから時刻を参照することもできた。一部のソフトではゲーム内で時刻を連動させたり特定の日時にイベントを発生させるのに使用されている。

非公式に、インターネット上でPocketStation用ゲームソフトの開発ツールが出回っており、一部では自主制作ソフトも公開されていた。パソコン上で開発したゲームソフトをPocketStationに転送するためには、PlayStation用メモリカードのリーダー・ライターが必要となる。

次世代ゲーム機での対応

[編集]

PlayStation側 - PSと互換性があるPlayStation 2でも使用可能(PSXは形状が本体に入らないため使用不可)。

PlayStation 3の互換機能では、エミュレーターがポケットステーションを認識できないため非対応。

PlayStation Vitaはポケットステーションに対応したPlayStationソフト(ただし、ゲームアーカイブス経由で購入したもののみ)に「PocketStation for PlayStation Vita」の無料アプリケーションを本体にダウンロードすることで再現が可能となる。キーロック(時計が表示されている画面で、決定ボタンを押しっぱなしにしながら上下左右の方向ボタンを各1回ずつ押す)に別の機能が割り当てられている。

PlayStation 4Proを含む)・PlayStation 5ではPSの互換性を取り除いたため、使用できない。

反響

[編集]

開発者の岡本伸一は「"身につけられるコンピューター”をコンセプトに、わずか30グラムのボディーに機能を詰め込みました。さわるすべての人にエンターテイメントとは何かということを教えてくれるマシンです」と述べた[14]。しかし『どこでもいっしょ』以降は目立ったヒット作も生まれず、ほとんどはPlayStationのおまけミニゲーム程度だった。 荒すぎたドットがユーザーの不評を買ったこともあり、やがて対応ソフトの開発も減少、発売から約3年半で生産終了となった。ゲームハードとして使わなくなってからはメモリーカードとして使用するプレーヤーもいた[8]

対応ゲームソフト一覧

[編集]

50音順に記載。

PlayStation ソフト

[編集]

PlayStation 2ソフト

[編集]

関連項目

[編集]

脚注

[編集]
  1. ^ 約490万台を売り上げた「ポケステ」再び!? 謎の動画が緊急公開!”. GAME Watch. インプレス (2013年11月1日). 2019年5月12日閲覧。
  2. ^ a b プレイステーションのメモリーカードを発展させた超小型PDAを開発』(プレスリリース)ソニー・コンピュータエンタテインメント、1998年2月19日https://www.sie.com/content/dam/corporate/jp/corporate/release/pdf/980219.pdf2021年8月1日閲覧 
  3. ^ a b c d 岡本伸一(インタビュアー:西川ゆずこ)「開発者インタビュー『プレイステーションと連携して楽しむ携帯ゲーム機です。』」『ascii.jp』、1998年11月11日https://ascii.jp/elem/000/000/313/313620/2012年10月27日閲覧 
  4. ^ 株式会社QBQ編 『プレイステーションクソゲー番付』マイウェイ出版発行、2018年。ISBN 9784865118346 p57
  5. ^ プレイステーションの楽しみをさらに広げるPocketStation12月23日に発売』(プレスリリース)ソニー・コンピュータエンタテインメント、1998年10月8日https://www.sie.com/content/dam/corporate/jp/corporate/release/pdf/981008_1.pdf2021年8月1日閲覧 
  6. ^ 超小型PDA「PocketStation」1月23日に発売延期』(プレスリリース)ソニー・コンピュータエンタテインメント、1998年12月9日https://www.sie.com/content/dam/corporate/jp/corporate/release/pdf/981209.pdf2021年8月1日閲覧 
  7. ^ a b c 『ファミ通 No.581』アスキー、2000年2月4日、189,190,191,頁。 
  8. ^ a b c d e M.B.MOOK『懐かしゲームボーイパーフェクトガイド』 (ISBN 9784866400259)、54ページ
  9. ^ 北村孝和 (2002年7月19日). “SCEI、ポケットステーションの生産を終了”. GAME Watch. インプレス. 2021年3月13日閲覧。
  10. ^ SCEJA、PS Vitaで動作するポケットステーションアプリを配信へ - 2013年11月5日 Cnet JAPAN
  11. ^ PocketStation”. ソニー・インタラクティブエンタテインメント. 2021年8月1日閲覧。
  12. ^ 電撃王』通巻107号、メディアワークス、2000年6月1日、155頁。 
  13. ^ 『HYPERプレイステーション』ソニー・マガジンズ、1999年1月1日、48,49,頁。 
  14. ^ 週刊ファミ通 No.515. 株式会社アスキー. (1998年10月30日). p. 10 

外部リンク

[編集]